北アルプス

奥穂高岳(3190m)・北穂高岳(3106m)残雪期登山

  

 

<山行期間> 2013(土)〜6日(月)

<ルート> 上高地〜涸沢〜奥穂高岳〜涸沢〜北穂沢〜北穂高岳〜涸沢〜上高地

<参加者> L       板津彰伸 他3名

 

コンディションに恵まれ            孝K

 2泊3日で奥穂高岳、北穂高岳に登りました!しかも天候は快晴、無風でこれ以上ない最高のコンディション。景色も奥穂高、北穂高ともに槍ヶ岳、ジャンダルム、常念岳、笠が岳と360度全ての山がくっきり見え、今年一年間の運を使い切ったんじゃないかと不安になります。ただし、ルートは厳しく、涸沢からザイテングラードの登りや涸沢から北穂沢の登りは雪沢なので滑落や雪崩がいつおきるかと思うと不安になったり。白出のコルからのはしごや特に雪壁の登りは下から見ると「えっこんなところ登るの?」という迫力でした。結果的には条件に恵まれ雪壁もステップが出来上がっており思ったよりは怖くは無く登れました。ただし下りは板津さんがザイルで確保しながらの下降だったので比較的安心して降りることができました。自分としては降りることに精一杯で光田さんのザイルをいっぱい張るなどの動作ができなくてあらためてまだまだだと感じました。

北穂沢は先日、5名の滑落者がでたと聞いていたのでなんて恐ろしいところだと思ったが、こちらも条件に恵まれ、きちんとステップが出来上がっており比較的安心して登ることができた。ただ登った時の高度感は半端じゃなく、先行者のトレースがない場合など自分の力ではまだまだ厳しいと感じた。しかしとても楽しい山行でまたきたいと思った充実した3日間でした。

 

苦節18年                  佐枝

 やっと、やっと、やっと雪の穂高へ行って来た。入会したとき30代(39歳だが)だった私もすっかり中高年になってしまった。    

何年か前に、奥穂の凍りついた鎖場に手をかけた所で撤退、その翌年は悪天候で出発する前に中止でそれからすっかりチャンスから見放されていた。奥穂のザイテングラートから見上げた雪壁、涸沢から突き上げるように伸びる北穂沢の雪の白さ、やっぱり山頂に登ってこその穂高だ。雪山は1に体力、2に体力、3に体力、氷雪技術で最初に言われた言葉を思い出す。確実に劣化して行く体に来年という言葉は無いかも知れない。やっぱり雪の穂高にのぼりたい!

そんな私に天候は味方してくれて涸沢に辿り着いた。頭上を低くヘリが旋回している。奥穂で2人、北穂で5人事故で搬送されたらしい。穂高とはそういう山なんだ。改めて実感した。満員のテント場の風よけのブロックを崩し何とかテントを張る。幸せな時間が流れいよいよザイテンクラートから基部に取り付いた。前回より鎖もハシゴもしっかり出ていて注意して登って行く。下から見上げた雪壁もピッケルのブレードを確実に打ち込み一歩づつ確実に登っていく。思ったより怖さを感じなかった。山頂の何度か見た祠もジャンダルムも今は目の前にある。やっとキター!いつまでも感激に浸っている訳にはいかない。山は登りより下りだ。登って来る人もいるのですれ違いに注意しながら一歩づつ下って行く。

雪で乾燥しているのか、緊張していたのか、暑かったのか喉がカラカラになってしまった。ポカリを飲み干しズボズボの雪にはまりながらお家(テント)へと向かった。あんなに混んでいたテント場は潮が引いたように数えるほどの数になっていた。夕方から風が強くなり夜半からは冷えて寒かった。

 最終日は北穂だ。白く伸びた北穂沢を詰めれば私の北穂に辿り着く。そう思うと気分はハイ状態、山ハイ?イカン、イカン確実に、確実に。アイゼンは気持ち良く利くし、段差は大きいがトレースは階段状になっているので歩きやすい。グングン登り台地に乗っかった先の雪の上に道標のみ立つ北穂に着いた。青い空の下ぐるり360度の大展望、

キレットから槍、遠く立山、鹿島槍、うれしい!思えば長い道のりだった。天気に感謝、メンバーに感謝、家族に感謝、すべてに感謝!十分満喫し涸沢に降りて行く。雪の下りは早い。テント場にはもう1,2張りしかテントが無かった。夏山が始まるまで静かな時間が流れるんだろう。帰りの沢には新しい雪崩のあとや落石のあとがいくつもできていた。祭りの後の寂しさにも似てテンションの下がった体に上高地までの道は辛かった。次回もし来ることがあっても小屋泊まりだろうなあ。振り向いて見た穂高は本当に美しかった。♪さらば穂高、穂高よさらば〜♪

 

思いは実るのだ            良I

Mさんの執念のおかげでしょう。家庭崩壊もなんのその!?「登りたい」という強い思いが神様に届いたようで、お天気ばっちり、雪質安定、申し訳ないほどの好条件で奥穂、北穂とも登らせていただきました。私はラッキーな気持ちでいっぱいです。

雪の量は、今までGWに来た中では、一番少なく、涸沢まで雪崩の跡もない(2日後の帰りには雪崩の跡が何か所かあった)。が、ここ数日、夕方になると雪が降ったということで、きれいな雪の上を歩いて行けた。初日も午後から雪が降り始め、雨っぽい雪でちょっとテンションが下がる。涸沢で新海さん、石黒さん、東三河の河合さんにお会いし、今日の北穂、奥穂の滑落の事故をお聞きした。慎重に行動しよう!

翌日、快晴!奥穂に向けて出発。雪の状態は、登るにはよく締まっていて、歩きやすいが、下る人はとても慎重に一歩一歩、下ってきている。ツライ登りを終えて、穂高岳山荘に到着。岐阜県警のカッコいい(と思われる)お兄様たちが、双眼鏡片手に上部を見ている。どうやら見張っているようだ。そしてそのうちお二人が出発。これは偵察?ますます気が引き締まる。私たちも登り始める。足場はしっかりしているので、ラフなことをしなければ大丈夫そう。最初の難関を越え、稜線を歩き、そしてもう一度、慎重に雪の壁を登る。着いた!山頂もいいけど、その途中で見えた、キラキラの雪(氷?)の美しさに大感動。宝石よりウンと美しい!(宝石、見たことないけどね。)ホントにきれいなんですって!!ゆっくり山頂で休んで、充分堪能して、下り始める。下りはさらに慎重に。ロープで2度、確保しあう。山荘から先の下りは、温度が上がって、ズボズボ。歩きにくくて疲れる。テントの数が激減している。皆、帰るのね。

その夜、風が強く、またとっても冷えて、眠れず。翌日、天気が悪くなるかと思いきや、光田さんの執念が勝ちました!これは登らなくては。北穂沢を一直線に登って行く。登って、登って、登って行く。山頂から見た景色は、そりゃあもう、美しいです。とっても広がりの感じられる雄大な景色。絶景とはこういうことを言うのですね〜、きっと。後は、下るのみ。段差が大きく、急勾配なので、またもや疲れる・・・。今日はテント場から先がまだあるのだ。ここで疲れている訳にはいかないのだ。荷物を背負って、下り始めてからも、何度も何度も皆で振り返る。振り返りたくなるんですよ、これが。

そして余談ですが、今回、新たな発見がありました。Iさんの体調のバロメータは、女子にどれだけ声を掛けるかで分かります。この山行中、誰にも声を掛けませんでした。こんなIさん、見たことない!女の子の名前を呼んだのは「なっちゃん(ジュース)」のみ。その代わり、連呼していましたけどね。とにもかくにも、皆様、ありがとうございました。

 

<記録>

5月4日 曇り時々雪

4:00 阿久比町役場発

8:30 上高地

9:16 明神

10:07 徳沢

11:15 横尾 横尾を過ぎてすぐ積雪あり

12:40 本谷 アイゼンを付ける

15:20涸沢

テント泊

5月5日 晴れ

5:40 涸沢

9:00 白出のコル

9:50 奥穂高岳山頂 

10:20 奥穂高岳山頂出発

11:30 白出のコル

12:07 白出のコル出発

13:22 涸沢 

テント泊

5月6日 晴れ後曇り

5:20 涸沢

8:05 北穂高岳山頂

8:30 北穂高岳山頂出発

9:30 涸沢 テント撤収

10:05 涸沢発

12:35 横尾

13:45 徳沢 アイスを食べる

14:40 明神

15:30 上高地

21:00 阿久比、帰宅