安全登山のために
        No,41

 

やっぱり

『1に体力、2に体力、3,4がなくて5に体力』一則 O

 今回のお題は、『安全登山』。

 結論を先に言ってしまえば、わたし的には、安全登山の基本は、“体力”ということになってしまうだろう。

 わたしが、ビギナーだった頃、県連の冬山の講座や会議などのとき、「冬山は、1に体力、2に体力、3,4がなくて5に体力」とよくいわれていた(たぶん今でもいわれているかも知れないが・・・)。その頃には、体力ももちろん重要だけれども、技術のほうがもっと重要では??と疑問があった。しかし、何回も山へ行くようなってから、その考え方は、正しいと思うようになってきた。

 体力がなくて、ばててヘロヘロになったら、いくらハイレベルな技術を身につけていてもそれを使うことは難しいし、場合によってはだれかの助けを借りなければ行動ができないという事態にもなりかねない。登山の基本である、『自分の足で、登って、下りる』こと自体が崩れてしまう。

 で、わたしの経験をいくつか・・・。

冬山ビギナーだった頃、冬合宿のトレーニングで入った山で、下山時に滑落事故を起こしてしまった。幸い、ザックが途中の木にひっかかって、2mくらい落ちただけで、軽いかすり傷程度ですんだ。でも、もしそこに木がなかったら、ザックがひっかからなかったらあと4〜5mは落ちて、大ケガも免れなかったかと思うと下山後、冷や汗が出てきそうになったのをおぼえている。原因は、あきらかに体力不足。トレーニングであったので、大型のザックに水などを入れ、かなり重くしていた。途中で、体力の限界に近いことはわかっていたが、下山時だったので無理をした。そこで、体力に余裕があれば何ともない凹凸にうまく足が出なくて滑落・・となってしまった。もし、限界まで来ていることを認めて、水を捨てていたら、体力も持ちこたえたと思う。

それから、事故ではないが、ある夏合宿のときにトレーニング不足がたたって、みんなについて行くのが精一杯で、だいぶ遅れがちに歩いたことがあった。そんな時は、まわりの絶景や高山植物を見る余裕すらない。休憩しても水分しか喉をとおらず、ますます辛く、苦しくなってくる。それでも何とか目的地に着いたのだが、テントの設営もままならぬ、食事の準備もほとんどできなくて、みんなに迷惑をかけたことがある。

こんなときは、自分を責めるのだが、『喉もと過ぎれば熱さを忘れる』で、日ごろの忙しさにかまけて、トレーニングをついついなまけてしまう。

まあ、今はハードな山や合宿などの長い山行は行かないので、その頃ほど体力を必要とされないが、登山の基本は、やっぱり『1に体力、2に体力、3,4がなくて5に体力』だと思っている。

みなさんも、日ごろから体力づくりには常々心がけてほしいと思う今日この頃です。

・・・でも、わかっちゃいるけどなかなかできないんですよね、これが。。