2013.2.3 積雪期救助訓練
鈴鹿・御在所藤内沢出合周辺

 


「ツェルト担架の作成」実技
(2013.2.3積雪期救助訓練/御在所岳藤内沢出合付近にて)

 

寒かったなぁ        洞 井 孝 雄

2月3日、御在所岳裏道の藤内沢出合周辺で県連盟の積雪期救助訓練が実施された。

当日は曇り、スカイライン沿いの裏道の入り口に集合してパーティー分けを行い、三々五々、藤内沢出合まで登っていく。スカイライン沿いや、裏道に入っても四ノ渡し付近くらいまでは前々日に振った雨でほとんど雪が消えてしまっている。「これは、積雪期ではなく無雪期の救助訓練になってしまうかもしれないな」そう思いながら登っていくと、ようやく藤内小屋の手前あたりから雪が現れた。国見尾根取り付き付近で雪があれば、訓練の場所として使えないか、そう考えて小屋の周辺を見て回ったが、やはり藤内沢の出合いまで言った方がいいだろう、ということになった。

藤内沢出合いでは、登山道から事故者が転落、滑落して動けなくなった、という場面で、事故者のところまで下り、事故者を保護し、付近の立木や支点を使っての確保や、ロープ、カラビナ、シュリンゲなどを使って二分の一、三分の一などの仕掛けを作って登山道まで引き上げる、という一連の動きを行う「吊り上げ」、事故者を引き上げたり、下降させるために必要な確保支点を、雪面にピッケルやスノーバーを打ち込んだり、雪面を掘ったり、ザックや袋などを埋めて、雪の抵抗を使って支点にするなど、さまざまな方法を実際に試しながら学ぶ「雪上の確保支点」つくり、事故者を搬送するためにツェルトで事故者をくるんで搬送できる状態を作る技術としての「ツェルト担架」づくりを行った。

昼過ぎからは、実際にツェルト担架を作って、事故車を搬送する訓練にはいった。

直接担架を移動させるメンバー、前後でロープ確保するメンバー、先ぶれ、足場ならし、側面で路肩や段差を知らせるとともに安全確保するメンバー、数十人がそれぞれの持ち場で、何を求められるかを考えながら動くことが大事だ。前後のメンバーは、登ってくる登山者、すれ違う登山者、後ろから来る登山者、それぞれに「救助(訓練)」であることを伝えるとともに、先に通すか、そこで待機してもらうか、状況を見て判断し、かつ理解と協力を求める、そういった役割も担っている。

搬出は技術も知識も必要だが、全体を見ること、適切な判断を下すことが必要になってくる。こういう学習をすることができるのが救助訓練である。普通に歩けば10分そこそこのところを1時間もかけて移動する「搬出」作業の、いかに労力と時間と人手と・・・事故を起こすことが、周りにこれほど膨大なエネルギーの浪費を強いるものかがわかれば結構である。

よくよく考えると、「救助訓練」というのは、山行中に事故が起きたことを想定して、事故者を保護したり、応急処置を施して搬出・搬送する「訓練」を行うことなので、机上講座があって、実技がある、という「講習会」ではないはずだが、実態として、それに近いものになっている。

「救助隊」があって、その本来の役割を果たすべく日常的に救助技術を磨く、ということではなく、県連加盟の会員ひとりひとりが、救助訓練に参加し、その実際の体験のなかで「事故を起こしたら大変だよ」ということを感じ取ってもらいつつ、救助に必要な技術や知識を覚えよう。そのことが、事故の抑止力となり、山行中の万一の際に落ち着きと自信を持って対処できるベースともなる。セルフ・レスキューの知識と技術をみんなが身につけよう、というのが、愛知県連が救助隊をあえて作らず、救助訓練を広く呼び掛けて実施してきた理由だ。

ただ、本来は、ロープワークをはじめ、救助活動に必要な基本的な知識、技術をひととおり、習得していることが参加の前提のはずだが、初心者が多かったのが気になった。半田ファミリーからの参加者は15人。事故もなく、無事に訓練を終えて帰ってきた。それぞれに学んだこと、気づいたことは多かったのではないかな。でも、寒かったなぁ。

 

参加者の一言

何回やっても難しい         杉浦茂治

今回の積雪期救助訓練では去年のリベンジの意味で参加をしました。去年の訓練の時は、パーティ毎での引き上げのシュミレーションを行った際に、ブレーキシステムの作り方を間違えて機能せず日からまかせに引き上げたり、挙句には支点の崩壊など色々やりまして今回はと思ったのですが、時間が無く出来なかったのが残念でした。と意気込んでいってもいざそのような異常事態になった時に、落ち着いていられるのか、何が最善なのかと色々判断をしなければいけない。訓練を繰り返し行うことで、そういった判断の材料にしたいと思います。

ツェルトが見事に裂けました。雪が少なくて滑らせる事が出来ず、持ち上げる事となった為ですが、一気に大きく裂けるのだと思い、使い方・搬送の仕方で違うのだと実感しました。救助は訓練だけで行うように安全登山に努めて行きたいと近いました。

 

   積雪期救助訓練に参加       洋 S

もし事故が発生したらどのように行動をすればよいのか?その基本的な知識や行動を学ぶために講習会に参加しました。

訓練実技では滑落事故を想定して受傷者を引き上げ、安全な場所へ搬送するために必要な確保支点の作り方・転落者の引き上げ方・搬送方法の講習を受けました。この訓練で感じた事として

@  家でできても現場ではできない。結束法を家で練習していきましたが、いざ現場で結ぶとなるとできませんでした。
A  搬送は大変なことである。狭い登山道、岩あり雪ありを短距離でしたが搬送しました。受傷者をカバーしかつ自分が転倒しないよう降るのは足腰腕の筋肉が悲鳴を上げるほど辛いものでした。
B  寒い、登りの薄着のままで受講していましたが身体を動かさなくなると震えるほど寒くなり途中から防寒着を着ました。

以上から学んだことは、もし事故が発生したら慌てず対処できるように現場での訓練は大切であること、現実的には(自分の体力・技術では)搬送は難しい、つまるところ事故を起こさない様にすること、滑落事故ばかりでなく寒さ、低体温症の回避や対処も重要であることです。また、コーチからは救助後の治療がスムーズにできるように「記録をとること」と、お話があり、あらためて記録の大切さを感じました。

 

積雪期救助訓練へ参加        脇田征季

山に登るようになってから初めての冬山。何もかもが初めて。アイゼンもピッケルも初めて。初めての経験で県連の積雪期救助訓練に参加してきた。ロープの縛り方も知らないのに、参加した。参加して厳しいと思った。

仲間を助けるという責任の重さがずっしりと感じとることができた。訓練で要救助者役になり、ツェルトで包まれて持ち上げられ山では絶対に怪我とか遭難などをしたらいけないと思った。実際にツェルトで包まれたひとを少しだけ吊って降ろしたけれど、大変だと感じた。ほんの少しの時間だけど、人を助けるってとっても厳しいことだと実感できた。

もっと、たくさんのことを学び、経験しながら、自分のものにしていきたいと思う。登山する準備をもっと早くできる訓練も家でしようと思う。また、参加したいと思う。宜しくお願します。

 

<日程> 2月3日(日)曇り

<山行目的> 県連積雪期救助訓練実技

<ルート> 裏道〜藤内出合付近訓練〜裏道

<メンバー> リーダー・講師: 洞井孝雄

       半田ファミリーからの講習生 14名

<記録>

5:00 阿久比役場集合・出発

7:00 裏道登山口着

7:30 集合登山開始

9:15 藤内壁テスト岩付近で訓練開始

訓練内容

@  ツェルト担架作成・搬送

A  支点確保

B  要救者引き上げ

15:50 ツェルト担架による搬送訓練

16:30 訓練終了・裏道より下山  【記録: 真 S】