半田ファミリー山の会第32期春山合宿(雪組)報告
2013.4.27〜29 南ア・仙丈ヶ岳、甲斐駒ケ岳周辺
晴天に恵まれつつも・・・
<甲斐駒ケ岳の基部で>
<小仙丈ヶ岳にて。富士山と北岳を背に>
半田ファミリー山の会の春山合宿(雪組)は2013年4月27日から29日までの二泊三日、南アルプス・仙丈岳、甲斐駒ケ岳周辺を山域に実施された。第一日目は戸台から北沢峠に入って幕営。第二日目は仙丈岳往復、第三日目は甲斐駒ケ岳往復後、撤収・下山という計画で、参加メンバーは13名。
初日、戸台から戸台川に沿って入山。午後3時前後に北沢駒仙小屋前の幕営場着。BC設営。第二日目はの4月28日は、快晴だったが、森林限界以上では風が強く、小仙丈から仙丈岳本峰間のアップダウン、山頂直下の雪面を前にして、午前10時の時点で撤退を決めた。時間的には、BCに戻っても、十分な余裕があったが、稜線に長くとどまるよりは早々に下った方がいいという判断をした。最終日は駒津峰を越え、本峰への基部まで進んだが、タイムリミットで午前9時半に引き返した。BCに戻ってテント撤収後、下山開始。戸台着午後4時30分。
結果的に、仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳をターゲットにしながら、いずれも山頂を踏まずに下山した合宿となった。
今回の合宿の目的に「残雪期の山域における生活技術、行動技術を習得、あるいは習熟するとともに3000mを体験する。準備から下山後の振り返りまでを含めて取り組みを共有した経験者を蓄積し、会の登山力量を高める」ことを掲げた。PL、SLを除くと、メンバー13名の内の大半がこの数年の間に入会した会員で、積雪期の経験も1〜シーズン、中には全くの残雪期は初めて、という会員もおり、一定の経験を積んだ会員の参加が少なくなったことは、トレーニング山行などの面で、若干手薄になったことは否めないが、任務分担以後、それぞれの担当する分野で、メンバーが個々に課題を見つけ出し、事前学習や打合せで報告し合うなど、新しい会員が多い分、それなりの緊張感と積極性をもって合宿に臨んだということができる。
本番では、仙丈、甲斐駒ともに小仙丈、駒津峰付近で引き返しているので、山頂に立つ、3000mを体験する、という点では消化不良であったといえる。ただ気象条件や時間、山域のコンディションや全体の状況は、あのような判断を求めていたように思う。 (文責:洞井)
春合宿 矢倉 圭子
仙丈・甲斐駒は2度目の合宿の地。前は、初めての雪山で新人気分。しかし今回は、そんなことは許されず、いろいろと求められることが多く力不足を感じた合宿となった。
1日目、高低差は少ないが長い河原歩き。重い荷に堪えるも、その後は追い討ちをかけるように急登の八丁坂。登りきった辺りで、L・SLが抜けてしまった。その先は他パーティのLの指示の元、先頭になって進んだ。途中、凍っていてアイゼンを装着するが、パーティ内の準備が不十分で足を止めてしまい、メンバーへの声かけ気配りが不足だった。また、幕営でも会の在籍年数から私が仕切りまとめ役をしないといけなかったが、個々で動き手際よくできなかった。
2日目、仙丈へ行くが朝の集合に遅れた。そして、共同装備の確認も他のパーティのSLがしてくれた。本来ならパーティ内で確認し、時間を見ながら声を掛け合い行動すべきだった。
仙丈への登りもキツく、森林限界までゆっくりと登る。そこで防寒対策をし進むも、風が強く足が止まる。CLの指示も離れていてすぐに仰げない状態だった。ようやくCLより戻れの指示があり樹林帯まで戻り風が弱まるのを待った。しばらくすると風は弱まり進むことができた。でも、いつ強風に合うかわからなく慎重に行動する。小仙丈を過ぎたヤセ尾根で撤退の指示が出て引き返すことになった。この人数での登頂はやはり難しい。撤退に異論はなかった。
3日目、3年前の合宿ではトレースなく大変で2時間ほどかかってようやく仙水小屋に着いたが、今回は歩きやすく1時間程で到着した。この日は撤収し戸台の河原歩きがある。時間の関係で、9時まで行動し引き返すよう指示が出た。登頂できぬまま引き返したが、駐車場に着いたのは、夕方のいい時間になっていた。
任務(医療)については、打ち合わせ時に応急処置・三角巾の使い方や、低体温症・雪盲など調べてまとめることができたのは良かった。行動中は靴擦れののみで、医療担当の活動はなかった。
今回の合宿を通して、いい加減しっかりと自覚して行動していかないとパーティをまとめることができないと実感した場だった。いつまでも新人気分は脱して今後は気を引き締めた山行をしていこう。
春合宿の振り返り 洋介S
入会後、冬合宿に続き2回目の合宿参加となりました。冬合宿のような緊張感や恐怖感(初めてのテント生活、厳冬期での行動など)は少し薄らいでいました。しかし、春とは言うものの冬と夏が同居し天候は目まぐるしく変わる、吹雪・雨・寒さ・暑さ・強風など、その対応(限られたザック容積の中で何を持っていくかの優先順位着け)には出発まで悩みました。結局はセオリー通り、要るのかなと思うものは不要なもの置いて行けということで荷物をまとめ上げました。
合宿地は南アルプス、仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳です。私たち初心者の技量を考慮され決定されたのだと思いました。私自身の目的のひとつ、アイゼンワークがうまくなりたいとういことがあり、仙丈ケ岳で雪、甲斐駒ケ岳で岩を少し体験でき少しは慣れたかと思いました。
合宿当日、戸台口から出発です。川沿いや向かいの山に咲く桜、桃や新緑が目を楽しませてくれます。2日目の仙丈ケ岳は強風のため途中でもどりましたが、1日目、3日目とも計画通り進捗できました。3日間とも好天に恵まれ、白い雪・青い空・遠くの山々を心行くまで堪能できました。
合宿の目的の一つ行動技術の習得ですが、強風の怖さ、痩せた尾根の歩行、長時間歩行の経験は今後の山行の糧となると思いました。生活技術としては、合宿前にテント張り講習、登山学校でのテント泊実技があり、その経験が役に立ちました。ただ、合宿では起床から出発までの短い時間で朝飯、トイレ、装備準備が必要でバタバタと慌ててしまいました。初日はフライのジッパー、本体の出入り口を閉め忘れ先輩より注意を受けました。先を読み行動し、ゆとりを持てるようにならないと、と反省をしました。
医療担当としては、事前打合せで雪目、低体温症、医療携行品の見直し、テーピングの知識、三角巾の使用方法、緊急時の心構えなど基本知識の習得と共有化が少しはできたと思います。
合宿までの準備としてトレーニング不足を感じました。3日目の駒ケ岳に向かう急登は相当堪えました。基礎体力を高めるトレーニングを日々行わないと、と反省をしています。
好天に恵まれ登山者が増えたためかGW中の遭難事故が多く発生していました。仙丈ケ岳でも登っていた当日に事故があったと報道されていました。山は美しいが畏れ多いとあらためて思いました。