北アルプス 剣岳(八ツ峰)

     

 


<1ピッチ目のスタート地点 まだ余裕たっぷり>

 


<核心部のリッジを登る新海 後ろは長次郎谷も雪渓>

 


<クライミング終了 大満足のメンバーの笑顔>

 

期日:2013 8/12〜8/14

目的:クライミング&バリエーション

メンバー:L 板津彰伸 他 4名

ルート:@室堂〜剣沢〜真砂沢ロッジ
    A〜長次郎谷〜6峰Cフェース〜 八つ峰〜長次郎谷〜真砂沢
    B〜剣沢〜室堂

 

剱岳八ツ峰Cフェイス(剣稜会ルート)・・・  板津 彰伸

剱岳八ツ峰は岩場の美しさが特に素晴らしくバリエーション入門ルートの本にも紹介されている。2年前に源次郎尾根から見た時に「次はここに行きたい!あのルートを縦走したい!」と思ったルートに行くことが出来ました。昨年は雨で中止だったが今回は2泊3日の日程で快晴の条件で岩場を楽しめました。八ツ峰縦走(6峰へ岩場のクライミングをしてから縦走になるが)はこの岩登りよりもその後の縦走のほうがルートファインティングを含めて難しかった。(懸垂下降も何回もありました。)

【8月12日】

初日は室堂から剱御前小屋〜剱沢小屋〜剣山荘〜真砂沢ロッジのテント場までのコースとなる。室堂までの観光客は非常に多くバスの待ち時間も1時間となったがゆっくり山行が出来た。雪渓ではアイゼンが有効だったが、夏靴とアイゼンは相性が悪くすぐに靴擦れになった。テント場に到着し場所を確保。20張程度のテント場は満員状態だった。日中はあんなに暑かったが夕方になり急に寒くなった。

【8月13日】

このルートは雪渓歩きを含むアプローチの長さがありアイゼンでの歩行時間が長く私だけがバテて皆に迷惑をかけましたが3時前の出発が良く結果的に六峰取り付きには一番乗りで到着。ハーネスをセットする前に誰がリードするかジャンケン大会になり、斉藤君がリードすることになる。2級から3級程度の岩登りだが高度感があり緊張する。特に4P目のナイフリッジを渡るところがハイライト部分で新海さんはリッジの上に座り写真を撮るようにせがむ。(ばっちり撮影したつもり)クライミングが終わり皆で景色を楽しんだ後は、踏み後のある縦走路になったがこちらの方が核心部だったようで、ザイルを使わない岩登りと懸垂下降の連続になった。

途中で3パーティーが入り組む形になり8峰の登りでは、後のパーティーに注意したにもかかわらず大きな落石を起こした。大きさ的には60cm程度の岩が落ち途中の岩場に当たり5個程度に激しく割れたのを見た。幸いにもこのメンバーは全員無事!(当たっていれば良くて大怪我のような状態だった。)8峰の上からの景色はチンネやらクレオパトラニードルが大きく壮大に見える。懸垂下降後、八ツ峰の頭手前から長次郎谷に降り雪渓の急斜面を慎重に下ることにする。12本爪のアイゼンとピッケルは必需品だった。熊の岩からは緩斜面になり緊張感は無くなった時に上の方から『ラク!ラク!』の大声で振り返ると300m上から30cm程度の岩が音も無くすごいスピードで落ちてくる。40m程度離れていたが当たっていればこれも大変なことだった。(雪の上の落石は音も無いことは聞いていたが・・)真砂沢ロッジに到着し皆で握手し満足感にひたった。

【8月15日】

今日は室堂に帰るだけだが長い雪渓の登りになる。最初の1ピッチは頑張れたが、今日もバテバテで結局新海さんにザイルを持ってもらった。(先日までヨーロッパに行っていたのにすごい体力だ。)剱御前小屋からは下りになり花を楽しむ余裕もできました。

結局3日とも私だけがバテバテの状態で気持ちも折れそうだったが皆の協力で今年の目標の八つ峰Cフェイスを大名登山で登ることが出来た。感謝、感謝でした。

 

次につながる山行              良I

楽しかったね〜♪面白かったね〜♪

昨年の夏は悪天候で中止。その分、今年は晴れました!春からこの日のために練習してきた甲斐がありました。メンバーはどなたもトップができる人ばかり。足手まといにならないか、私のせいで、「本当はこちらのルートを行きたいけど、やめておくか・・・」というようなことがないか、とても心配でした・・・。

1日目は真砂沢まで行くのみ。そして翌日に備え、早々に就寝。2時起床の直前に見た夢は、なぜかサッカーの日本代表がゴールを決めるシーン。「これは良い夢に違いない。」と思い込む。暗い中、長次郎谷を登っていく。第6峰Cフェースの取り付き地点でアイゼンを脱いで、登山靴からクライミングシューズに履き替えると、ワクワクドキドキ感いっぱい。

半田の他の3人は、リード決めのジャンケン。昨夜、お肉争奪戦のジャンケンに負けた齊藤さんが勝って、リードの権利を得た。齊藤さんは嬉しそう、他のお二人は残念そう。齊藤さん、昨夜、負けておいて良かったね〜。最初にIが登る。初めてのところは、どこにピンがあるのか、どこで切るのか、トップは慎重だ。次に私がセカンドで登らせていただく。最初はちょっと怖かったけれど、クライミングを何度か練習してきたおかげで、ビビることなく、と〜っても楽しく登ることができた。リッジも「ワ〜オ♪」と笑顔で通過。私にこんな日が来るなんて、皆様のおかげ。私の後ろは齊藤さん。緊張した感じがかっこいいです!が、この後、もっと緊張する場面に遭遇するとは、この時は思わなかった・・・。

楽しくクライミングを終え、笑顔があふれていたのに、登山靴になってから、皆が真剣な表情に急変。その辺りはどなたかが書いてくださると思うので割愛。私は皆さんが、次にやることを見越し、無駄なく連携の取れた動きをされるのに見惚れるばかり。美しいなあ。そんなこんなで、最後は長次郎谷を激下りして、無事にテント場に戻った。私にはたくさんできないことがあるけれど、今回は特に懸垂下降。何回か懸垂下降したが、1か所、出っ張った岩の下に何もなくて、足が宙ぶらりんになり、体が振られて横の岩に当たってしまった。よ〜く考えれば、体が当たるということはそちらに壁があったわけで、そちらに振られないように足を置いてバランスを取ればよかったのだ。さらにその下部でも、うまくできなくて時間がかかってしまった。後続の人のやり方をみると、左手で岩を押さえてバランスを取っていた。私は、意味もないのに左手もギュッとロープを掴んでいるので、そういうことができなかったのだ。次回、こういう場面があったら頑張ろう!そして、皆さんの連携プレーの中にちょっとでも加われるように頑張ろう!

最終日、今までお世話になった皆さんに“恩返し”というわけで、ムリヤリの高山植物講座。でももう、すっかり忘れちゃったでしょうね・・・。

皆様のおかげで素晴らしい経験をさせていただきました。お天気に恵まれ、メンバーに恵まれ、そしていつも応援してくださる留守宅に恵まれ、本当に幸せに思います。ありがとうございました。さ〜て、来年に向けて、まずはプール通いでしょうか?

 

ゴタゴタ                     新海 時生

 出発前日にヨーロッパから帰ってきたら、飛行機から僕の荷物(ザックに山道具など一式)が出てこない。話には聞くが、まさか自分の身に起ろうとは・・・さあ大変。残っている道具をかき集めます。つま先のラバーがはがれ、穴開きのクライミングシューズ。ひもの止めが壊れ、靴ひもで結ぶヘルメット。本来は冬山用のハーネス。岩稜用のアイゼン(雪渓歩くだけなのですが)・・などなど。シュリンゲ、がちゃがちゃ類は残りでどうにかなりそうですが、困ったのがザックと靴。ザックは斎藤君に特大を借りました。靴は借りるわけにもいかず、刈谷の穂高へ走りました(3万円以上です、トホホ・・)細かい物も1つずつチェックしながら揃えているうちに一日が終わりました。ぐったりです。このごたごたで心配していた時差も飛んでしまったようで、三日間ずっと元気にやってこられました。(山から帰ってからの方が時差ぼけっぽいです)メンバーにも天候にも恵まれ、とても楽しく最高の山がやってこられました。「また来年も」と約してはいますが、ぼくにとってはとても大変な課題を背負っているので、今から心配です。

 

緊張                        齊藤 伸一

雲一つ無い空の青、そこから見える剣岳の木々の緑、雪渓の白、まるで別世界にいるような3日間でした。

2日目朝2時起きて真っ暗の中、長次郎谷の雪渓をひたすら2時間半登る。周りが明るくなり、八つ峰六峰Cフェースの取り付きに着くと、誰がリードをするかジャンケンをしてトップで登れることになる。はじめの1p目はものすごく緊張して、一歩一歩確実に登る。2p目で緊張により喉がカラカラになり、水を飲んで少し落ち着きを取り戻す。途中でDフェースから呼ばれているみたいだが、返事をする余裕もなく、先に進む(Dフェースを登っている人が写真を撮ってくれていました。)ナイフリッジは怖かったですが、とりあえず一度上に座ってみましたが、立ち上がる時のほうが怖かった。緊張しながらルートを探して、一歩一歩登って、Cフェースの頭に到着です。六峰、七峰と進み八峰の登り口を探し、草付きから登ることになり、先頭で登り始める。ここで本日二度目の最高の緊張をすることに、登るにつれて傾斜がきつくなり、ザイルを出して登るが支点が取れない。岩は沢山あるが、すべて動く、ハイマツは短くすぐに抜ける。足を置ける場所も少なくルートを探しながら動く岩にそっとつま先をのせ、抜けそうなハイマツを持って動けなくなる。深呼吸をしたら喉がカラカラ過ぎて痛くなっていた。周りを見渡し何とか支点を取りながら登り、八峰から長次郎谷に降りて、急な雪渓を横向きになり一歩一歩下り、十二時間半の行動が終わりました。

3日間本当に最高にすばらしい経験のできた山行でした。みなさんありがとう

 

記録: 
8月12日 (月〉

 4:00 半田 発

 6:40 呉羽SA(富山)良I夫妻と合流

 7:50 立山駅 着、駅下の河原P  ほぼ満車状態

 9:20 立山ケーブル 乗車、団体客多く、長く待たされる

 9:45 美女平 バス乗り換え

10:35 室堂 着、天気快晴。とても涼しい。すぐ出発

11:35 休憩  雷鳥沢から15分

12:40 別山乗越(剣御前小屋)
      日差しは強いが風は冷たい
      剣は左半分ガス。八ツ峰迫力。

13:30 剣沢小屋

14:05 剣沢雪渓に降りる
      残雪例年より多い。すぐ雪渓に降り、アイゼン着ける。
14:50 長次郎谷 出合
      下山者多数。まだ雪多く夏道出ない
15:25 真砂沢ロッジ 着
      最後、滝の上から一部夏道。テントは20張りくらい。にぎやか。
      とりあえずビールとコーラで乾杯。
      夕食は焼き肉とフリーズドライの卵丼orマーボ丼。お湯かけるだけ。
19:00ころ 就寝
8月13日 (火〉
 2:00 起床   満天の星輝く、朝食はぞうすい(スープの様)
 3:00 出発
 3:50 長次郎谷 出合
      真っ暗で手前の一の沢に少し入り込むが、すぐもどる。まだ一番手。
 4:35 休憩、熊岩が正面に近づいてきた
 5:55 六峰Cフェース基部 着
      熊岩テン場のすぐ向かい。剣稜会の取り付きはCフェース右下かど。ギリギリ
      一番目到着。すぐ後に九州からの3人Pa到着。装備整え、パーティ分け。
      @良I夫妻 A板津、新海、斎藤Paは三人でリードじゃんけんの末、斎藤の
      勝ち。(新海がっかり、斎藤キンチョウ)がんばれ!

 6:20 クライミング開始
 7:00 2P 終了(25m+10m)
      角からゆるいフェースを左上。本来は1Pの所を途中で一本切り、2Pとな
      る。

 8:00 4P終了(40m+40m)
      だいたいリッジのすぐ右のフェースを登っていく。所々ハイ松混じり。
      天気快晴、無風。クライミング自体は難しい所もないが、ロケーション抜群
      で気分は最高。良Iさんも下が追いつけないほど順調に登っている。斎藤君
      も顔がほぐれてきて、うれしそう。板津さんは昼寝でもしそうなリラックス
      ムード。

 8:40 6P終了 Cフェースの頭
      トポでは20m+25mだが、1P頭のすぐ下まで伸ばしたので40m+5m
      剣稜会のハイライト、ナイフリッジだが、皆がすぐ下をトラバースぎみに行
      く。最終のぼくが頂稜を怖々渡り、写真とってもらう。最後ひょいと一登り
      すると皆の待つ頭到着。楽しかった。皆の笑顔がうれしい。ザイル解き、靴
      替える。

 9:25 六・七のコル
      六峰の端から懸垂で20mダウン
12:00 八峰頂上 着
      コルから七峰を登らずに右裾をトラバースで巻いた後、八峰の登り口・ルー
      トを迷った末に割と奥の方から草付きを登り始める。ハイ松は弱く、岩もぼ
      ろぼろと不安定な所多く、途中からザイル確保しながらのクライムとなる。
      六峰より大変だったと皆の言。とりあえずホッと一息。

13:00 長次郎雪渓 着
      八峰より小さく2P懸垂でコルまで下ると、直接長次郎へ降りるルートがあり
      八ツ峰の頭は省略してクライムダウン(確保付き)。

13:40 休憩  熊岩の少し上
      急傾斜の雪渓下りでストックのメンバーは恐〃。
15:00 剣沢出合
      途中からは傾斜も緩み、普通に下れるが長く、うんざり。暑い。
15:40 真砂沢テン場 着
      予想より大変だったが、皆笑顔で握手。満足感一杯。ビールがうまい!
      夕食はカレー(フリーズドライ)。食坦は徹底しており、5人×4食すべて
      でたぶん1キロ無い。斎藤君でなかったら首絞められる・・・?

19:00 就寝
8月14日 (水〉
 4:15 起床
      朝食ニューメン(という名のスープ)
 5:30 出発
      帰るのが惜しい様な快晴
 6:30 休憩  雪渓まだ半分
 7:10 雪渓終了 アイゼンはずす
 8:20 剣沢小屋キャンプ場
      大休止。水が冷たくておいしい。剣眺めながらゆっくり休む。
 9:35 別山乗越
      皆で八ツ峰の昨日のクライムを振り返りながら お別れをする。
10:45 室堂乗越
      今年も帰りは花のプロムナードコース。良I教室に今年はダンナさんが熱
      心。新海、斎藤は相変わらず。

12:15 室堂 着
      最後の登り返しがきつく、ヘトヘト。水場でのどを潤し、すぐバスに並ぶ。
12:35 室堂 発
13:50 立山駅 着
      めちゃくちゃ暑い!帰るのが怖い。
      温泉に入り、PAにて食事をし、良I夫妻と別れ、高速のお盆渋滞にも遭
      い・・

21時頃 半田着          (記録・新海時生)