県連 登山学校実技Cコース/2013年7月6〜7日 鈴鹿・前尾根、ツメカリ谷
岩登りと沢登り、そして二件の事故
<2013.7.6 裏道の事故。搬出時のひとコマ。>
< 2013.7.7 ツメカリ谷で。>
はじめに 洞井 孝雄
7月6日(土)、7日(日)の二日間、県連登山学校の実技が実施された。
6日は、クライミングをするコース、マウンテニアリングコース、それぞれ、御在所岳の藤内壁、鎌ヶ岳で実施された(マウンテニアリングコースの実技には、わが会からスタッフとして矢倉が参加している)。わが会の登山学校受講生は全員がクライミングコースなので、6日には藤内壁、その日の夜は、マウンテニアリングコースの受講生もスタッフも全員が県連の朝明ロッジに合流し、翌7日には釈迦ヶ岳のツメカリ谷で沢登りをする計画で入山した。
6日、スタッフ、受講生ともにスカイライン沿いの裏道登山口に集合。パーティー分けをされたコーチ、アシスタントコーチと受講生がそれぞれ、藤内沢の出合を目指して登って、一壁もしくは前尾根に取りついた。この日、それぞれに登攀実技をおこなって、タイムリミットの15時30分までに藤内小屋で合流できるように下山を急いだ。その下山途中、ひとつのパーティーのコーチの一人が、ウサギの耳でスリップし、すべり台状の岩を数メートル落ちて踵を骨折、ヘリコプターで搬出するという事故が起きた。生命に別条はなく、ヘリの搬送が終わった後、受講生たちに実技は計画通り続けること、事情聴取を受けるメンバー、発送先に行ってもらうメンバー以外は全員、本日の宿泊先、県連朝明ロッジに向かうよう指示した。
その後、朝明ロッジに合流して(ロッジの配電盤が取り去られていて、ロッジの電気がつかなかった。だれが、どうして、という調査はこれからである)、暗い小屋の中で、食事を囲んで、この日の事故について感想を述べてもらうなど、ミーティングをおこなった。
翌日は当日参加のメンバーと合流して、羽鳥峰から白滝谷の登山道を下り、ツメカリ谷に入った。登っている途中で受講生の一人がスリップして脇腹を打ち、痛みがひかない、という話を下山途中に聞いた。「ひょっとして肋骨にひびが入っているかも知れないな」と話していたのだったが、案の定であった。これもまた、命に別状がないことが不幸中の幸いであった。
スリップ当時の状況についてはできるだけ詳細に客観的に思い出してメモってほしい、とお願いをしておいたが、一日も早く戦線復帰をしてほしいものだ。
今回の登山学校の実技では、二日間にわたって二件の骨折事故が起きたが、コーチの実技での負傷事故は、私の記憶する限り初めてのことだ。ある意味では、これまで30年以上にわたって、コーチの事故がなかったことのほうが奇跡的なことだったのかもしれない。それだけに、私たちにも油断があったのかもしれず、今後、登山学校の中でもこの経緯について明らかにし、厳に戒めるべき課題になっていくことであろうと考える。
日時 7月6日(土)、7日(日)
天気 6日曇り、7日晴れ
【メンバー】
コーチ 洞井孝雄 AC 斎藤伸一 研修生 孝K
受講生 7名
“飛びません!!” 聖S
今回は、1泊2日の実技となりました。1日目は、前尾根でクライミング。朝から、蒸し暑い中、“今回はスピードアップで”という指示の元、藤内小屋で休憩も取らず、P7の取り付までひたすら歩く。最近、山登りをしていないので、正直、大変でした。P7の取り付まで行くと、既に他の会のパーティが数パーティいましたが、順番待ちをして、何とか時間内にP7〜P2まで登りきる事ができました。今回一緒に組んだ受講生は、何事においても、常に私の一歩前にいて、とても勉強になりました。まだまだ、次に何をするべきかを考える反射神経が遅いようです。藤内に戻る際に、アクシデントが発生しました。正直なところ“まさか”という思いがありますが、事故は誰にでも起こりうる事であるという事を再認識させられました。
2日目はツメカリ谷での沢登り。朝明から鳩峰までの道は、とにかくヒルとの戦い。這い上がってくるヒルを蹴落としながら、白滝谷へ。沢の準備をして、ツメカリ谷へ。天気も良く、最初は水を冷たく感じましたが、沢を楽しむことができました。しかし、遡行図を持ち歩き、休憩の際に確認をしながら登りましたが、現在地がはっきりと掴めない。最終的に、どの地点から沢を上がったか分からない。沢を楽しむのに夢中で、学校の実技としての沢登りはおざなりになってしまいました。また、2日間通して体力面でも不安を感じました。今回、確かに1日目、蒸し暑い中の行動、2日目は沢でいつも以上に体力を使い、朝明の駐車場に戻る頃にはヘトヘトでした。この後、まだ、見極め山行と、研修山行が残っています。両方とも体力を必要とするので、本番までに、自分なりに体力トレーニングを行なわなければと思いました。
最後に、毎年!?恒例の受講生の滝壺への飛び込み。苦手な私は、“飛びません”と一貫して拒否。どんなに周りに盛り上げられても、駄目なものは駄目。自分の頑固さと臆病な一面を認識することが出来ました。
楽しさと怖さ 由H
ヒルの噂で当日胃が痛くなっていましたが、そんな胃の痛みもぶっ飛ぶほど一壁にビビッていました。なんとか一壁の1から3ルートを終えて、P7、P6と進んで1日目の実技を終えました。藤内小屋について一息したところで、コーチが怪我をしたとの連絡が入り緊張がはしりました。
そして県連小屋では電気が切られているというハプニングで炊飯器でご飯を炊く予定だったのでご飯も炊けずヘッドライトですごすという体験になりました。
2日目の沢登りはとても楽しかったです。水の中は足元が分かりにくいので何度か思ったより深みにはまったり、水中の石に躓いたりと目に見えない怖さもありました。滝からのジャンプはとても楽しかったです。しかし・・・装具を外した時に服のお腹のあたりになにか色がついていたのでまさかと思ったらヒルにやられていたことに驚きでした。さらにヒルは・・・どこへやら??傷跡だけのこして・・・。
2日間で楽しさと怖さの両面を体験して、さらに安全登山を心がけていきたいと思いました。
前尾根とツメカリ谷 真Y
今回は、泊りもありの実技だった。1日目は、とにかく蒸し暑く取りつきまででバテてしまった。立ち眩みがするほどで、湿気のある暑さのすごさを経験できた。クライミングは、やっぱりうまく登れず、もっと経験を積まなければと思った。県連小屋は、噂に聞いていたほどヒドイ状態ではなく、電気がないなかみんなで豚汁を作り、食事をして楽しかった。掃除をしてくれた方々に感謝です。
2日目は、ツメカリ谷での沢登り。初めての沢で、しかもカナヅチのわたしは不安だらけでしたが、コーチや研修生にフォローしていただき、徐々に不安がなくなり楽しめるようなった。途中、足を滑らせ体を打ったり、滝からの飛び込みでは、溺れかけて助けてもらったり、振り返ってみると、危ないことばかり・・・反省しなければいけないことは多々ありますが、沢の水は気持ちよく、また機会があったら沢登りをしてみたいと思った。
帰って装備を洗っていたら、ヒルが3匹もいてビックリ。そしてわき腹が痛くて病院に行ったら、肋骨が折れてました。6日には、別の事故もあり、7日にはお婆さんの道迷いがあったりと、少しの気の緩みが事故に繋がると痛感した2日間でした。この2日間のことを自分なりに考え、今後の山行に生かしていけたらと思う。
【記録】
6日 5:30 阿久比町役場 出発
6:40 裏道登山口
6:50 出発
8:00 各チームに分かれて実技
16:30 藤内小屋集合
17:00 裏道登山口着
7日 6:30 朝明駐車場 出発
7:30 ハト峰山頂
8:50 愛知川出合
終日ツメカリ谷
16:00 朝明駐車場着