「山行日」2,013年11月20日(水)晴れ
「ルート」新茂智神社⇒笹間ガ岳⇒迎不動⇒堂山⇒アルプス登山口
「メンバー」L/洞井孝雄 他 5名
見どころ満載・景色抜群 洞井 孝雄
12月の定例山行の山域候補として挙げられた、滋賀県の山だが、12月の定例山行当日は別の用事が入っていて、行けるかどうかはっきりしない。しかし、担当者からは前の台風などの影響もあって通れるかどうかもちょっと心配だという話を聞いていて、一度見ておいたほうがいいだろうなと思ったので、声をかけてもらった。
下見の日程は週の真ん中だったが、たくさん有休を残している身なので、調整すればなんとでもなる。というわけで、11月20日(水)、湖南アルプスの笹間ヶ岳、そして堂山にでかけた。メンバーは、岩田良子、光田佐枝子、杉浦法子、柴田哲哉、榊原清子それに私。
新名神を通って瀬田東ICで降りる。以前、娘が下宿していたので、この付近には何度も来ているが、登山のエリアとしてはあまり意識していなかった。ICから少し走れば、もう湖南アルプスの懐に入っていくのだということに改めて気がついた。
少々、登山口付近の細い道でまごついた後、新茂智神社の鳥居前に到着。以前登ったことのあるメンバーに、ここからはどうするのだ? と尋ねると、車で鳥居をくぐって中に進むのだという。ちょっと罰あたりのような気もする。参道を入って社殿の少し奥の道路脇のスペースに車を止めた。天候は晴れ。
うっそうとした灌木の下の道を進んでいくと道は二股に分かれ、右にとると小さな流れをまたいで池に突き当たる。池の周囲を回り込んで雑木の中の細い道に入り、鉄塔の基部を過ぎると、倒木や枝で少し道が不明瞭になった。がさがさと道を探して赤布の印をつける。すぐにまた明瞭な道に出、10分も進むと432.9mの岩のピーク。足元の住宅街の見晴らしがいい。それから5分ほどで林道を横断、再び山腹の樹林の中を登っていくと、鳥居が現れる。鳥居をくぐって進み、社の脇を回り込むようにして登ると、笹間ヶ岳の山頂である。大きな岩があり、その上に立つと、大津、瀬田の唐橋、琵琶湖方面が一望のもとである。晴れた空の下で、おだやかな琵琶湖とそれを取り巻く街の広がりはなかなかの景色である。
一息入れて出発する。灌木の中を下って林道に出る。舗装道路の三叉路には、この
付近の地形の説明版が立っている。立ち止まる。「学習タイム」だそうである。田上山の砂防、天神川流域の山腹工事などの歴史が紹介されていて興味深い。
再び登山道に戻って、林道に沿ってつけられた道を進んでいくと、広い砂洲の広がる大谷河原に出る。手前に標識があるが、その標識を無視して、まっすぐ沢の左岸の道を進んだら林道に出てしまった。もう一度標識まで戻って、樹林の中に入ると、5分ほどで池畔に出た。細いじめじめとした湿地様の道の下りになる。10分ほどで、水は消えて伏流となり、少し開けた部分に出る。御仏河原だ。ここは山腹を直接笹間ヶ岳へ登る道と、迎不動への道の分岐である。分岐のすぐ先に御仏堰堤がある。この堰堤は、小ぶりだが、明治20年に作られた滋賀県最古の空石積み堰堤だそうである。説明書きを読むと、よく残っているものだな、という思いがする。ここからは岩場が連続する下りになる。こんなところにこんな場所が…と思わず声をあげそうな、川幅いっぱいの岩で構成された下り。なかなか不思議な風景である。道はやがて、階段状の緩やかな下りに変わって、舗装された林道に降り立つ。
谷を左に、林道をしばらく登っていくと迎不動に着く。トイレと石の不動尊がまつられたあずまやが並んでいる。お堂のようなあずまやの入り口には腰掛けるスペースもある。迎不動を過ぎてすぐ、左側の河原に下りて対岸へ渡渉すると、堂山方面への急な登りになる。登りきるとオランダ堰堤に出る。このオランダ堰堤も、その上部の鎧堰堤も、礫、砂、粘土を固め、石で堰体を補強するという工法で、デ・レイケというオランダ人によって明治22年に完成させられたそうな。整然と長方形の石が積まれた堰堤はいかにも明治時代の歴史的建造物だな、という感じがして興味深い。堰堤の上部に上がると沢筋に出合う。左岸を歩いてすぐに小さな流れを渡り返す。「→鎧堰堤300m」の標識が現れる。10分足らずで鎧ダムに着いた。階段と手すりが設けられ、沢の中ほどまで進んで眺めたり休んだりできる堰堤は新しく設けられたもので、その上流にもうひとつ、あのオランダ堰堤のような「鎧堰堤」が残っている。
鎧ダムから上は沢筋が砂で埋まって、広い砂洲が続いている。とても登山口からは、想像できない広々とした河原である。この沢筋の両岸では、年々荒れて禿山になるのを防ぐための段々を設けて植樹をする取り組みが行われているらしい。右岸にやっと根付いた松などの低い木々の間につけられた道を登って、岩と砂礫の尾根筋に出ると、前方に灌木と、ところどころ岩がむき出しになった荒々しい(そんな感じを受けた)存在感のある堂山が横たわっている。開けた尾根筋から岩の細い尾根の登りを経て展望台へ。さらにいったん下って、岩の間を登り、堂山のピークに着いた。ここからは新茂智神社方面の住宅街が見下ろせる。家が整然と幾何学模様を描いているのを間近に見下ろしながらランチタイム。
下山を開始する。山頂から眼下に見える天神ダムの方向を目指して下り始める。かなり急な、ところどころ岩が露出した踏み跡をたどる。やがて沢筋に出、透き通った水の流れや沢沿いの岩を飛んだりして渓谷美を楽しみながら下ってくると、30分ほどで天神ダムの上の砂洲に下り立つ。対岸へ渡るとすぐ下が林道である。道の脇にはトイレもあって下りてきたという実感がある。笹間ヶ岳も堂山も、たかだか300mか400mそこそこの標高しかないのだけれど、変化に富んだ道は湖南アルプスの名にふさわしい。景色も、登山道も、林道からは想像もつかないほどの世界が展開する。なかなかの山域である。
15分ほど、舗装された林道を下って「湖南アルプス登山口」のバス停に出、さらに30分ほど、のどかな雰囲気の住宅街を歩いて、新茂智神社に戻ってきた。
登山口から住宅街を登山スタイルで歩くのはちょっと気恥ずかしかったが仕方がない。定例山行本番ではバスが拾ってくれるはずである。
新茂智神社から笹間ヶ岳を経て林道まで3時間、林道から迎不動、オランダ堰堤から堂山を越えて林道まで2時間30分。全行程(新茂智神社〜新茂智神社)合計6時間18分の行動だった。往復のアプローチが約4時間、この二つのピークをはさむ変化の多いコースを、大人数で歩くのにかかる時間を考えると、定例山行ではちょっと時間がかかりそうだ。定例山行本番では、パーティーを二つに分けて、ゆったりとそれぞれのコースを歩く計画にしたほうがいいんじゃないか、などと話しながら帰途についた。
「記録」
6:00 阿久比町役場発
8:15 新茂智神社発大津市石津4−8)
8:25 貯水池左へ(少し迷う。)
8:30 鉄塔に出たら左へ
8:40 標識に出たら左へ
9:00 林道を横切るように登山道に入ると、岩稜になる。
9:09 鳥居をくぐる
9:25-40 笹間ガ岳山頂、祠後ろの大岩に登ると、琵琶湖大橋まで見えてすばらしい眺め。
9:45 林道に出ると伐採で兀山になってしまった山々を森に戻した歴史を書いた看板がある。
10:15 標識をみて、登山道を進むと右手にきれいな池が3つくらいある。
10:33-40 登山道がいくつかに分かれているところで休憩。
10:45 御仏堰堤、滋賀県で一番古い堰堤。滑りやすい岩や沢を渡ったりしながら進む。
11:17 林道に出る。
11:21 右手にとるとすぐに迎不動、脇に男2女3のトイレあり。
左手の登山道に入り、沢を渡る。
11:31 迎堰堤(デ・レイケの看板)
11:48-55 鎧堰堤、休憩、ぐに広い砂州、阿弥陀ケ原に出る。
12:21 標識を右手にとると、やがて、岩山の堂山が見えてくる。
12:43-13:05 堂山山頂、堂山付近は岩でトラロープは付いているが注意して登る。
13:45 天神ダム、沢を渡った林道脇にトイレ男1女1ある。
14:00 アルプス登山口(大津市枝3丁目)
14:25 新茂智神社着 (清S記)