2013.8.3〜4 南ア・北岳

バットレス偵察・撤退

 


 <dガリー取り付きの雪渓の下部で>

 


<大樺沢への下降>

 

洞井 孝雄

 8月3日・4日の二日間で、南アルプス。北岳に出かけた。メンバーは県連登山学校のスタッフ8名。半田ファミリーからは斎藤伸一、矢倉圭子、春日孝俊、そして私。

 3年前に北岳バットレス第4尾根の終了点付近が大崩落を起こし、一時登攀禁止になって以来、第4尾根はトレースしていないままになっている。一昨年は八ヶ岳の中山尾根と小同心、昨年は阿弥陀岳南陵と小同心をクライミングコースの研修山行のルートに充ててきたが、昨今では、第4尾根をトレースしたパーティーの報告を聞いたり、ウェブでも記録が載っていたりするので、また登山学校の研修山行のルートとして使える可能性は高い。この二年間、代替山域としてきたルートは、14ピッチにも上るバットレスのスケールやロケーションを比較しても、やはり太刀打ちできない。

 グレード的にも、終了点間際の枯れ木テラスの上部が崩壊してしまって、以前より難易度が上がっている、らしい。最近登ったというパーティーの話を(又聞きだが)聞くと、最終ピッチの部分で渋滞し、かなり時間がかかっているという話である。いずれにしても、自分たちでトレースすることなしに、グレードを確認することもできないし、受講生たちをリードして無事に、全員を登らせることができるかどうか、という判断もできない。

 とにかくコーチ会議のメンバーで下見に出かけよう、という声が夏前から上がっていて、日程を調整して出かけたのだ。

 いつもなら、前夜に芦安に入って仮眠、朝一番のタクシーで広河原に入り、その足で二股上部から取り付きに登って、登攀開始、夕方には山頂に抜けて方の小屋で一泊、翌朝下山というパターンなのだが、今回は、作戦を変えて、初日早朝に出発。昼前に芦安から広河原に入り、白根御池小屋に泊まり、翌早朝出発。早い時間に取りついて、午後には終了点を抜け、下山するという計画にした。

結果的には、3日は予定通りに白根御池小屋に投宿し、4日の3時に小屋を出発したのだったが、二股上部の取り付きへの分岐を探すのに時間を食い、さらにbガリーの取り付きの手前に残った雪渓に阻まれて、取り付く地点を選んでいるうちに時間が経過し、結果的に、このまま取り付いても時間切れ(広河原のゲートを午後5時までには抜けなければならないという時間的制約があった)となるだろうと判断し、取り付くのを断念して、そのまま下山してきたのだった。

御池小屋から二股まではラテを頼りに歩いても30分ほどの距離だが、二股からbガリー取り付きへの分岐を見つけるのに時間を食った。私たちの記憶では、二股からそれほど離れていないところに分岐があるという認識だったのだが、実際には二股からずいぶん登ったところに分岐と踏み跡が続いていた。私が、途中で「(分岐を)通り過ぎたんじゃないか?」と不用意な発言をしたことも一因だったかも知れない。二股近くまで引き返したり、行ったり来たり(登り下り)に1時間ほども時間を食ったのだ。

引き返すことを決めて、大樺沢を広河原まで下った。先ほどまで抜けるような青空がひろがっていたのに、途中から雲が広がり、やがて取り付きから上は濃いガスに閉ざされてしまった。昼からは崩れる、そんな天気予報通りになった。

広河原では、下山がしてきた登山者のタクシー待ち、バス待ちの行列ができており、私たちも、夕方に予約していたタクシーをキャンセルし、乗り合いタクシーの列に並んだ。

途中、ぱらっと来る場面もあって、取り付きから引き返してきたのは正解だった、と思いつつ、一方で、トレースしたかったな、という思いもなくはなかった。残念な思いを抱きながら帰ってきたのだった。