2013.9.22〜23 

 黒戸尾根から甲斐駒ケ岳往復

 



<富士山もばっちり>


<山頂にて>

 

2年ぶりの黒戸尾根、4週間ぶりの山

                        洞井 孝雄

 9月22日・23日の連休、甲斐駒ケ岳に登った。メンバーは矢倉圭子と私の二名。

黒戸尾根は、一昨年、登山学校のコーチ連中と、研修山行の山域候補として赤石沢奥壁を偵察に出かけて以来だ。けっこう長かった記憶があって、先月末から四週間以上も山とはご無沙汰していた身体が果たして持つのかしらん、という不安もあったのだが、這っても登るさ、と腹を決めた。

22日午前4時出発。7時半には竹宇駒ケ岳神社に着いた。連休らしく、駐車場はいっぱい。早々に準備をして出発。二〜三人用のテントを持参したが、ツェルトでしのぐことにしてテントは車の中に。矢倉が、「今回は小屋で素泊まりということでは…」と打診してくるが、「状況をみてからだな」と答えを保留。

 7時24分、出発。神社を抜けて尾白川にかかる吊り橋を渡り、登山道に入る。最初は広い落ち葉の道。道幅が広いので、緩やかに感じられるが、けっこうきつい。1時間近くも、ひたすら登って休憩。さらに1時間登って笹平の分岐に出る。2時間近くかかってまだここかよ、と考えると、先の長さが思いやられる。丈の低い平たんな笹原から樹下の急登を登ると、道は長い緩やかな下りから急下降になる。下り切ると屏風小屋跡(5合目)である。屏風岩の基部の祠の脇から垂直に近いハシゴ場や鎖場が続く。疲れた身体には長い垂直のハシゴを登るのは辛いが、七丈の小屋が近くなった証拠でもある。

小屋で、「上へ行こう。小屋もこんでるようだし、小屋の上のテント場にツェルト張るのもちょっと気がひける。上に上がれるだけ上っておこう」と矢倉に引導を渡す。

まだ13時半だ。ストップするには早い。水を補給しただけで登り続ける。3リットルほどの水が増えたが、それほど重くなったようにも感じない。小屋の裏手のハシゴからテント場を越え、鎖場を登り、八合目に出た。赤岩沢奥壁の取り付きヘの分岐には、テントが数張り。本当は、この辺りでツェルトを、と考えていたのだが、先客があってはちょっと泊まりにくい。さらに登って、垂壁の鎖場の下に出た。基部はテントひと張り分くらいの平坦な地面になっている。とりあえず鎖場の壁を登ると、その上はコル状になっており、一段下ったところに岩小舎があって、その先は下に切れ落ちている。右側は岩がかぶった鎖場から登山道が続いている。時計を見ると3時半。「下でツェルト張ろう。まだ、登山者が通るから、道をふさいでしまってもまずい。まず晩飯だな」岩小舎の前で、矢倉が夕食の準備を始めた。コルの風が少し冷たくなってきた。食事の支度をしてくれている間に下で、枝に細引きを使ってツェルトを固定し、マットとシュラフを入れて横になれる空間を作る。

食事の片付けを済ませて、鎖場を下り、早々にシュラフに潜り込んだ。風も当たらず、夜露にも濡れず、暖かく快適なビバークポイントになったが、午前4時、早くも山頂へ向かう登山者の足音に起こされた。このまま横になっていても、登って来た登山者には迷惑だし、こちらも鬱陶しい。すぐに撤収にかかる。コルに、幕営具などをデポして、山頂を目指す。ラテの光で踏み跡を探りながらいくつかの鎖場を越え、摩利支天の手前まで登ると、陽が昇った。甲斐駒の山頂、右手に連なる鋸岳、左手には仙丈、北岳…晴れた空に、南アルプスの山々が至近距離に連なっているさまが美しい。富士山も近くに大きな姿をみせている。足元はびっしりと雲海で埋め尽くされている。朝の光を浴びて、息を弾ませながら山頂へ向かう。山頂の祠の前に立ち、いっとき、周囲を見渡し、ひと息入れた後、すぐに下山に移る。これまで数えるほどだった登山者の姿も次第に増えてきている。登ってくる登山者とすれ違うのも、結構時間がかかる。ビバーク地点でパッキングを済ませ、八合目、テント場、七丈の小屋までくると、周囲はすべて雲の中で、濃いガスに包まれ、上のサンシャインが想像できない。小屋を過ぎて、ハシゴ場をいくつか下って屏風小屋跡へ下り、樹林の中へ標高差80mほどを登り返し、樹林の中を笹平の分岐へ下る。この分岐から尾白渓谷までの間は、樹下の広い落ち葉を踏む道。1時間以上、誰にも遭わず、鳥の声も虫の音も、自分たちの足音さえも音として耳に入ってこない静寂の空間であった。上を見上げると雲に覆われた空が少しずつ割れて、青い空と時おりの日差しが落ちてきはじめている。

 登山口に出て吊り橋、神社から駐車場に向けて歩き始めると、暑い日差しが一気に降り注いできた。

 

黒戸尾根から          矢倉 圭子
 北沢峠からは登ったことがあるが、今回は北東に延びている黒戸尾根から甲斐駒ケ岳を目指しました。この尾根は三大急登の一つであり、鎖場が多いルートである。
 天候も良く、まずは竹宇駒ケ岳神社で手を合わせて安全登山祈願。橋を渡りいよいよ黒戸尾根のスタート。樹林帯をジグザグと登って行くが、思ったよりも急登もなく地味に高度を上げていく。3時間ほど歩くと、このルートの目玉の刃渡りに着いた。
切れたった岩のやせ尾根だが、鎖がついているし、何てことなく通過。展望はバッチリ。その先の刃利天狗を通り、一旦下って5合目の小屋の跡に出る。そこには屏風岩があり、その屏風岩を巻くように長い垂直の梯子を上っていく。ここより梯子や鎖場と変化に富んで、グイグイと高度を稼ぐルートになる。
3連休で天候も良く、七丈の小屋にはすでに沢山の登山者がいた。軽量化を図り、ツェルトしか持っていなかったので素泊まりを提案したが、混雑しているからと却下されてしまった。ここで水を補給し、八合目付近まで上がり幕営地を探す。八合目過ぎた鎖場手前のちょっとしたスペースというより、ほぼ登山道にツェルトを張って休むことにした。テントには程遠く、くるまっている状態での就寝。寒くなかったのが救いだった。
翌朝、早々に登山者に起こされ、ヘッドライトをつけての出発となった。幕営地の先は所々に石像や剣が岩に刺さっていたりと,信仰の深い山とわかる。徐々に明るくなり、下は雲海で埋め尽くされ、空は青く突き抜けている。高度感のある岩場を登り山頂に到着。その先の鋸がとても魅力的に見えた。いつかは行ってみたい!
肌寒く早々に下山する。岩場の下降も無事に通過。七丈小屋あたりは雲の中でガスっていた。下りは楽だが長いルートで爪先が痛くなった。
今回は、長くて大変だと覚悟を決めすぎたせいか、思っていたより大丈夫だった。今度からも、安易に考えずに登るのが、精神的に楽に登れる秘訣かな…。と思いました。

 

922
04;00 洞井宅発
07:17 尾白渓谷駐車場着  
07:24 発

08:43 休憩        
08:50 発

09:20 笹の平
09:43 休憩        
09:50 発

10:14 休憩        
10:19 発

10:57 刃渡り 休憩    
11:07 発

11:37 刃利天狗 休憩   
11:42 発

12:19 5合目小屋跡 休憩 
12:37 発

13:23 休憩        
13:28 発

13:37 七丈小屋 水補給   
14:08 休憩        
14:18 発

14:43 八合目 
14:57 鎖場手前に幕営 

 

923
04:10 起床
04:40 出発
05:18 休憩        
05:45 発

05:40 甲斐駒ヶ岳 山頂  
05:45 発

06:23 幕営地 休憩   
06:38 発

06:45 八合目
07:10 七丈小屋
07:45 五合目小屋跡 休憩 
07:55 発

08:27 刃利天狗
08:41 刃渡り休憩     
08:49 発

09:36 休憩        
09:42 発

10:41 神社
10:59 駐車場着