一番の反省
敏K
結婚を期に登山から遠のいてもう20年以上になる。この間山行といえば、清掃登山や記念山行に参加するぐらい。久しぶりに山行に誘われると、装備は?服装は?行動食は・・・はたと困ってしまう。昔の山の会の仲間からは、「山に登らないのに会に入っていても会費がかかるだけ、どうしてやめないの?」といわれ、何年か前の山の会の総会では、「会員でありながら今年度一度も山行に参加していない不良会員がいる」と言われる始末。(念のために、会費はちゃんと払ってますよ)。そんな私だと知っていて、「安全登山のために」という題で原稿を頼む編集長も編集長だ。
書けないのなら断ればいいのに、断れない。なぜって? たまにしか行かない山行だけど、行けば古い会員の人たちが「久しぶり元気してる?」と声をかけてくれる。山に登る楽しさ、大変さ、つらさ、苦しさを教えてくれたのが山の会だ。
書くことがあまりないので前置きがずいぶん長くなってしまった。山行での失敗は、たくさんあった。いや数え切れないぐらいあった。冬のテン場で、テントを張りながら不用意に下がって石垣から落ちた。地獄谷で、テントを張った後こっそり温泉につかるつもりが急に風向きが変わり危うくガスでやられるところだった(もう時効?)。ルートを間違えて、高山植物を踏みつけたことも・・・。下山後のトロリーバスで満員にもかかわらずザックを膝の上に抱えず周りの客に迷惑をかけてしまった。初めての冬山合宿、不安がいっぱいで、出かける前に何度も体温を計った。何度計っても平熱だった。生死に関わるようなものから小さいものまできりがない。
ただ、安全登山とは直接関係ないが、私の一番の反省は、いつも誰かに登山に連れて行ってもらっていたということだ。だから沢山山に登ったのに一つ一つの山行の記憶が薄い。自分で計画していないから本当の楽しさ、本当の苦しさもわからないまま終わっている。その経験を自分のものとしないまま、結婚を期に登山から離れてしまったことが悔やまれる。(だったらもっと山に登れといわれそうだ)。
とりとめのない話になってしまった。この記事が「もみのき」に載るかどうかはわからないが、どこかから「こんな記事を載せていては『もみのき』の質が落ちる。編集部の編集方針はどうなってるんだ・・・」という吼える声が聞こえてくる。編集長ごめん。