鈴鹿 雨乞岳(1238m)

       

 


正面に雨乞岳を望みながら歩く(清水の頭付近で)

 



(日程) 2013年10月13日(日)

(ルート) 甲津畑〜清水頭〜山頂〜西尾根〜甲津畑

(メンバー)L:洞井 孝雄 他 2名

 

ヒルのいない雨乞岳に           良O

 久しぶりに洞井さんから山のお誘い。でも・・雨乞岳=ヒル どうしようかなと一瞬迷ったが、お願いしますと言ってしまった。良く聞くと行きも帰りも谷筋、特に帰りは・・濃い塩水を身体に降りかけ帽子や手袋は前日塩水に浸した。歩いている時は地面を良く見ないようにした。見つけたら歩けなくなるので。林道はガードレールも潰れ路肩の崩れている所もあり前途多難を思わせた。橋は傾きロープで吊ってある。蓮如上人の遺跡や桜地蔵は綺麗に保存され見る価値があった。

 今日のポイント山頂から西尾根の下り。地図で見ても良く分からない。ザイルを持ってきたなんて聞くと最後は凄い沢に降りるのかと不安。必死で付いて行ったら覚悟をしていたせいか思ったより早く向山鉱山で使ったものか石組の建物跡に出る。沢も上流なので細く簡単に渡れた。大木を眺めながら休憩すれば杉峠からのルートのすぐ傍だった。笹枯れの進んでいる鈴鹿だが此処は鈴鹿の山の雰囲気を充分に残しているヒルのいない雨乞岳で静かな山を充分楽しみました。

 

静かな山                   由美H

 そろそろ鈴鹿も歩いてみたいなと思っていたら、雨乞岳にいくぞと声が掛かりました。下りは西尾根にするとのこと。その方が早いから、点線無しの道無き道を歩く? 用心のために、細引きじゃなくて、ザイルも持って行く。良Oさんにも声をかけたら、一緒に行ってくれることになりました。

 甲津畑から千種街道を通り、桜地蔵でお参りもして、適当におしゃべりしながら歩きました。大峠からは、急登になり言葉も出ないくらいで、前を歩く2人に必死に付いて行くのがやっとでした。足元には小さな山栗が沢山落ちていて、時々拾いました。

清水頭の付近は広い笹原で風が強く、寒くて長い休憩には不向きでした。笹は低く、

リンドウ、アケボノソウ、リュウノウギクが咲いていて、和ませてくれました。すぐに笹は背が高くなり、足元は見えなくて、良Oさんのリュクはグリーンで笹と同化して見難く、リーダーのピンクのザックが時々見える。背丈ほどある笹藪を歩くのは、久しぶりでした。雨乞岳に着くと、10人くらいの人がいて、今日はじめて山で会った人たちでした。下りの西尾根は落葉樹の急下降で、気が抜けない、ハラハラドキドキの道でした。へっぴり腰になっているとリーダーに注意を受け、姿勢を正して歩きました。谷が近くなり、向山鉱山跡に出てきて、やれやれでした。笹跳ね注意という言葉を久しぶりに聞き、笹薮と格闘した、楽しい1日でした。

 

   清水の頭から雨乞岳へ  最短の西尾根を下降 

                            洞井 孝雄
 10月13日、世間では三連休だが、14日は仕事。仕方がないので日帰りの山行を計画した。F山岳会のKさんから『茨川の日々』という冊子を送っていただき、その中に触れられている茨川、治田峠、青川峡谷などをたどってみたい、と思っていたのだけれど、時間的、距離的に少々難しい。その周囲を眺めているうちに、少し外れるけれど、以前、鈴鹿踏査で歩いた甲津畑から大峠、清水の頭から雨乞岳、そこから西に派生する尾根を下降する、というコースをもう一度やってみようか、という気になった。メンバーは、由美H、良O、それに私の三名。

 5時出発。知多半島道路から伊勢湾岸道を通り、東名阪桑名ICで降りて北勢町から宇賀渓、その奥の石榑トンネルを抜けると、永源寺ダムの周囲を走る道路に出る。かつては永源寺や甲津畑は随分遠いところにあったが、石榑トンネルが開通したおかげで、渋滞さえなければ2時間足らずで行けてしまう場所になった。カーブが多いが、急ではなく、見通しの良い走りやすい道路だ。永源寺を過ぎて甲津畑に入ると、集落の中の細い道路に入っていく。千種街道の入り口を探して、しばらく細い集落の中を行ったり来たりする。集落の脇の小さなピークにつけられた林道を回り込むようにして進んで、千種街道の入り口のゲートに着く。左下にはフジキリ谷の流れ。道路わきに車を停め、出発準備。ゲートからしばらくは舗装道路が続くが、先月の台風か豪雨か、折れた枝や葉、石灰岩の石ころが散乱している。小さな沢が横切る場所は例外なく沢筋の土砂が押し出し、道路をふさいだり、道路の下部の土砂が崩れ落ちて道がなくなったりしている。一昨年紅葉を楽しみながら登った時は、きれいな道路だった。住善坊のカクレ岩、桜木地蔵尊、避難小屋などを過ぎて、道はツルベ沢との出合に出、左手の樹林の中の踏みわけ道を辿ると、ツルベ谷に出る。ここからしばらくは小さな流れを右に左に渡り返して遡行していく。流れが細くなると沢から離れて右岸の斜面を登り、やがて大峠までの急な斜面の登りになる。大峠から西に進めばイハイガ岳、綿向山、東に進めば清水の頭である。峠で一休みして出発する。ここからはこれでも登山道か、と思えるほどのかすかな、しかも急な踏み跡が雑木の間に続く。つま先がかろうじて斜面にかかるくらいの傾斜だ。「こんな道は下りたくないね」と言いながら、ずり落ちないように一歩一歩慎重に足を運ぶ。登りきると、今度は痩せた岩交じりの尾根の緩やかなアップダウン。イワウチワの群落、次いでシャクナゲ、アセビのトンネルがずっと続く。花の時期にぶつかったら最高でしょうね、などと言いつつ尾根筋を歩く。樹林を抜けると、丈の低いササに覆われた広大な草原上の尾根が目の前に広がる。清水の頭はその中の最高地点。雑木が何本か固まって生えている。風が北から南にいつも吹いているからだろうか、雑木の枝はみんな、南側の方向に枝を伸ばしている。けっこう風が強い。正面に雨乞岳、東雨乞岳、その右手に鎌ヶ岳の特徴的な姿、雲一つない空の下で、今日は鈴鹿の山並みが丸見えだ。山頂部分の雑木が少しだけ色づいている。やはり秋の気配である。ササの中の踏み跡を、正面の雨乞岳めざして進んでいく。リンドウ、リュウノウギク…ところどころに花も散見できる。緩やかな尾根を一直線に歩いて、やがて岩の露出した登りから、山頂部直下のササの中の急な登り。ここのササはけっこう丈があって、足先で踏み跡を探りながら登っていく。

「久し振りにヤブ漕ぎを思い出したわ」「昔はみんなこんなだったものね」嬉しそうにササをかき分けながらしばらく。頂上付近で踏み跡を外し、少し西側に振ったところから山頂の近くに出た。これまで一人の登山者にも合わなかったのに、さすがに山頂付近は人が多い。一休みし、山頂の池を覗いてから、杉峠に下る道の左側のササの中へ入っていく。平たんなササ原の中で、地図と磁石を取り出して整地。下る方向を確認し、忠実に尾根筋をたどる。西尾根は山頂の西側から、杉峠とツルベ谷出合を結ぶ登山道の南側に並行して延びている尾根だが、尾根筋を読むのがむつかしく、以前下った時は、左右に下降路を振りすぎ、途中でもう一本南の尾根に入ったので、時間を食った。今回は慎重に北よりに下ったので、1時間ちょっとで向山鉱山跡に出て、登山道と合流することができた。このあたりの登山道も台風か豪雨か、石畳が荒れて、歩きにくくなっている。前はもっと美しい道だったような記憶がある。シデの並木、蓮如上人旧跡を過ぎると間もなくツルベ谷出合である。ここからは朝、たどった避難小屋からゲートまで、千種街道のよく整備され(てい)た、今はところどころ押し出しや崩落で寸断された道をたどって帰って来た。

 

大字甲津畑と千種街道

 大字甲津畑は鈴鹿山脈に抱かれ、藤切川などの清流を有する緑豊かな集落です。また、千種街道、藤切神社等の史跡にも富んだ集落です。当集落は古くから【千種街道】とともに歩んできました。この千種街道は、八風街道の如来から分岐して甲津畑から杉峠、根の平峠を越えて伊勢国(三重県)菰野の千種に至る山道です。しかし、中世以降において、東海道と中山道を結ぶ要所であったことから、近江商人らが良く利用しました。なかでも「信長の千種越え」や「蓮如上人の隠遁縁起」は有名であり、「善住坊の隠岩」、「蓮如上人の御旧跡」などが残されています。また、街道沿いに鉱山が営まれていたため鉱山跡が点在しています。今日も鉱山主の記念碑などが残され鉱山関係者に親しまれた「桜地蔵」がまつられ、鉱山の隆盛の名残をとどめています。このように千種街道は、大字甲津畑の歴史的シンボルであり、今日でも登山道として親しまれています。

 平成8年度創意と工夫の郷づくり事業(登山道入り口の看板より)

 

(記録)

05:00 洞井家発

07:18 林道岩ヶ谷 鳴野橋手前駐車発

07:40 杉谷善住坊隠れ岩

08:00 桜地蔵 5分休憩

08:23 ツルベ谷出合

08:26 POST 1/5 617m 200mごとに
      大峠まで付いている。

08:32 P2/5 632m 沢沿いの道

08:42 P3/5 657m 沢を渡り返し進む。

08:50 P4/5 691m 雑木の中の登り。

09:00 P5/5 742m 

09:10 大峠 雑木の中一休み10分、ここから急登が始まる。

09:30 P1/16 818m 

09:36 P2/16 927m今度は大峠〜雨乞岳
      までの標識だ。こんな急坂に良く
      付けたと思うほど急です。

9:42  P3/16 944m シャクナゲの古木
      とアセビの間を歩く。

10:03 P6/16 968m広い尾根 栗やドン
      グリがたくさん落ちている。

10:15 P9/16 1056m 低い笹原が山頂
       に向かって続いている。リンドウ
      リュウノウギク、アケボノソウが笹の中で咲いている。

10:28 清水頭 P10/16 1094m 風が強
      く寒いが気持が良い所休憩10分

10:45 12/16 1085m 緩く下り登る。

11:19 雨乞岳 背の高い笹の中を格闘し
      ながら登り着く。初めて人に会う。
    休憩15分ぞくぞくと登って来る。
    下りが本番。地図で確認する。

12:30 石組の建物跡 低い笹原を下った
      後は傾斜もきつくポイントとなる
      物もなかったが木に摑まり下り人工物が見えホッとする。

12:45 向山鉱山集落跡 休憩15分

13:30 蓮如上人遺跡 大シデの木、石畳
      石組の残った鉱山跡、窯跡、石碑
      で昔は大勢が住んでいた事だろう。

13:45 ツルベ谷出合 ホッとする。

14:35 駐車場着 車4台も止まっている。
    山頂以外では誰にも会わなかったのでびっくりした。
        (記録:良O)