2013年6月28日/富士山
登録直後山開き直前 洞井 孝雄
<最高地点剣が峰で。>
<浅間神社奥社で。世界文化遺産登録記念(?!)>
世界文化遺産に登録された富士山だが、登録の有無にかかわらず、シーズンの富士山の混雑だけは遠慮したい。無雪期なら技術的に困難な山でもないし、山そのものは溶岩と砂ぼこりの塊で、決して登って美しい山ではないけれど、その高さと大きさは別格である。やはり長時間歩くこと、4000m近い高度まで登ることは、少しはトレーニングをしたという気持ちになれる。そんな思いが、山開き前に登りたいという気持ちにさせる。
合宿のトレーニングも兼ねて、ウイークデイの28日(金)に休みを取って、会の仲間に声をかけたのだけれど、会員からは参加したいという声がなく、県連の一般向け登山講座の受講者に声をかけたら、たちどころに希望者が4名も出た。さすがに富士山のネームバリューは強い。結果的には二人の女性が参加できる条件を作ってきたので、私は彼女たちの生まれて初めての富士登山に付き添うことになった(もちろん、自身のトレーニングが最大の目的だが)。
27日の夕方、二人を金山の駅前で拾って、新東名から富士ICへと走る。途中から雨。その日のうちに富士宮新五合目に着いたが、例年なら登山口前の駐車スペースにはほんの一二台しか車が止まっていないのに、この日はけっこう数が多かった。地面が濡れているので用意したテントを張るのをやめて、車内で仮眠をとった。
28日。曇り。少し空が明るみはじめた頃に出発する。登山口から六合の小屋、あまりガスで見通しの利かない登山道をゆっくり登っていく。後ろから登ってくる登山者何人にも追い越されながら、じっくりと足を運ぶ。同行のメンバーは、元気に後ろを付いてくる。およそ30分毎、小屋と小屋の中ほどと小屋で休憩をとりながら登っていく。八合目、九合目の小屋を越えると、雪渓が現れる。昨年は、中を突っ切って直上したのだったが、今年は規模が小さく、登山道が顔を出していて、アイゼンも出すことはなかった。かなり息が上がり、足が重くなり始めた頃、九合五勺の鳥居を越え、やがて浅間大社の前に出た。ひとりは、この浅間大社の前で手を合わせるべく、五円玉のお賽銭を三つ用意してきてくれた。もうひとりは一面に「世界文化遺産登録」という特大の活字が躍っている新聞をザックから取り出した。こういう小道具を用意して、山頂についたら「○○してみよう」というところが、彼らの富士山にかける意気込みというか、思いの新鮮なところで、私たちにはなかなかまねのできないところだ。記念写真をとって、剣が峰に向かった。山頂部もあらかた雪は解けてしまっていて、昨年は雪掻きのブルが稼働していたのに、今年はひっそりとしたものであった。眺望はなかったが、お鉢からは曇りであるがゆえに、満遍なく光がまわって影のない火口部がよく見渡せた。最高地点3776mに立ち、下山開始。一人が高度に弱いのか、八合目を過ぎたあたりで嘔吐したが、かえってそれで楽になったようで、午後3時前に下山。文化遺産登録直後の山開き直前の富士登山であった。
【記録】2013年6月28日/4:28 五合目発〜4:46六合目〜5:17休憩。5:25出発〜5:47新七合目5:54出発〜6:24休憩6:27出発〜6:44 元祖七合目6:50出発〜7:11休憩7:24出発〜7:41八合目休憩7:52出発〜8:32休憩8:40出発〜8:48九合目〜9:23九.五合目9:30出発〜9:51浅間大社10:20浅間大社発〜10:40剣ヶ峰到着!10:58発〜11:23浅間大社11:27発〜11:50九.五着12:03 出発〜12:28九合目到着12:33出発〜12:5八
合目13:00出発〜13:26 七合目通過〜13:54新7合目13:57出発〜14:25六合目通過〜14:46駐車場(新五合目)着