2007年5月3日から5日まで、二泊三日の日程で第27期HFMCの春山合宿(雪組)が実施された。山域は北アルプス。槍沢から槍ヶ岳往復という、昨年と同じルートが設定され、昨年は残雪の多さ、夜半の雨などから、一ノ俣の手前のB.C.からそのまま撤退したことを受けてのいわばリベンジであった。メンバーは当初10人の予定だったが、1名が直前に抜け、結果的に9名での実施となった。

第一日目は、晴れのち曇りのち雪。沢渡〜上高地〜横尾〜ババ平(幕営)。全体の行程の記録は標準のタイムなのでおそらく少々遅めだったろう。槍沢ヒュッテの手前ではかすかに霙が舞った。ババ平では、設営を始めた直後から雪が降りはじめ、夜まで続いた。

第二日目。快晴。ババ平を出発し、槍沢を登った。殺生ヒュッテから槍の肩までの登りでは、パーティーの間隔が大きく開いた。先行する部分と後続の部分とに別れて肩まで登ることになったが、肩で合流。体調を崩した1名を残して槍の穂先に向かった。槍の穂先の雪のつき方がいやらしく、緊張を強いられたが、渋滞の前に山頂に達し、いいタイミングで下ることができた。そのままBCのババ平に向けて下降し撤収。その後横尾へBCを移して幕営。

第三日目。晴れ。横尾〜上高地〜沢渡。徳沢、明神を経ての三ピッチはスピードが上がらなかった。連休の最終日前日ということもあって、家族連れの観光客も多かったが、タクシーなどは順番待ちをするまでもなくすぐに乗車ができた。沢渡で入浴、奈川戸村で昼食、夕刻には帰半。入山の日、上高地へ向かったときにはまだ固かった奈川戸村の桜は、この三日で花開いて私たちの目を楽しませてくれた。

「第27期半田ファミリー山の会春山合宿(雪組)

2007年5月3日〜5日 北アルプス 槍ヶ岳周辺

核心部レポート

穂先にはべっとりと雪がついて、登っているパーティーも苦労しているようだが、まだとりついている人数も少なく、今からなら十分登って来れるだろう。


小屋の前から穂先に向う。最初の鉄梯子を越えると、岩の間にいっぱい雪の詰まった緩い傾斜を10数メートル、そこから急な雪壁を数メートル直上して両脇の狭まった岩の間を乗っ越す。右側が切れて落ちており、実は、この部分が一番不安定だ。ロープを出せる位置にないことを悔やんだが、時、すでに遅し、で、雪の上に足場を切りながら、ひたすらメンバーが落ちずに登ってくることを祈った。手前に古い番線が何本か束ねられてぶら下がっており、その先に数メートルの梯子。梯子を登りきると、小さな雪のテラス。そこから二本の鉄梯子が上へ延びているが、左側の梯子には雪がキノコのようになってべったりと貼り付き、垂直の氷の壁のようになっていて使い物にならない。右側の梯子だけが使える。下ってくるパーティーと声を掛け合って、交通整理をすることになる。梯子を登りきると、見覚えのある槍の山頂に飛び出した。後続のメンバーたちがひとり、またひとりと登ってくる。後ろからは、他のパーティーが登ってきている。その後にも続いてきていて、下る方が難しそうだ。

ロープを固定して、プルージックをセットして下る。登り用下り用の二つの梯子が取り付けられているがひとつが氷がついて使えないので、下では、登ってくるパーティーに待っていてもらうしかない。当然のことながら、渋滞は必至。上の様子がわからないので、順番待ちをしている登山者からは苦情がでる。

混み合っている部分を抜けて、最下部の梯子を下る順番待ちをしていると、「あ!」という声に続いて「落ちた!」という声があがった。私たちのパーティーの少し下にいるパーティーの登山者がひとり転落したのだ。足がすくんでしまったのか、私たちの下で下ろうと順番待ちをしていたパーティーの動きが止まる。なかなか前に進まない。私のすぐ前の登山者は、落ちるのを見て、ロープもないので、それ以上登るのを断念したとのこと。彼らが下るのを待って固定ロープにプルージックをかけて下り、命綱を外したところで槍の穂先の登りは終わった。肩に着いたのがちょうど13時。(洞井)

【記録】
5月3日(木)晴れのち曇りのち雪
04:00 阿久比集合出発
07:50 沢渡着。晴れ
08:00 タクシー乗車
08:24 上高地着
08:40 発
09:31 明神着。休憩
09:41 発
10:31 徳沢着。休憩
10:41 発
11:43 横尾着。休憩
12:02 発
13:00 一ノ俣。休憩
13:12 発
13:18 二ノ俣通過
13:35 霙舞うが、すぐに止んだ
13:55 槍沢ロッジ着。休憩
14:17 発
14:55 ババ平着。設営。降雪
15:50 設営完了

5月4日(金)快晴のち晴れ
04:30 起床
05:36 発
06:20 休憩
06:27 発
07:25 休憩
07:33 発。
08:03 休憩。殺生ヒュッテ手前
08:10 発
08:53 殺生ヒュッテ横。休憩
09:10 発
09:34 休憩。
09:43 発
09:54 休憩
10:10 発
10:25 槍ヶ岳山荘着
10:45 発
11:28 槍ヶ岳山頂
11:35 下山開始
13:00 槍ヶ岳山荘
13:28 下山開始
14:58 テント場着。撤収開始
15:31 発
15:50 槍沢ロッジ着
15:52 槍沢ロッジ発
16:18 二ノ俣。休憩
16:30 発
16:39 一ノ俣通過
16:50 槍見河原通過
17:11 休憩
17:18 発
17:40 横尾着。設営

5月5日(土)
06:00 起床
06:49 発
07:47 徳沢着。休憩
07:55 発。あつたのI夫妻
08:46 明神着。休憩。東海竜山の会のK氏パーティーと会う
08:57 発
09:39 河童橋着。休憩
09:50 発
10:00 タクシー乗車
10:30 沢渡着。入浴
   帰半。