2013.12.19 高尾山(599m) 独り占め。雨だったけど…




<高尾山頂にて。雨だぁ。> 

 

洞 井 孝 雄

「望年会やりませんか?」、「望年山行もいいですね」、「高尾山、行ったことないんですよ」、

「一緒にやって、そこで編集委員会もやります。連載のコンセプト決めましょう」

『登山時報』編集部のKさんから、高尾山に登った後で望年会、ついでに来年からの連載の中身も話し合って決めてしまおうという欲の張った計画書が送られてきた。日影から小仏東尾根を登って小仏城山、一丁平から高尾山へというコース。名古屋からの日帰り。

2013年12月19日、6時に家を出た。新幹線、横浜線、さらに中央線に乗り換え、JR高尾駅で10時に東京の仲間たちと合流。日影のバス停で下りたのは私たち6名だけ。細かな雨も降り始め、道路脇で雨具をつける。林道に入ってまず登山口さがし。道の右側の6番の電柱の脇から踏み跡が小さな沢の流れをまたいで、雑木の中の落ち葉の散り敷いた急な傾斜の登りが続いている。小仏東尾根は一般路ではないとのことだったが、傘をさしたまま歩けるほど広く、よく踏まれている。「ホライさんがゲストじゃなきゃ、きっと中止してたね」、「汗かかない速さで登らなきゃいけないんですよ」、あーでもないこーでもないと言いながら雨の中を歩く。急な傾斜になると、濡れた土に乗った落ち葉で足がつるつる滑る。昨夜、この日の東京の天候を考え、何を履いていこうか、山靴では新幹線の中はちょっとなあ、タウンシューズで別に山靴を担いでくのも重いし、と迷った挙句、ハンティング・ブーツにしたのだったが、底がすり減っているのでグリップ力に欠ける。つるっと滑って、転ぶ一歩手前で態勢を立て直す。「高尾山をなめたらいけませんよ」足元を見た同行メンバーから叱咤の声が飛ぶ。斜面を登りきり、尾根上のゆったりとしたアップダウンをしばらく歩くと、足元が落ち葉から雪に変わった。くるぶしくらいまでの深さだが、雨でシャーベット状、ところどころ水溜りになっている。滑ってもガム・ブーツは水には強い。正解だった。尾根が日影林道と合流し、小仏峠への分岐を過ぎると、まもなく城山に着く。茶店の建物を中心に、テーブルとイスがいっぱい置かれた広場も雪で覆われ、人影はなし、店も休みだ。軒先で雨をよけ、大休止。一息入れたところで再び高尾山に向けて歩きはじめた。最初は急な段々、広い遊歩道を歩いて一丁平へ。この辺りは桜の古木が続いて春はさぞかしと思われる。びちゃびちゃと溶けた雪の道を進んでいくと丸太の段々が現れる。ここからはもみじ台、さらにビジターセンター、頂上へと階段状の道が続いている。階段の登りは疲れる。雪が乗っているとよけい歩きにくい。展望台を通って山頂へ。いつもなら「渋谷の交差点」並みの人ごみだそうだがこの日は私たちだけ。ビジターセンターで高尾山の生態系についての学習タイムの後、薬王院に向かう。ミシュランの三ツ星を貰ってから、辺りは急速に整備(?)が進んだらしい。道はコンクリートで固められ、所々がウッドデッキになり…。足を運ぶにつれて薬王院の伽藍が展開する。札所、本堂、小さな祠、壮麗な建物群、鳥居、「六根清浄、懺悔懺悔」と彫りこまれた和式のマニ車、輪くぐり、巨大な錫杖、銭洗い…。なかなか見所が多い。山門には左右に天狗と烏天狗像、背中合わせに阿吽の仁王像。参道に灯篭、その脇に一本一本名前のつけられた杉の巨樹がずらり。最も有名だという「蛸杉」を過ぎると、ケーブルカーとリフト、蛇滝への分岐に出た。時間は15時40分。のんびりしすぎた。登山道を歩いて下っていては16時の集合時間に間に合わない。リーダーの判断で、発車寸前のケーブルカーに駆け込んだ。日本で一番傾斜が強いという車両の一番前で見る景色はなかなか迫力がある。トンネルを抜けると、雨粒のついた窓からまだ少し残った紅葉の景色が後ろへ飛んでいく。5分で駅に着いた。望年会に参加する仲間たちと無事合流、「編集会議(?!)」を終えて帰宅したのは23時過ぎ。やっぱり高尾山日帰りはきつい。