時間と危険の先手管理
明M
以前仕事上で先輩にこういわれた“時間は誰にでも正確にそして冷酷に来る。自分たちは範囲で与えられた課題を完了しなければならない。”そのためには時間とリスク(危険)を常に念頭において仕事を遂行していかないと達成できなくなる。これは登山にも当てはまると思います。
丁度一年前に自分はグループで行けなかった栃木百名山を2山(夕日岳、薬師岳)単独でしかも周遊コースで計画し、実行当日2つ大きなミスを犯してしまいました。
@ 朝寝坊して登山口出発が1時間遅れたのに折角来たのだからと計画とおりのルートそのまま遂行した。
A 薄暗くなってきた午後三時過ぎに最後の三の宿山をピストンで登る途中で踏跡を見つけ、下山ルートと勘違いしそこに荷物をデポし、その先に正規なルートを見つけたのにデポした荷物を担ぎ上げると時間が掛かり面倒なのでトラバースできると勝手に思い込み下山を開始した。
その結果 は散々なものでした。出発の遅れを取り戻そうと午前中ペースを上げたのが響きと午後には足にきて逆にペースダウン。注意力も落ちて2度踏み跡からはぐれて後戻りし、とどめはAにより正規下山ルートに出るのに薮こぎを約40分することになりました。時刻は16時40分で東斜面であったため薄暗くライトが必要な状態になっていました。反省点としては
@ 計画した時間に齟齬が発生した場合には計画を見直す勇気と冷静さを常に持つこと。
A 道間違いに気付いたら、たとえ時間がかかっても自分勝手な判断をせずに必ず正規の登山道へ戻ること。
ということですが問題はなぜ自分がそういう行動を取ったかということです。
自分なりに考えてみると
@ 知り合いが栃木百名山を達成したので早く達成したいと思い前日の天気予報で急に2山周遊という計画を立て準備したために寝るのが遅くなり結果として朝寝坊、体力低下を招いてしまった。
A @を認識しながらも自分の計画にしがみついてなんとか2山達成したいというエゴ、また体力低下とともに判断力の低下もあり、不安定要素を自分の都合のいいように勝手に解釈して行動してしまうという自分を抑制することができなくなった。
これらの末の顛末であったように思います。
まことにお恥ずかしい自分の例ですがこの体験をここに書かせていただくことにより安全を常に意識し、リスクを常に予測して回避することを心がけて今後の登山人生をおくるようにしたいと思います。
また 皆さんにこれを読んでいただくことにより、この自分のつたない経験が 今後の皆さんの安全な登山に少しでもお役に立てば幸いです。
そういえば 最初に紹介した先輩は最後に笑いながら優しくこう付け加えました。
“しかし、安全は何事にも優先する。つまりどんなにガンバッテ 仕事を成し遂げたとしてもその結果 お前が健康を害したら何にもならないからな。”
冬至も近くすっかり暗くなった駐車場への長い林道をとぼとぼと歩きながら先輩の言葉を噛み締めました。