安全登山のために
        No,59

 

“足がつる”

裕Y

足がつる原因の第一は水分不足であると前月号で述べた。第二の理由は筋肉疲労、運動不足、筋肉の冷却というものだ。第一の原因が新陳代謝の機能不全だったのに対し、これらは先に述べた神経系と筋肉の間の連携ミスが原因となる。筋肉疲労は長時間の歩行によるものや、そもそも歩く前から疲労が蓄積している場合である。運動不足の人が急に運動する場合は言うまでもない。また、筋肉が冷却されること、特に汗をかいたた後で休憩が長いときに汗を拭かずにおくと身体だけでなく筋肉が冷却され、血行不良となる場合、などで、これらの場合に於いて一部の末梢神経に負担がかかり対応する筋肉に過興奮が起こるようだ。

このように原因を分析すると足がつらない歩き方をするための対策が思い当たってくる。

@先ず、山行前日は飲酒をほどほどにしておくこと。

A歩き始める前に準備運動をして筋肉の血行をよくして神経の伝達が広く筋肉に行き渡るようにすること。

B自分のペースでコンスタントに歩き、疲労をしない歩き方をする。

C汗をかかない歩き方を心がけること。これには衣服調整が極めて重要になる。

D汗はかくので、休憩時に出来るだけぬぐい、また、身体を冷やさないこと。

E水分・塩分を適度にとること。0.2%の塩水が良いという。塩は荒塩が良い。やはりスポーツドリンクがよいかも。

など。これらは安全登山の基本なのかもしれないが、理屈がわかれば納得できる。

 

さらに最近になって、筋肉サポーターやスパッツの装着が有効であることを学んだ。特に中高年者は筋肉繊維組織間の接着力が低下して、いわゆる肉離れを起こしやすいので、これらは歩行時の物理的要因(振動)の影響から筋肉を保護するのである。また、ストックの有用性もある。ストックは体重を支えるので足への負担を軽くするが、歩行の際の体重移動のバランス性を保つため2本持つ方が良い。特に滑りやすい道の歩行や下山の際に有効で、筋肉への負担が減少すると考えられる。

 

以上述べたようなことを半年前ぐらいから実施するようになってから足がつる頻度は極めて少なくなった。