2013.5.11 鈴鹿・鎌ヶ岳

     雨の登山講座実技

       

 

12時5分。全員が鎌ヶ岳(1161m)山頂に立った>

 

                                  洞井 孝雄

 2013年5月11日(土)。県連の一般向け登山講座の実技が実施された。鈴鹿スカイラインから三ツ口谷に入って山頂に登り、武平峠に下りる講座実技の定番コースである。この第一回目の実技には受講生36名、L、SLとして県連のメンバー13人(半田ファミリーからは、板津、春日)が参加した。

当日は集合時点からすでに雨。金山に集合し、7時30分に出発。60人乗りバスで東名阪道から湯の山ICを降り、鈴鹿スカイラインへ。三ツ口谷の出合で下車し、六つのパーティーに分かれて出発準備。各パーティーのリーダー、サブリーダーがそれぞれ受講生たちに雨具の指示、足元やザックの点検、ストレッチングなどをおこなって出発したのは9時30分前後。三ツ口谷堰堤の上部から谷筋に降り、左岸につけられた登山道を登っていく。大滝方面へ行く尾根道と巻き道の分岐を大滝方面にとり、しばらく進んで、大滝の手前から滝の上部左岸に出る踏み跡にロープを固定、プルージック結びで命綱をセットして登る。人数が多いので結構時間を食う。左岸の山腹を巻いて急な傾斜を登って右からの巻き道と出合い、左に進んで沢筋に降りる。沢の中を登っていく。途中からパーティー間に開きが出始める。パーティーのブレーキになっている受講生をSLにシュリンゲで引っ張るよう指示を出す。長石尾根との分岐を越え、そのまま沢筋を登っていく。今度は別のパーティーから受講生の一人が動けなくなった、と声がかかる。預かって他のメンバーを先行させ、長いテープシュリンゲをつけて最後尾につく。樹林を抜けたガラ場の登りでは、足の運びを指示しながら引っ張り上げる。登り切ったのが11時半。計画書記載のリミットだが、無線を聞いていると、先頭のパーティーはすでに山頂直下まで進んでいる。この状況なら予定通り14時には下山できそうである。リミットを30分ずらすことを全体に伝え、そのまま山頂に向かうことにし、休んでいるパーティーにも、すぐに出発を促す。砂地の尾根から潅木、風化の進んだ岩の間を抜け、山腹を巻いて尾根を登るようになると山頂はもう目と鼻の先だ。足が止まりそうになる受講生に「あと30m」「あと20m」などと声をかけながら山頂に引っ張り上げる。

12時5分。全員が鎌ヶ岳(1161m)山頂に立った。各パーティーのリーダーを集めて、山頂からダイレクトにロープを固定して下ろすこと、それぞれ要所に立って確保するよう伝えて下山開始。山頂直下の崩壊部分を通過するのには少し時間がかかったが、それ以降は順調に下山し、武平トンネル下の駐車場に最終のパーティーが到着したのは14時10分。バスに乗るころには少し雨脚が強くなった。「初めての登山が雨の鎌ヶ岳登山になりました」「これまで雨だったら絶対止めていたのに登ってしまいました」「雨具を初めて使って、その威力を知ることができました」…。年齢と体力のギャップに自信をなくしたり、改めて登山の厳しさを知った人もいたようだが、受講生のほとんどは、雨にもかかわらず、「いっぱいいろんな経験をした」「もっと登りたい」などという感想を帰りのバスの中で聞かせてくれた。晴れていれば「楽しかった」だけで終わっていたのだろうが、雨の鎌ヶ岳は、その何倍もいろんなことに注意をはらい、いろんなことを考える機会になったようである。なによりも全員が無事に実技を終えたことでひとまず、ほっとしている。