“足がつる”
裕Y
編集部から‘安全登山について’の寄稿を依頼され、何を書こうかと迷ったが、足がつることに関して最近心がけるようになったことについて書くことにした。
それは次のような背景からだ。実は僕は就寝中、たまに右足のふくらはぎがつってのたうち回ることがあった。かつて野球をしていて転び右足のくるぶしの両骨を折るという重傷を負ったことがあり、その後遺症が残って血流が悪くなることがあるためかもしれないと思っていた。
一方、2年前に山の会に入って最初の山行の時、両足の内転筋がつったことをかわきりに山行に参加するたびにふくらはぎや内転筋がよくつった。いずれの場合も共通した特徴があり、急に起こり痛みが伴うことだ。そのため山行では歩行困難に陥るばあいがあり、グループの人たちに迷惑が及ぶ。一度つるとそこの筋を伸ばして対処するとしばらくして治まってくるが、その後は不安を抱えたままの山行になる。
こうした“足がつる”ことをどうしたら防ぐことが出来るのか、そもそも足がつるとはどういうことかを調べてみた。これらは一般に「こむら返り」(こむらとはふくらはぎのこと)と呼ばれるものであり、「非自発的な筋収縮」と医学的には定義される。最近マラソンやサッカーなどのスポーツ中に突然襲う「筋肉痙攣」にスポーツ医学が着目し、その原因の究明や予防対策に乗り出したということで、そのメカニズムの究明に関心が持たれているらしい。
考えられる原因は、大筋には大脳から発信された信号が中枢から末梢の運動神経に伝達され筋肉が伸縮運動を起こすのだが、時としてその信号が筋肉の一部にしか伝達されないので、その筋肉部分のみが過度に収縮するという異常な事態が引き起こされる、というのが正体らしい。じゃあこの異常事態、すなわち神経上の信号が広く筋肉に行き渡らない原因は何なのか。
まず、第一に考えられる原因が水分不足。先ほどの夜間睡眠時のこむら返りを起こしているのは、自分の体験から酒やビールをある程度飲んで寝たときに起こしていることが多い。アルコールによる脱水状態が一時的に起こると考えられる。また、特に夏場の山行など大量の汗をかく場合があるが、水分補給が追いつかずこの脱水症状のために山行後半によく起きる場合がある。さらにこの脱水状態は単なる水分不足ではなく、身体が必要としている電解質を失わせていることがあるのはよく言われることである。特にマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムは血中の栄養素が筋肉への吸収を促進させる酵素的役割を演じているのでこの不足が筋肉の新陳代謝に影響するし、神経細胞の伝達機能を低下させる。いわゆる電解質のバランス(濃度も含めて)が崩れたために神経の命令伝達がスムーズにいかなくなったのだ。第二の理由と、対策は次号へ続く・・・