2013.9.28 HFMC登山講座
「基礎から学ぶ安心登山」実技@「まず山に登ってみる」
入道ケ岳(906m)
<山頂で記念写真>
<池ヶ谷道を登る>
2013年9月28日(土)、半田ファミリー山の会の登山講座「基礎から学ぶ安心登山」の実技山行を行った。山行目的は「まず、山に登ってみる」、山域は鈴鹿・入道ヶ岳(906m)、池ヶ谷から登って滝ヶ谷を下る計画である。メンバーは受講生8名、会員15名の計23名。
【メンバー】CL:洞井 孝雄 4パーティー 22名
入道ヶ岳の実技を終えて 洞井 孝雄
第33期半田ファミリー山の会の登山講座「基礎から学ぶ安心登山」がスタートした。すでに理論講座は第2回を終え、最初の実技が目前に迫ったときに、「会、あるいは会員の実技山行への立ち位置、姿勢に若干の不満なしとしない、会員みんなで受講生をエスコートすることの意味についてきちんと押さえ直すべきだ」ということについては、9月の『もみのき』の「やぶマン」で述べ、かつ例会でも一言苦言を呈したとおりだ。
今回の実技の山域は鈴鹿中部の入道ヶ岳(906m)。小岐須渓谷から池ヶ谷道を登って山頂、二本松尾根を下って滝ヶ谷道の分岐から滝ヶ谷沿いに下って小岐須峡谷に戻ってくる、これまでも何度か会の講座でも、県連の登山学校でも実技ルートとして使っている道である。
受講生は8名全員が参加、リーダー、サブリーダーを含めてサポートで参加する会員は15名。当初、教育部のメンバーだけに声がかかったらしいが、前述のような視点から、もっと会員で参加できる人は参加すべきだ、こういう場こそ会員が実際にリーダーやサポーターとしての役割を経験したり学習したりすることができる機会ではないか、そのことを教育部としても会員教育の視点から考えてほしい、盛り上げるとか、ただ大勢で、という水準の話ではないのだ、ということを伝え、再度声かけをしてもらって、最終的にこの人数になった。
当日は、マイクロバスで阿久比町役場を出発。予定した6時半よりも早く出発でき、天候は晴れ、湾岸道も渋滞もなく、御在所SAも混み合わず、「今日は早く帰れるね」という会員の声が聞こえてくるほどの快調な滑り出しであった。だいたい、事前にこうした声や皮算用がおこなわれると、うまくいったタメシがないのだ。
鈴鹿ICを降り、大鳥居をくぐって、小岐須峡谷入口の採石場の脇から林道に入っていく。キャンプ場脇のトイレ(その裏は滝ヶ谷の登山口だ)、駐車場を通り過ぎて、マイクロバスはさらに奥の池ヶ谷の登山口に向けて登っていく。屏風岩への入り口、湧水のあるところを少し進むと池ヶ谷の登山口だ。通り過ぎて数十メートル進むと広がった部分がある。
それぞれ、足回り、パッキングを終えて、パーティ毎に別れ、出発準備。四パーティに受講生各2名、会員が3名ないし4名配置されて、文字通りよってたかっての構成である。
Aパーティから順番に歩き始める。登山口の標識を通り過ぎて、後ろから声をかけられ、あわてて戻る場面も。「もう林道で遭難かい」
登山口の標識からはいつもながら直接山の腹を登っていくような急登で、それが先日の豪雨の影響だろうか、岩が浮き上がって非常に落ちやすくなっている。慎重になりすぎて、足が遅い。一人が路肩を踏んで、かなり大きな石がいくつかがらがらと音を立てて林道に転がった。「こら!不用意な足の置き方をするんじゃない!」こりゃあ、最初から気合を入れんといかんな。受講生たちに、「腰を伸ばして、歩幅を小さく、上から押さえつけるように足を置いて歩くように」と指示する。こわがって四つん這いになるような格好で登っているのが下から見える。近くにいる会員が注意しないといけないんだがな、まだ、彼らには無理か…、そんなことを考えながら後ろを歩いていく。
最初に登山口から斜面を登りつめたら、その地点を周り込むようにして左の植林帯の中に入って、涸れた沢に向かってトラバースするのが通常のルートなのだが、はて? ずっと先頭は尾根筋を登り続けるようにルートをとっている。おかしい。こんなに登らないはずだ。メンバーの脇をすり抜けて前へ出る。先頭のパーティーの新海が、「こんなに登りませんよね」「うん、左へ行かんといかんのだけれど、下で分岐を見落としたか?」「なかったと思いますよ。途中、いっぱい左へ行くような踏み跡らしいものはあるんですが」
「でも、違うわな? これは」「このまま尾根を詰めれば、避難小屋の上で合流すると思うんですが」「その方向だし、行けるとは思うけど、計画のルートとは違うぞ。ちょっとここで待っててくれ。探してみる」
尾根筋の左側の斜面を、踏み跡らしきものをたどりながら左斜め下方に下っていく。樹林が途切れた急な斜面を下りると、池ヶ谷の登山道に出た。ポイントAの標識が立っている。ここだ。コールかけて呼ぶ。かすかに返事らしいものが聞こえたが、それからはこちらからコールをしても返事が聞こえてこない。20分以上も経っただろうか、上方の木の間ごしにメンバーが歩いてくるのが見えた。が、こちらが、下から下りやすい道を指示しても聞こえないらしい。「らくっ」「ラクーっ」と声が聞こえて、上からいっぱい石が落ちてきている。パーティーが下りはじめたが、かなり時間を食った。さらに登山道と合流した先は、山腹を斜上気味に巻き、涸れた沢筋を横断して樹林帯の山腹から池ヶ谷の流れに出、渡渉して右岸の山腹を沢沿いに巻くようにしてたどれば石門に出、鎖場を登って避難小屋に出る、という段取りになるはずだったのだが、標識から先は、先日の豪雨か台風か、山腹と沢筋が土砂崩れと樹木の根返りで、登山道が寸断され、その通過にも手間取って、登山口を出て、沢と出合うまでに2時間近くもロスしてしまった。最初の分岐は、見落としたのか、その先で道が落ちているので付け替えられたのかははっきりとしない。あえて、問題を提起すれば、事前の下見が行われていなかったことが問題になる。万一、こうした実技などの「引率」登山の形態で事故などが起きれば、事前に実技のためのコースを下見するなどして「安全」に対する予防措置が取られているかどうかは過失責任を問われる大きな要素となり得るだろう。
崩れた斜面の踏み跡をたどり、涸れた沢筋をトラバースする地点では、根返りをした木の根をまだぎ、潜り、落ちた土砂の上に乗った岩や砂れきを崩さないように渡って、樹林帯の山腹を巻き、沢と出合った。ひと息入れて沢の右岸に渡渉。沢に沿って山腹につけられた踏み跡をしばらく歩くと、岩が積み重なった石門に出る。沢が二股になった地点から岩場につけられた鎖が伸びている。それほど傾斜もなく、足がかり手がかりも豊富な場所だが、ロープを固定して命綱をつけて登ることを経験してもらうにはいい場所だ。メンバーにロープを伸ばし、上部で固定してもらう。パーティーごとにスリングを各自、腰に巻き、プルージックで登る用意させる。いつものことだが「ここはみんなが落ちるとも思わないし、登れないとも思わないけれども、万が一の場合の安全対策として命綱をつけて登ってもらいます」という説明とロープにプルージックをかける、その末端を腰のスリングとカラビナでつなぐ、プルージックの結び目を持って上部に結び目を上げる。落ちたときは結び目のフリクションで結び目は動かなくなり、その場でぶら下がって止まる、という簡単な仕組だが、私は過去にいくつかの山域で、これでコトなきを得た事例を数件目の前にしている。初めてのことなので受講生が準備するのに時間がかかる。それを早くスムーズにできるようにするのが、ついている会員の役割のはずだが。ここでも説明から全員が通過するまで50分近くかかった。避難小屋の前から右の裏手へ急な登りが始まる。山腹を巻くように登っていく。右手には小岐須峡谷をはさんで、野登山のスカイラインが指呼の間に見える。天気は上々である。やがて道は角度を変えて、つづら折りから滝ヶ谷への分岐目指して急な傾斜で登っている。このあたりがかつては笹で見通しがきなかいずるずるの登りで、全体のなかでも一番苦しい核心部だったように思うのだが、ゆっくりと登っているせいか、あまり辛い思いをしないうちに登ってしまった。登り切ると、滝ヶ谷への分岐の標識があり、左へ道をとる。山腹のトラバースを追えると池ヶ谷の上流部の開けた谷に下りる。ここからは傾斜の緩い広い谷、足下には池ヶ谷の細い流れが続いて、春の新緑や秋には紅葉の贅沢な散歩道になる。沢筋を詰めていくと、源流部に出、椿神社奥社の参道ともいうべき杉の大木の美林の下を歩くようになる。目の前が明るくなると、アセビの原生林に周囲を囲まれた笹原が山頂まで広がっている。イワクラ尾根への分岐でもある。
「駆け足」なんて声をかけると、会員の何人かは「いいのかな」みたいな戸惑いを見せながらも山頂に向けて笹原を走っていく。声を上げて叫びだしたいような場所なのだ。
山頂に着いたのが、12時20分。山頂からは周囲の鈴鹿の山並み、足下の四日市市街、その先の伊勢湾、遠くセントレア、知多半島までが見渡せる。
12時半、下山に移る。二本松尾根を下り、滝ヶ谷の分岐まで30分近くかかった。分岐からは右手に山腹をたどる。しばらく進んで着きあたった部分が鎖場になっており、そこから滝ヶ谷の流れに下り、右岸の樹林の中の踏み跡をたどる。ここも、かなり崩壊や土砂の押し出しがあって、寸断された道が続いている。やがて、右岸の植林帯に入って、ポイントCの標識を越え、もうこのまま小岐須峡谷に出られそうだな、と思った頃に道が切れる。目印が沢身に下りるようになっており、クレモナのロープが張られている。道が崩れてからつけられたのだろう。まだ、新しい。下りると、目印は対岸の上部に続いているが、道は不明瞭である。この部分はかつて堰堤が築かれていた部分で沢の屈曲店にもあたっている。堰堤が壊れて、川幅が狭まったところに下り、下流に下れそうな地点をさがしたが、全員がここを通過するのは難しい。流木がひっかかっていたので、それを動かして足がかりにしようとしたが、あと少しの所で動かなくなってしまった。結局、目印をたどって倒木の間をくぐり抜ける道を探し、ロープを張って通過。この部分は、これまでであればもう少し上流部分から左岸に渡って高巻きし、沢身に下りた地点だったはずだが、道が落ちてしまったらしい。確保した部分を過ぎると、再び、以前の踏み跡をたどるようになり、一度、沢筋を右岸に渡り返すと、そのままポイントAの標識を過ぎて、小岐須峡谷のトイレの裏から駐車場に飛び出した。
時間は15時。マイクロバスの運転手に下山は1時か1時半頃と踏んで伝えてあったのだが、予定を大きく過ぎて遅くなってしまった。受講生や会のメンバーたちは、なかなかおもしろがってくれたようだが、主催側の責任者としては、事前に下見ができず、これほどの道の変化を掴めないままに実技に「突入」してしまったことに、申し訳なさと、忸怩たるものを覚えている。
ま、全員がケガもなく、無事に下山できたこと、初めての登山でこんなどきどきはらはらの経験をしてもらうことができたことでよしとしようか。
・・・・・受講生のレポート・・・・・・
実技講習参加レポート 純O
小岐須谷Pでバスを下車、出発の準備をして各班に分かれる。装備の確認でウエスト・バッグをザックに入れる様に注意を受ける。装備はザック1個にすべてを入れ、体と一体化して背負い、動き易くする。いきなり本で読んだ知識との違いを感じる。
出発前に服装は少し寒く感じる程度で登ることを教えて戴き、長袖のシャツをザックに入れ、半袖のTシャツ1枚で登山開始、歩き始めて直ぐに汗が出始め、正解であることを体験する。SLの後に着いて登り、前を歩く人の足跡を歩くことは、足場が確実で危険が少いことを教えて戴く。最初は足を滑らせたり、ヨロケたりしていたが、2〜3歩先の足場を確認しながらキョロキョロと目配せして歩くとスムーズに歩ける様に成りました。登山を開始して直ぐにルートの分岐点を見逃して、尾根伝いに登る途中でトラバースして谷沿いの正規ルートに戻る。登山ルートは事前にしっかり頭に入れ、分枝点の確認の重要性と、トラバース途中に前を登る人の落石で危ないことを体感する。ルートの途中で、先日の台風の影響か、崖が崩れ登山道を塞ぐ箇所に遭遇。経験者がルート探索を行い、安全に通過する。災害後(大雨、台風、地震)の登山は登山道の被害確認をする必要性を感じた。登山の途中で、休息を取るが全員立った状態で、給水や軽く食べる。立ったままで素早く食べられる行動食の意味を知る。堀江SLから貰ったぼた餅が食べ易く、美味しかった。ザックの取り出し易い所に入れて置き、素早く食べられることが大切と感じました。お茶のペットボトルを持っていたが、普段の食べ物と行動食は少し視点を変えてスポーツドリンクやエネルギー補給を重点に食べ易いものをこれから探して見たい。岩場の急坂でシュリンゲとザイルを使う実習を行う。聞いていると簡単と思うがいざやって見ると登ることに気を取られシュリンゲを動かすことを忘れたり、ザイルを跨ぐなど基本が出来なかった。
谷川沿いを途中で休息を取りながら山頂を目指す。山頂近くで一気に視界が開け太い馬酔木の原生林を通り山頂に到着。集合写真をパチリ早々に下山を開始、尾根伝いに落ち葉で滑りながら順調に進み、椿大社との分岐点を確認し滝ガ谷ルートを進む。序々にパーティーの列が長くなり、足が攣る人が出始める。川を横切る所で太い杉の倒木が道を塞ぎ、ザイルで安全を確保しつつ前進し、岩の赤いペンキや、テープの目印を頼りに進み、無事小岐須の駐車場に到着した。
ご指導戴いたCL,PL,SLに感謝と、何とか皆に着いて歩けた達成感と初めての実技登山で皆さんのサポートで沢山の体験したことが大変良かった。
実地の体験が大切であることを実感した1日でした。
まず山に登ってみる 由季T
今回の山行目的は、「まず山に登ってみる、登山を知る」でしたが、初回の実技がこのようなスリリングなものになるとは想像しておりませんでした。ほとんど初めての登山経験ですので、装備を整えるため、何度も店に通い、迷いながら購入した用具もあり、前日はこの装備で本当にいいのかとても不安でした。
当日は、前を行く方の足下を見て、遅れないようについていくのが精一杯。下ばかり見ているので頭を木にぶつけたり、地図や時計を見る余裕はありませんでした。また、急な傾斜のところで手をつき、登っていると、後ろから大きな声が……手も使った方が登りやすく、良いと思っていたので、それは違うことを知りました。行動食も、皆さんがどんなものを食べていらっしゃるかチラチラ見ながら、その摂りかたもよくわかりました。
入道ヶ岳山頂の景色に感動しましたが、すぐ下山へ。迎えのマイクロバスを見た時が一番ほっとしました。
今回、登山を楽しむ余裕はあまりありませんでしたが、準備から当日にかけて実際に山に登り、遊びではできない遊びを体感しました。帰ってから、講座でいただいた資料を見返しています。
不安、ジレンマ、理解… ヒロI
08:15 1班のリーダーがいきなり登山口を通り過ぎて不安になる。登山口からいきなり急登。少し登った右側に登山道があったが、スルーして左側へ。……今日は登山道を通らないのか、さすが玄人……と解釈。正規ルート(登山道)に戻るため尾根を下る。
09:40 登山道に戻る。前の人が通ったルートを必ず通るように言われるが、下に行かないといけないのにどんどん横に進むので不安になる。
先週の台風の影響で登山道が木でふさがれていた。だれも下見はしていなかったんだなと不安になる。カラビナとシュリンゲを使用して岩を登る。初体験。シュリンゲを滑らせながら「登るのはなかなか難しかった。
10:43 避難小屋を過ぎてから山頂までは道が安定していた。
12:22 展望も眺望もよし。頂上ではもっとゆっくりしたかった。
12:32 木々の間からチラチラ見える長め好足下は砂交じりで滑る。景色を見たいけど足下注意のジレンマ。二本松尾根コース→滝ヶ谷分岐→滝ヶ谷コース。なだらかな下りに。杉林で歩きやすい。間伐?枝がたくさん落ちていた。
14:05 川向うにわたる道が崩落。倒木をくぐって乗り越えなければならなかった。足場の指示を出していただき無事に渡れた。ありがたい
15:00 どうなることかと思ったが無事下山。
4時間40分の予定が6時間45分。今まで登った鈴鹿の山では登りやすい山で眺望もよかった。リーダーの役割の重要さがよくわかった。また環境とともに日々変化する自然への対応能力が必要だとよく理解できた登山だった。別ルートでまた登りたい。
実技 景T
9月28日(土)に、登山講座の実技で入道ヶ岳に登りました。私はD班で、PLのIさん、SLのKさん、会員のSさん、受講生のNさんの合計5人のパーティーで山頂を目指しました。
まず初めにPLのIさんにご指摘をうけたのが登山をする服装についてです。インナーの上に上着を着て準備運動をしていたのですが、登山を始めると体温が上昇し、Iさんのご指摘どおり終始上着は不要であった。出発時の状況でなく、行動中の状況を考えて準備することの重要性を実感しました。
歩き方は小股で進み、大股にならないように注意しながら登っていたが、気を抜くと大股歩きになっているので、小股歩きになるように次回は気を付けたいと思います。
登山の途中、カラビナとシュリンゲを使用して急斜面を登りました。ロープの結び方等をIさんとKさんに指導してもらい、無事上にたどりつくことができました。
もう少しで山頂というところで、日ごろの体力不足がたたり、前に進むスピードがおちてしまい、もっと体力をつけなければならないと反省させられました。次回はもう少し体力をつけ、ストックを使用して体力不足を補いたいと思いました。
山頂からの景色を見たらすごく素敵な眺めで、頑張って登山してよかったと思いました。下山では体のバランスをとるのがすごく難しかったです。足を踏みしめるときに滑ってしまうのではないかという不安も相まって、下山では下り方の技術がすごく難しいと実感させられました。
道中、自身の体力面や様々なルートを通っている際に、無事に下山することができるか心配していたのですが、ケガ人や体調不良の人も出ず、参加者全員で最後までやり遂げることができて本当に良かったです。
進む理由を 晃Y
久しぶりの晴天に恵まれて、楽しい登山になると思いましたが、その前の週に来た台風のおかげで楽しさに加え、登山の厳しさも知ることができました。
ロープや杭でルートが整備されている道しか、これまで歩いたことがなく、踏み跡をたよりに山を登るということもおもしろく、また道をふさがれているときに新たなルートを探すことが、最初の講習で教えていただいたアルピ二ズムというモノか……と考えながら進んでおりました。
気になったのは、道がふさがれていたり、予定したルートから外れていたと分かった時に、引き返す方がよいのか、今回のように道を探して進むことがよいのか……
会員の皆さんのように技術に習熟していれば、迷いなく進むべきなのかもしれませんが、まだまだ不慣れな私たちの場合、どうすべきか? また、今回の場合、進む判断をした理由を知りたいと思いました。
すごーい 梅N
まずはCL、PL、SLの皆様、会員の皆様、ありがとうございました。
登りも大変でしたが、下山時、道がなくなっているところを着実に下山させていただきました。すごーい、と思いました。
登りは歩けたような気がしますが、下りは体重のかけ方がよくわからず、腰が引けて膝が伸び、すべりました。
「山に行きたい、山頂で素晴らしい眺めを見たい」だけではいけないことを実感いたしました。
自分の体力不足で皆様にご迷惑をおかけしました。有意義な実技講座でした。
道なき道? 厚N
登山口から急登で樹林帯の中の険しい道を歩き、台風による? 倒木をまたぎながら、道なき道を進んでいったのは、今までに経験がないことでした。
落石の怖さを感じながらも無事登山道に出、クサリ場に到着。プルージック経験で岩場をあがる体験は安心感もありました。
ようやく着いた山頂では、今まで歩いてきた道とはうって変わり、のんびりと、またさわやかな風が心地よかったです。
入道ヶ岳 純H
山は実践がもっとも大切だと常々思っている。山に登ることで体力がつき、山の勘も養われる。体力は日頃の鍛錬で何とかなっても山の勘だけは山に入らない限り身につかないような気がする。そんな自分の言葉とは裏腹に結果的に二年ほど山行がなく、体力もどれぐらいあるものやら、山の勘に至ってはもう身体が覚えていないかもしれない。更に今回の入道ヶ岳はシュリンゲとブルージックで身体を確保して登るそうだ。初めてだが無様な格好は見せたくないし、具体的にどんな感じになるのかイメージが湧かないため行く前から少々気が重い。
まずは山の準備だ。シュリンゲはもっていたが腹を引っ込めないとうまく結べない、ブルージックは五ミリの細引きを出して、本を見ながら結んでみたが結び目がどうもしっくりこない、やるたびに違うような気がする。本を見る限り六ミリが最適のようでもあり、やはり買うことにした。山の道具屋で事情を話すと親切に教えてくれた、ブルージック用に七ミリのロープがあって、シュリンゲは六十センチが単位で倍・倍の大きさであるらしい。「ブルージックを六十センチで作っていただけますか」お願いすると気持ちよく作ってくれた。これでやっと胸のつかえが降りた。あとの装備は道具箱から出せばいい。
いよいよ出発。小岐須渓谷の大石橋手前でバスから降り靴を履いて準備した。自分はC班で五人の4番目を歩いた。歩き出して、列が長くなると多少の立ち止まりもあって良い休憩になる。ゆるゆるといった感じで登って行くと、洞井さんがルートを外れて左へトラバースしていった。最初よくわからなかったが、どうものっけから道がずれ、ルート探しのようだ。暫くして下から大きな声がした。声に向かって皆が歩き始め、池ヶ谷道へ無事降り立った。途中がらがらと石が落ちたりして緊張感が走る。
それにしてもどこで間違えたのだろう、案内書には「最初、急斜面のジグザグの登高があり、その後植林帯を巻くようにして池ノ谷の沢に出る」とある、ジグザグもそんなに登っていないから多分、殆ど登り始めてすぐの所で左に折れる必要があったのだろう、たまたま道が木の葉に隠れてわかりづらかったかも知れない。それにつけてもジグザグはきちんとした尾根道で(植林の作業道?)自分一人だったらそのまま行ける所まで行って「本日終了…」かな……。
少しゆくとチョックストーン、大きな石が岩の間に挟まっている。ホントに大きな丸い感じの石で迫力があった。自然の造形に感心する。次に道をふさぐように岩山が出た。そこにロープを張りだした。そうかここが訓練場か。期待半分・緊張半分・受講生が前に出て洞井さんから注意事項の説明があった。それぞれブルージックで登る。しかしブルージックを上へ引き上げることで精一杯で、肝心の足元を見ていなかった。途中の支点の通過はその場で注意点を教えてくれた。山に行きだしてから初めての貴重な体験となった。この岩を登りきると、すぐ上に避難小屋がある。丸太で作った立派なものだ。中はいかがかと扉を開けるとコンクリートの打ちっぱなしでごみはなかった。これなら使えそうだ。
更に頂上を目指すと、比較的傾斜の緩やかな場所に出て周囲の雑木林もまだらで歩きやすく沢が静かに流れている、ここで鳥の声でも聞けたら最高だ。黙々と続く山登り、やがて頂上直下にでた。本日始めて青空を三百六十度仰ぎ見て、眼前の広い笹原が気分いい。吉川さんの掛け声で若いメンバーが頂上に向かって走り始めた。うらやましい限りだ。やってみたいが自分にはとても無理なんです。
頂上付近は全山くるぶしが隠れる程度の低い笹原で、少し下には背丈ほどの馬酔木の木が点在していた。自然が造った人の手の入らない広大な庭園だ。仙ヶ岳は目の前の双耳峰だ、ここから宮指路岳も見えるはずだがよくわからない、たぶんすぐ右横の高い峰だ、今日のところはそうしておこう。鎌ヶ岳は御在所側から見たほうが山らしい。御在所はそそり立つといった表現がぴったりだ。ロープウェイの鉄塔も違和感なく山に彩りを添えている。眼下に伊勢湾も一望できた。いつもなら三角点を探して頭をなでているが、なぜか一瞥しただけだった。
全員で写真を撮って下山開始。まずは二本松尾根の馬酔木のトンネルの急傾斜を降りる。確かに急な感じだ。踏ん張らないと次の足がうまく出ない。暫くして左手に避難小屋があった。ここにも小屋がある、妙に感心した。そして椿神社と滝ヶ谷の分岐に出て滝ヶ谷道にはいる。
傾斜もゆるくなりこのままの状態で最後まで行けそうだ。人はあまり入っていないようで木の葉が道を隠している。あと少しで登山口と思ったとたんに怪しくなってきた。九十度直角に曲がって注意しないとずり落ちそうな坂をくだり、沢を渡るのだ、このとき少しバランスを崩し倒れそうになった。何とかこらえたものの、どうも右足に力が入らず体重を支えきれていない。
そしてこのときから前を行く米山さんとの間が三〜五メートルほど開くようになって来た。沢が又出て飛び石で渡る。ここも右足がふらついた。左足膝は二ヶ月前から痛みがあって、左に力が入らないのならわかるが右とはナー。そして追い討ちを掛けるように、本日一の難関が待っていた。
登山道から沢におりて向こう岸へ渡り返す?しかも石造りの堰堤の真ん中がすっぽり抜け落ちている。大雨で流されたのだろうか、対岸では大きな杉が二本、ほとんど逆さまに倒れている。ベテラン三名が向こう岸で動いていた。自分の位置からは対岸に登山道らしきものが見当たらない。「戻ろうよ」問わず語りに話す声が後方から聞こえて、戻るのもやむなしか、しかしここから戻るには分岐まで一時間程度あり、辛いものがある。
いつの間にかロープが張られ、沢を渡って、堰堤を乗り越し、倒木の下をくぐって、二本目の木を手で押して、岩にコワゴワ立って、そして登山道に出た。「大丈夫ですか!」「頑張ります」声がかかって返事はしたものの、あまり大丈夫ではありません。振り向くと若い女性会員が器用な手さばきでロープを畳んでいる。小柄な女性が頼もしく見えた。あと少しで登山口に着きそうだ。最後くらいしっかり歩いて見たいが前を行く米山さんとやっぱり何メートルかあいてしまう。この差を詰めようとするがかなり努力が要る。見かねた吉川さんがストックを貸してくれた。途中で木の枝を拾って杖にした。やれやれやっと小岐須渓谷の駐車場に着きました。
鈴鹿は随分前に卒業・・と、不遜なことを考えていましたが、今日のコースを歩いて鈴鹿は奥が深いと感じました。ブルージックの貴重な体験と、ルート工作でロープを設置されたベテランの皆さん、そして洞井さんの山に向かう真摯な行動は著書「安心登山の技法」そのものだと驚きました。加えて会員の皆さんに敬意を表し感想文といたします。
・・・・・サポーター(会員)のレポート・・・・・
想定外 新海時生
8名の受講生を連れて講座の実技山行に行ってきました。受講生は少ないのですが「大勢で!」という会長の要請もあり、総勢は23名。ただ会員もここ1〜2年の入会組がほとんどで、どっちが会員か分からない人もいましたねぇ。
行き先は想定外の入道、池ヶ谷コース。ここ数年使った事のないルートでちょっとびっくりしました。この実技山行の担当となっていたのですが、個人的には2〜3年前に1度通っているので、ヒル以外たいした問題もないだろうと下調べもせずに出かけました。ところが想定外の事態が起きてしまいました。それも2度!ルート外を歩かせ、ルート崩壊地も通すことになってしまったのですが、多人数で来た分その対応も大変でした。受講生の皆さんはさぞかしびっくりされたことでしょう。安全には出来る限り配慮をしたつもりですが、十分なケアは出来なかったかもしれません。申し訳ありませんでした。反省しております。
山では天気にしてもルートにしても、予定通りいかない事はよく起こります。図らずも身を以て体験して頂いた事になりますが、それに対処するスキルを身に着けていく事が山の実力になります。会員の皆さんも含め、山から安全に帰って来るための知識と技術をこの講座を通して1つずつ身につけて行ってください。
のどかな頂上だったが 博T
登山講座実技で小岐須渓谷から入道ヶ岳に登ってきた。登山道の一部は台風18号によると思われる崩落があり、自然の力に驚かされる場面があった。多少きつい登山になってしまったのではないかと思った。
池ヶ谷登山口を登り始める。しだいに尾根道を登りつめて行くため池ヶ谷から離れてしまう。途中から左手の西方面へコースを変え、池ヶ谷ポイント2の標識にたどり着いた。歩き始めてから約1時間10分であった。その後、池ヶ谷沿いに登って行く。標識に書かれている通報ポイント6の地点は、先ほどの尾根道を登りつめていくと、ここにたどり着くと思われる。通報ポイント7付近からは小さくなった沢のすぐ横を登って行く。沢沿いの登山道は歩きやすく軽快に進むことができしだいに入道ヶ岳に近づいて行く。
登りの池ヶ谷も下りの滝谷も登山道の崩落があり注意して通過しなければならない状況であった。計画書の予定時間より約2時間多くかかってしまったが、この約2時間によって中身の濃い山行ができたのではないかと思っている。
入道ケ岳 幸N
昨年の登山講座を受講していましたが、実技1は都合が悪くなり参加できなかったので、一年越しで行くことができました。カラビナやシュリンゲを使って岩を登ったり、丸太にしがみつきながら進んだり、私にとってはスリル満点でした。
台風の影響で従来の登山道がなくなっていて、想定外のことがあっても乗り越えられるように共同装備があるのだと思いました。
下りの足の運び方のバランスが悪く、ズルズルとよく滑っていたので、先輩に指導していただきました。今は自分の足元を見るので精一杯ですが、今後は先輩の歩き方を参考にして、もっとスムーズに歩けるようになりたいです。
天気にも恵まれ、気持ちのよい森林浴ができました。バスの行き帰りでは、受講生の方とお話ができて楽しかったです。みなさまありがとうございました。
道がない・・・ 聖S
登りはじめてまもなく、“道が違うのでは!?”と言う声が・・・LとSLで道を確認しに行くと、案の定道が違っており、本ルートまで安全な道を選びながら、トラバース。でも、谷まで下らなくてはいけない為、崩れやすい足元に気をつけながら一歩一歩慎重に。と思っていたら、上から受講生がズルズルと落ちてきて・・・・あわてて確保。驚きました。何とか本ルートに戻れたものの、台風のせいで道が崩れており、L・SLが安全に通れる所を探しながらの登りとなりました。下りも、本来なら、沢を渡渉して渡るルートがあるはずなのに、崩れており、道がない。ここも、L・SLの適切な判断により、何とか、基のルートまで全員無事に辿り着け、下山することが出来ました。今回は、想定外のことが沢山ありましたが、その都度L・SLの判断力と安全に通過させる為の対応を目の当たりにして、改めて、先輩方の凄さを実感すると共に、少しでも近づけるように学ばないといけないと思いました。
【記録】
6:30 阿久比町役場発
7:20 御在所SA発
8:15 池ヶ谷ルート登山口、尾根筋を急登
9:00 急登、ザレ場、落石注意慎重に歩行
9:30 倒木が登山道崩落を誘い?倒木の乗越しにてこずる
9:40 谷沿いルートにトラバース
9;50 池ヶ谷ポイントB通過、休憩
10:10 〃 C通過、谷沿いルート
10:20〜50 鎖場にてロープ、シュリンゲ、カラビナ、プルージックの実習。
11:25 池ヶ谷ポイントF通過、渡渉
11:30〜40 休憩
12:05 池ヶ谷ポイントH通過
12:20 頂上着、写真撮影
12:30 二本松尾根ルートへ出発
13;06 分岐、滝ヶ谷ルートへ
13:30〜40 休憩
14:00 滝ヶ谷ルートC通過
14:10 堰堤左岸が倒木とともに崩壊され登山道壊滅。ロープを張り倒木潜り、乗越しCL、L等ルート作成。
14:40 受講生含む全員通過完了
15;00 滝ヶ谷P着 (記録:伯S)