半田ファミリー山の第会33期冬山合宿/2013.12.28〜29
阿弥陀岳南陵から阿弥陀岳。御小屋尾根下山。
HFMCの第33期冬山合宿は、2014年12月28日から30日までの二泊三日の日程で南八ヶ岳に阿弥陀岳南陵入山しました。メンバーは11名。阿弥陀岳山頂に立った後、赤岳、横岳、硫黄岳にも登る計画でしたが、折からの寒気で、結果的に、初日、阿弥陀岳南陵の青ナギ上部の樹林帯の中に設営、二日目は阿弥陀岳の山頂に立ちましたが、晴天にもかかわらず寒気が厳しく、計画を縮小して御小屋尾根を下山しました。
気象状況は典型的な冬型を示していましたが、八ヶ岳周辺は29日、30日はよく晴れ、とりわけ30日は快晴となりました。しかし、寒気がことのほか厳しく、入山時はマイナス10度前後、30日は出発時点からマイナス19度という気温を示し、風はそれほど強くはなかったものの西側から絶えず吹きつけ、阿弥陀岳南陵を登高中は、低温と風による体感温度低下の中での行動となりました。とりわけ、P3のルンゼの通過に時間がかかり、稜線に出た時点で顔面、指などの凍傷になったメンバーも出ており、阿弥陀岳の山頂に立った時点で、これ以上の行動継続は難しい、という判断をしました。
<阿弥陀岳山頂で「うう、冷てぇ!」>
<あのピークを目指すんだぞ>
<空にむかっての登高>
<陽だまりでのひと休み>
【メンバーのレポート】
合宿を終えて 良I
やっぱりレベルが違うんだと実感しました。私が1年目や2年目の時なんて、まわりのことなんて何も見えず、考えられず、自分のことでセイイッパイ。生活技術も行動技術も、いろいろな知識もすべての面で、非常に劣っていました。今回一緒に行ったメンバーの皆さんとは比較になりません。これから困っちゃったなあ(?)と思える心強いメンバーばかりです。
渉外としては、山域が八ヶ岳ということもあり、調べやすく、楽をさせていただいちゃいました。
SLとしては、技術が無い分、皆の事をよく見て行こうと思っていたのに、凍傷になったり、なりそうな人がいたことに気付かなかったことを反省しています。また、ロープワークでは、時間がかかってしまいました。頭の中でシミュレーションしていましたが、そんなにうまくいくはずがありません。けれどもトレーニング山行でロープワークをやらせていただいたのが役に立ちました。私にやらせていただいてありがとうございまし た!
1泊2日で終わった合宿ですが、トレーニングの仕方、あり方も含め、いろいろと考えることができる合宿で、良かったと思います。皆様、ありがとうございました。
ぎりぎりの合宿。 杉浦 茂治
今回の冬合宿は今までもっとも反省する事が多く感じました。打ち合わせからトレ−ニング、任務を遂行しそして本番へと繋げていかなければいけない所を、中身を抜いて即本番に望んだようなものとなり、これで担いで歩けるのかと不安になりました。当初、1泊2日の予定で八ヶ岳の阿弥陀岳の山頂から本隊から別れる行程で、ここでも色々考えました。阿弥陀岳の山頂からなので雪などが降れば当然トレ−スは期待出来ないだろうし、天候によっては視界が遮られるといった事もありうるので、本当に御小屋尾根に入れるのだろうか、といろんな事がぐるぐる頭の中で廻っていました。
1日目は船山十字路から立場山へ向いました。意外に他のパーティ−もいて道もはっきりとしていました。自分にとって今シーズン初の雪となりました。気温も低くて休憩で時間がたつと震えてきました。ナギの辺りでテン場を探し、少し行った所の樹林帯の中でテントを張りました。自分の足は限界にきておりました。テントの中は寒かった、そんなふうに思った事は初めてで、2日目の朝の気温が−19℃と聞いて納得しました。今日のメインは長いルンゼを登る事です。いざ目の前にするとやっぱり長い…少しの待ち時間でも長く感じられ足の指先がしびれてくる、すかさずグ−ッパ−を繰り返しましたが、時折吹く風は足元から頭へぬけ、冷たく吹きつけ、凍える寒さでした。何とか上がった時は本当にぎりぎりでした。阿弥陀岳山頂からの降りも長くてバテました。これほど苦しい合宿は初めてでした。自分では何もかも中途半端で合宿に参加をする資格が無いのでは、と思いました。ありがとうございました。
感想 三O
山行感想
舟山十字路から立場川を何度か渡渉しながら緩傾斜で徐々に高度を上げ大日小屋へとたどり着く ここから急斜面を上がり一気に尾根筋に出た
樹林帯をひたすら進む 雪はしっかり乗っているが所々、雪下の岩に足を取られながら立場岳へ 山頂でしばらく休憩して、歩き始めた時の事、寒さで指が痛くなった、休憩で運動が止まる事で血行が悪くなり末端が血行不足で痛くなるのかと思う 実際、その後に歩きながらグーパーを繰り返すことで血行が良くなり痛みも和らぎホッとした
青ナギコルに到着 テントを張るのに最高なポジションは一足先に別組に取られていたので樹林帯の中で張り場所を探す しかし今回このお陰で樹林帯の中でテントを張る良い勉強になりました
テン場とは雲泥の差 土台作りから始まり、最後はテントのロープで塞いだ登山道の迂回路まで作って終了、一連のスコップ作業に汗を掻くほどでした。
翌日、出発から1時間ほどで樹林帯も終わり岩稜帯へと進んで行くと、簡単な岩場のトラバースがありました 簡単とは言え、足場も狭く落ちれば帰って来る事が出来無い場所でしたから、私的にはあそこが一番、危険を感じました。
完全に凍った所もあり3m程アイスクライミングをする感じでしたがアイゼンの前爪をしっかり効かせて無事通過
ザイルの支点までたどり着くと少し広くなっており、そこでザイルをしまっていよいよ残り1ピッチ、ここまで来ると八ヶ岳連峰の素晴らしい景色と樹氷の美しさに感動です。しかし、ココで数名のメンバーに凍傷の症状が出ている事が判明 早々に山頂に登り下山開始 御小屋尾根を降りて来ること になりました。
御小屋尾根は尾根線上を歩いている間はトレースが無くてもわかると思うのですが後半、徐々に尾根線から南にずれて来るので、もし自分が先頭を歩いていているならばトレースが無いと後半は分かりにくいルートだと考えながら歩いていました。
今回、膝がイマイチの状態での参加でしたので心配していたのですが無事に終了できてホッとしたのが本音です。
今後、体調管理には気をつけます。
装備担当の反省
今回、メジロの一夜干しがあるにも関わらずフライパン無しで装備をまとめたのは食事担当者との打ち合わせ不足だったかと思います。
バーナーを各テント2つにしたのですが1つしか使いませんでした、これは雪溶かし用と料理用で2個と考えたのですが、実際には1つでも十分だったのかと合宿反省会で話したら、冬は2つで正解と言われ安心しました。
良かった点としてはガスに保温用のカバー「Mountain dax」 を付けたのですが、安定した燃焼をしました 後日、個人山行にて屋外雪上にて点火テストをしたのですが数秒間、不安定な後は安定して燃焼したので効果ありだと思います
もう一つはゴーグルに塗る曇り止め「山本光学潟fミスト3」を試したのですが私だけ曇らずに使い続けられたのでコレも効果はあったと思います。青山駅南のメガネ21にて900円位で売っているみたいですよ
学んだことは多かった 洋介
南八ヶ岳の阿弥陀岳へ冬合宿に行って来ました。山行の目的は「準備・トレーニング、本番までの共通体験を通して冬山の技術の習得・習熟を目指し、会の登山力量の蓄積をはかる」です。入会し2回目の冬合宿参加となりましたが、自分として設定した課題は3点。@昨年とは異なり幕営地が1日目2日目で変わることから、重装備での移動耐力があること及び共同及び個人装備の迅速な展開と撤収ができることAバリエーションルート登攀もあり、パーティ行動と安全確保を意識することB稜線歩きがあり寒さと風への対策ができること、です。
課題に対する準備・トレーニングとして@に対して伊吹山・野登山の歩荷トレーニングを行うことで耐力の確認をしました。迅速な展開と撤収についてはパッキングの工夫(寝袋類以外を防寒類、予備着替え類、医療生活用品類、行動食・コンロ類で4袋にまとめパッキング)し、ザックへの出し入れをし易くしました。その工夫で担当共同装備(ポールとマット)の出し入れが迅速にできるようにと考えました。Aに対しては3ルンゼでのトレーニングでパーティとしての意志伝達・相互扶助、危険地帯での行動の確認をしました。Bに対しては状況に応じて対応できる防寒着を準備、風対策は露出部である顔面防備の工夫(ネックウォーマを加工し曇り防止に眼鏡方向に息が抜けない様に、息苦しさが無い様に口の前に開口部を作る)しました。
さて、本番でうまくいったでしょうか。まず山の状況としましては、最大級の寒波来襲ではあったものの八ヶ岳方面は晴天に恵まれました。登山道も踏み跡がありラッセルは不用でした。ただ、稜線では風は強く、気温は−15℃を下回る低さでした。@の耐力につきましては歩苛トレーニングより本番でのザック重量は5kg程度少なく雪上でも苦になることはありませんでした。パッキングの迅速な行動については撤収時の再パッキングではザックに収めたものの細密充填できず、かつアイゼン入れをテントに忘れていました。着脱物など(ハーネス袋、靴袋、当日配布される食料品)への対応(何処にどういれるか)と様々なケースを想定しての自宅での更なる訓練が必要と思いました。Aにつきましては、P3へ向うルンゼでの行動で遅れました。プルージックが効かず、二回しから三回しへ変更、ロープが低温のため硬く結び目の直しに手間取りました。低温域では巻き数を予め多くすることを学びました。Bにつきましては、2日目は稜線に出ること・ルンゼで停滞があることから前日より上着を1枚多くしました。体幹の寒さは防げましたが、足の指先は痛むほどでした。ルンゼで停滞している時足が動かせずに血行が悪くなったことからと思います。斜面で足先は踏ん張って動かせない中でどうするかは今後考えたいと思います。ネックウォーマの工夫についてはうまくいかず、口の前に開けた開口部から出た息が眼鏡を曇らせました。もう一工夫必要です。
今回の合宿では寒さに対する課題を重く感じました。軽度の凍傷罹患者も発生し、2日目で行動中止となりました。今後どうしたら凍傷を防げるか考えたいと思います。また、テント生活(食事、就寝準備)や行動中に頂いた注意や指導などからも多くのことを学ぶことができました。L・SL・皆様ありがとうございました。
技術も経験も・・・ 東洋K
冬合宿は今回で2回目。年末29日までは強い寒波で大荒れが予想されたが、登山口に着いてみると天気は晴れ!予報でも快方に向かうとのことだったので全日程の消化に期待が膨らみました。
1日目は舟山十字路から青ナギまで、稜線にでることなく幕営。特別寒さを感じることもなく過ごせました。
2日目は阿弥陀岳南稜へのアタックに始まり、すぐに稜線に出ます。P3核心部からはザイルで確保され、アイゼン・ピッケルを打ち込んでの登りです。アイゼンの前爪を蹴りこむように登りますが、途中の完全に凍った個所などは手間取ってしまいうまくいきません。寒い稜線での行動なので迅速に動かなければならないのにと反省です。トレーニングでもう少しこなす必要があります。なんとか全員ここを通過することができましたが、登り切ったところで右手の感覚がおかしいことに気付きました。必死で動かしてなんとか感覚が戻ってきましたが明らかに変色し水疱ができていました。凍傷の初期症状です...
私だけでなく数名が手や鼻に凍傷の症状が出ていたこともあり、阿弥陀岳山頂でLからこれ以上の行動は不可能との判断があり尾小屋尾根を下山となりました。
凍傷になるのは初めてですが、これは経験でしょうか...?確保が必要な箇所では止まる時間がどうしても掛かってしまい稜線では強風にさらせれます。幸い軽度なもので済んだこともあり、そんな中での行動について今後考えていきたいと思います。
最後に、コースの難度・寒さと厳しい合宿ではありましたが、全員が無事に下山できたことが何よりよかったと思います。ありがとうございました。
強烈な冬型気圧配置! 板津 彰伸
気象担当の私としては冬合宿中の天候が一番気になっていたが、気象庁の発表ではこの合宿期間中に寒波が到来すると報道されていた。予測天気図を見てみると典型的な西高東低の冬型になっている。予測気温も低く心配をしていたが、荒天にはならないようで一安心していた。美濃戸口で長野県警の人に計画書を提出する。阿弥陀南稜へは3パーティーが登っているが安全に登るようにと指摘されただけだった。
【12月28日】
準備していざ登り始めると気温は低いが先行するトレースもありラッセルをする事もなく風も強くなかった。(行動中の気温は−12℃)青なぎでテント場を探すことになったが、平らな場所はすでに張られていたのでもう少し進むことにした。新雪緩やかな斜面で木々を利用してテントを張ることにした。
新雪を踏み固めるがなかなか固まらなかった。テント内で食事をしながら4時になり天気図を書くと強い西高東低の気圧配置であり低気圧952hpa、高気圧1040hpaでその差は88hpaもあった。(私が天気図を書いた中ではこの値は最高値であった。)
【12月29日】
テントを撤収するのに少し時間がかかったようだがみんなが揃っていた。稜線に出るまでは風も少なかったが気温は−19℃と大変低い。ゆっくりとしたペースで確実に歩いていたので汗もかかずに歩くことが出来た。稜線に出ると今度は風は強く寒い。太陽も出ていて雪山景色も最高で目指す阿弥陀の山頂が素晴らしい。核心部のルンゼ部は、最初は私が先行してザイルをセットする。洞井さんが登ってきて次をリードしてもらう。この2本目が今回の核心部になっていたようだ。アイス状になっていて皆が登るのに苦労していた。(初めてアイス場を通過する人にとっては大変だったと感じた。)最後に私が登ると確保しているのは洞井さんではなく岩田さんでびっくりだった。結果的にこの場所を全員が登りきるのに1時間以上も必要になってしまった。
残りの岩場を慎重に進み阿弥陀の山頂では写真撮影しすぐに御子屋尾根で下山することになった。(下山中は中央稜を登っている人が数名見えかっこいい。)
【気象と凍傷について】
気象担当としては、天候は予測できていた。3日目も同じような天気でこの程度の温度は覚悟していた。数名が凍傷になっていたのは、下山してから判ったことだった。私自身も下山してから2週間程度も手の指先のしびれたような違和感が残っている。凍傷になった原因は当然気温によるものだが、核心部のルンゼでの待ち時間があまりにも長かったことが心因だったと感じている。
【反省と感想】
リーダーとしての判断は正しかった。もしも私がリーダーだったらメンバーの体調もあまり気にせずに当然のように下山せずに3日目も行動いていたと感じている。どの合宿でも感じることは、共通の体験が出来た事は良かったが、これからどうするべきなのかが問題だ!あのルンゼをもっと早く通過する為にアイゼンワークも事前に訓練するべきだったし、確保やリードできるメンバーも必要だった。
合宿が終わったらすぐに次の山が待っているが、いつもリーダーだけに頼っている合宿からもう一歩進んだ合宿する為のトレーニングが全員必要だと思う。
行動は早く 孝K
2回目の冬合宿に行ってきました。当初の予定では阿弥陀岳南稜から阿弥陀岳を登った後に赤岳から文三郎を降り行者小屋に泊まり、3日目に地蔵尾根を登っ横岳から硫黄岳を縦走の予定だったが、−20℃近い低温のため凍傷のリスクもあり阿弥陀岳登頂後に御小屋尾根を下山。それでも天気は良くバリエーションルートを登れてよい山行だった。だだし個人的には反省点が多い。特にP3直下の登りでルート上にアイスの箇所があり、ルートが分からなかった。まさかアイスの箇所を登るとは思わずに、左を巻いたり、右を巻いたりを試してみてどちらも厳しいため、アイスの中央を登ることを選択できた。行動が遅いということは体力も消耗するし、寒さも厳しいので圧倒的に不利。即断即決で安全なルートを取るということがトップでは必須の能力。またこのルートに将来自分がリーダーで来られるかということを考えさせられるルートでした。
担当装備の装備割りは過不足無くできたのではないでしょうか?尾崎さんは新しい装備の工夫がありましたが、僕は例年どおりというのが反省なのかもしれません。春合宿は新しい装備など試して行きたい。
合宿自体は初日は船山十字路〜立場山〜あおなぎ泊。途中の渡渉中に沢が浅いため靴を不用意に水に付けてしまった。それが大失敗。瞬間的に水が凍り靴の裏にべったり付着して下駄のように。アイゼン装着まで気付かず不安定なまま歩行。極度に寒いところでは不用意に濡らさないことが大事。その後の立場山までは長いのぼり。延々と登り続けるイメージだが立場山を過ぎればあっという間にあおなぎ。樹林帯の中にテントを張り就寝。2日目は6時出発。冬のテントは朝から慌しい。南稜に向けての樹林帯から垣間見える阿弥陀岳はすごいの一言。稜線〜P3ガリーを通る。一箇所トラバースがあり怖いがガバがあり通過。その後はすぐに阿弥陀岳頂上に。頂上はのっぺりしている。その後は長い御小屋尾根を一気に下山。充実した二日間でした。
しもやけ 聖S
船山十字路で車を降りて、車を移動させるメンバーを登る準備をしながら待っている時、段々足の指が冷えていくのを感じながら、八ヶ岳に来たな。と実感しました。1日目の行程は、ひたすら青ナギのコルを目指して足を進めます。最初はアイゼンを着けずに登りますが、途中から、やはりアイゼンを履く事に。登りの途中で場所を確保して、アイゼンを履こうと思うのですが、あれ?何かが違う?板津さんに指摘され、靴の裏を見ると、見事に雪の塊が・・・・ここまで来る途中、沢を渡渉する際に、靴を水につけたのが原因でした。こんな靴底で、よくここまで転ばずに来れたなと感心しつつ。気をつけないと。と思いました。2日目はメイインベントの阿弥陀の南稜です。青ナギから樹林帯を抜けて稜線に出ると、右手に富士山が!!風も思ったより少なくお日様も出ていていい天気。と思っていましたが・・・山の天気は変わりやすい。南稜に近づくにつれ、段々風も強くなり、何より、寒い。上りきって、来た道を振り返った時には、雲に覆われていました。南稜での登りは、トレーニングで雪ありの3ルンゼを経験できたのと、南山でのアイゼントレーニングもとても身になって、2ピッチ目のアイス状態のところも、難なくクリアする事ができました。それよりも、私の前にいる、脇田さんをいかにフォロー出来るかが難題でした。
足が決まらない時には、ピッケルをさして、足場を固め、ザイルが絡まりそうになったら、声をかけ・・・3ルンゼのトレーニングで学んだ事を生かして、自分なりに、フォローをしたつもりでいますが、あの状況でどこまでが最適だったのか・・・もっと出来る事があったのかもしれない。と下山してから思いました。そして、一番、ビックリしたのが、南稜を登りきった所で、自分の鼻が紫になっていた事です。尾崎さんに気づいてもらえなかったらどうなっていたのか・・・と思うと、とても怖いと感じました。手や足の指は、寒さに対して、痛みを感じ、必死に、マッサージをしていましたが、鼻に関しては、何も感じていなかったというのが正直なところです。
最終的に、リーダーの判断で、2日目で行程終了。1泊2日組みと一緒に、御小屋尾根を下る事に。鈴鹿の鎌ヶ岳からの長石尾根を感じさせる、とても長い下りでした。駐車場に着く頃には、鼻の色も赤色に。ひたすらマッサージした甲斐がありました。しもやけ程度で終わってよかったです。
今回の合宿の反省点は、状況判断の悪さです。体調が悪い人への声掛けのタイミング。アイゼンの紐がゆるんでいるのに気がついた時の、相手に直させる場所・体勢の判断。自分に余裕がない為、相手を気遣う事に気が回らない。まだまだだと思い知らせれました。
食担としては、合宿に参加して初めての食担と言うことで、メンバーに頼りきりになってしまいました。軽量化をメインに考え、2日目の夜の食事を試行錯誤したのに結局披露出来ずに終わったのは残念でしたが、1日目の夜の鍋が思った以上に好評で、残さず食べてもらえたのは嬉しかったです。
寒さ対策が重要! 裕幸T
典型的な冬型気圧配置に加え、この冬一番の寒気の流入で、強風と寒さが予想された。日本海側では雪だが(同じ日に白馬にスキーに行った息子は雪だった模様)八ヶ岳では天候は悪くなく、二日目の朝は快晴に恵まれた。ただし、気温は氷点下20度近くまで下がり(富士山の正午の気温が氷点下26度)、稜線では風も強く、寒さ対策がポイントでした。冬合宿に向け、氷雪技術実技を受講し、寒さへの備えを考えてきましたが、折角持参したホッカイロ(靴下用、懐用)を使うのを忘れてしまった。冬山は登ることとともに、寒さ対策の重要性を痛感しました。今後の課題にしていきたいと思います。快晴の天気のもと、阿弥陀南稜を登り、無事下山することができ、3月に入会してからの1年をとても良い山行で締めることができました。皆様に感謝します。ありがとうございました。2014年も宜しくお願いします。
冬合宿に参加して・・ 征W
今回の冬合宿では、自分の不注意から右手小指が凍傷にかかってしまって、みなさまに大変な心配をおかけしてすみませんでした。また、体力面でも二日目にいつもよりも凄く辛くて先頭を歩く春日さんと板津さんにゆっくりと歩いてもらって、どうにかついて行くことができました。どうして、今回二日目にあんなにバテテしまったのか?いまだに自分でもわかりません。正直なところ、二日目で下山すると聞いた時にはホットしました。
技術面でも、まったく劣り、寒い中、何度もパーティの脚を止めてしまい待ってもらいました。特にアイゼンの紐が外れかかり、治すのに時間がかかってしまいました。
阿弥陀南陵の岩と氷と雪が混じりあった箇所では、初めての経験でどんなふうにして登っていけば良いのか先を行く先輩達を見ながら後ろの先輩達からもいろいろと教えて貰いながら、どうにかして登ることができました。アイゼンとピッケルの使い方も学ぶことができました。合宿トレーニングで3ルンゼへ行ったのが良かったと思います。トレーニングでの経験が生かされていると思いました。
阿弥陀岳へは登りましたが、自分で登ったのでは無く、パーティ全員の力で登らせて頂いたと思っています。今度は自分が体力と技術を習得して少なくとも自分のことは自分でできるようにして、みなさんに迷惑をかけないようにしたいと思います。
マイナス19℃を体感したことも、当然のこと初めての経験でした。阿弥陀岳山頂から見た景色は、とっても綺麗で今でも忘れることができません。周りの山々が真っ白でとても美しく、また登りたいと思いました。その山頂でみんなは手とか指を擦ったりして暖めていたのを横で眺めながら、自分は何も感じずにいました。今にして思えば、この時に何も感じることができなかったのは、自分で知らないうちに指を凍傷でやられていたのだと思います。下山後に温泉に入って指が少し痛くてジンジンするのを感じて指を見たら、小指の色が少し紫色になり、膨れていました。温泉に入って、初めて自分の指が凍傷にかかっていることに気が付きました。すごく自分の身体が鈍感だと思いました。鈍感だから、今度からは直接指を見て確認をしていかなければいけないと思っています。
冬の山はいろいろと大変なこともありますが、山岳会に入りいろんなことを学び行くことができると思いました。一人で登っている時は自分が真冬にアイゼンとピッケルを持ち、山の頂上に立つことは無いと思っていました。とっても素敵な経験をしたと思います。
半田ファミリー山の会に入会して丸一年が過ぎ、自分の足りない部分とか知らないことが多くあるということがわかってきました。もっと、みなさんから学び、そして経験することで知って行くことが自分の財産になって行くのとだと思います。
今年も貪欲に山に取り組んでいきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
右手小指は治りつつあります。早く治し、綺麗な雪山を見たいと思っています。
顛 末 洞井 孝雄
28日9時過ぎ、舟山十字路を出発する。天気は晴れ。ただし、気象予報では、これから低気圧が北に前線を押し上げ、二つ玉どころか四つ玉の低気圧が日本列島を縦断する。確実に裏日本は大荒れと出ているので、気分が重い。何より、寒いというよりは冷たいのが気にかかる。これまで三枚重ねの手袋のインナーをもう一枚重ねる用心をしてきたのに、動き始めるとすぐに、指先が痛み始めた。朝日小屋を経由して南陵にとりつく。雪はそれほど多くはない。ところが、尾根上に出るまでの急な登りがつるつる滑って登れない。小屋までのアプローチで二度ほど小さな流れを渡渉したが、そのときについた水が氷になって靴底にくっついている。ピッケルで叩いて落とし、アイゼンをつける。やっと普通に足を運ぶことができるようになった。
尾根上の樹下の雪道を登っていく。雲の流れで、時折、木漏れ日が射しこんでは、再び白っぽい空が覗く、その繰り返し。風はないが、日が陰ると途端に気温が下がってくる。いくつかの緩やかなアップダウンが急な登りになる。傾斜が急になると、それまでパーティーの後ろについて歩いていたのが、間が開く。あれ、こんなに遠かったかな、と思いながら登っていくと立場山のピークに着く。仲間たちが休憩している。両手の指先の感覚がなくなりかけている。山頂を出ると小さなナギを過ぎ、再び樹林の中を登り、やがて青ナギに出る。無雪期なら荒々しい崩壊した斜面が目に入るのだが、この日は雪で覆われた斜面が続いているだけだ。ナギを過ぎた樹林帯に入る。指の感覚は、手袋の中で指を握ったり開いたりしてもなかなか戻ってこない。鼻の頭も指でつまんでも感覚がない。どうやら凍りかけているらしい。しばらく進んだ道の脇に雪面を掘り拡げ、ならしてテントを張る。風はないが冷たさが耐え難い。内張りとシートを敷くためにテント内に入ったが、手が凍って、内張りの穴に留め具を通すことができない。やっとのことで設営を終え、ガスを焚き、お茶を沸かし、夕食の準備をする間に、なんとか鼻も手も感覚を取り戻すことができたのだが……
29日。5時起床。湯を沸かし、朝食をとって撤収。前夜は風もなく、テントの床が平らでない事を除けば、そこそこのコンディションで眠ることができた。テントをたたむ間も、この日の気温の低さが感じられる。指先はすでに出発前に感覚がない。
20分遅れで出発。樹林の中を歩きはじめる。緩やかな傾斜の登りが続く。稜線に出るまで、こんなに長かったかな、と思えるくらいの登りだ。稜線に出る。東側はずっと切れ落ちた斜面。踏み跡はずっと西側に付けられているので、風がまともに吹き付けてくる。樹林が切れると、諏訪方面の広がり、南アルプス、富士山、etc…そして正面に阿弥陀岳。快晴である。メンバーの口から歓声があがる。しかし、ようやく、朝陽が当たり始めるが暖かく感じられない。気温はマイナス19度。手袋の中で指先を抜いて素手で握り、感覚の無くなった指を温めるが、なかなか感覚が戻らない。ピッケルを持ち替えながらその繰り返しをしていると、カメラのシャッターを押すこともままならない。P3の手前で一ヶ所、東側に踏み跡のつけられた場所がある。「体を温めていこう」前に声をかけて休憩をとる。風がなく陽光を浴びているとぽかぽかと暖かい。気温があがっているわけではないのだけれど、風がいかに私たちの体温を奪い、行動を妨げるものであるかを実感できる。短い時間に手指の感覚を戻そうと一生懸命になるが、言うことを聞いてくれない。カメラを取り出して、一枚二枚、シャッターボタンを押すだけで精いっぱいである。やがて出発。
岩交じりの雪尾根を越えると、P3の手前の山腹をトラバースする踏み跡になる。古い残置のワイヤーが設置されている。
先頭の板津からメンバーの口伝えに言葉が送られてくる。
「先に登っていいですか?」
「いいよ、行ってくれ」
「ザイルはどうしますか? これならなしでも行けると思うんですが」
「念のため張ろう。もう一本担いで上げてくれ。途中でつなぐことになると思う」
メンバーの脇を通って登り口まで行く。ザイルをゼルプストに結んでいる板津に、
「途中で支点取ってくれ。そこからつないで上に伸ばす」
と伝えて送り出す。ザイルが伸びていく。後続のメンバーに、“合図があったら、順番に登ってくるように”と声をかけて、板津のところまで登る。中間地点までは、雪のつまり具合も、アイゼンの利き具合もそれほど悪くはないが、中間の部分から上は岩が出始め、少々足場の安定が悪くなる。支点を作って確保している板津からもう一本のザイルの末端を受け取って、ゼルプストに通そうとしたが手が言うことをきかない。やむなく、ザイルを直接腰に回してブーリンで結び、登り始める。中間の岩の部分を乗り越して右に斜上し、残置スリングにカラビナをかけて支点を取る。雑木と岩がところどころむき出しになった急な段差の左側を上がると、足下は氷になる。数歩で乗り越して、固く凍った雪面を右斜め上にトラバースし、カンバの木にスリングとカラビナで支点をとる。さらにその上にもう一本突き出しているカンバの木に末端を固定する。この時点で、両方の手の指にはほとんど感覚がなくなってしまっていて、ザイルをカンバの木に巻き、ブーリンで固定するのに手間取った。指先を雪面に叩き付け、手をこすり合わせながら、やっとのことで固定し、登ってこい、と合図する。その間に、腰のザイルを解き、ルンゼの終了点まで登っていけるルートを選ぶ。幸い、左手にブッシュと岩の上に雪が載って、アイゼンの利きも安定しているラインがあり、そのまま稜線にあがることができた。後ろのメンバーには登ってこいという合図は伝わっているはずだが、一向に姿が見えない。やっとのことで先頭が見えたが、あの氷の部分で詰まっている。固定したザイルにプルージックをかけているので、すぐに乗っ越せるはずなのに、一向に登ってこない。待っている間にも風はひっきりなしに吹き付け、寒い。
「おい、何やってるんだ。プルージックかけてるんだからテンションかけて登ってこい」
何度も大声で叫ぶが動きに進展がない。、先頭は一向に登れず、後ろに他のメンバーが詰まっている。自分の身体にも震えが出ている。下で確保しているメンバーも大変だろうと思う。やっとのことで先頭が上がり、後続のメンバーもあがってくる。岩田が上がって、ラストの板津を確保し、二人が終了点でザイルを巻いているのを確認して、メンバーがかたまっている稜線に上がった。指先の感覚がなくなったり、顔面の一部の色が変わったりしているメンバーもいる。総勢11人がこの時期にこの部分を登るのはさすがに時間がかかるが、かかりすぎ、である。最後の二人がザイルを回収して上がってきた。彼らも手の感覚がなくなっていることを訴える。
全員がそろったところでザイルを巻き、パーティーを立て直して、山頂に向かう。風は相変わらず冷たく、強い。それでも、足を運び続けるうち、前を歩いていくメンバーの足がとまった。山頂に出たのだ。天候は抜群、眺望も最高、だが、主体的条件は万全ではない。山頂の標識の周りで、「お疲れさま」を言い合い、その場で「これから全員、御小屋尾根を下山する」ことを伝えた。一泊二日のメンバーは当初から予定の行動だが、二泊三日のメンバーは、このまま赤岳まで足を延ばす計画だった。南陵の登りで時間がかかりすぎたことや寒気が厳しいこと、凍傷や凍傷予備軍のメンバーもいて、これ以上このコンディションの中で行動を続ければ、低体温症のおそれもないわけではない。凍傷などとは無縁、まだまだ動けるというメンバーもいただろうが、多分、続行すれば、少々やっかいな事態になりそうに思えたからだ。
山頂の東側の比較的風の当たらない部分で休憩した後、御小屋尾根を下り始めた。御小屋尾根は、南陵と平行に走っているなだらかな尾根だが、山頂付近では岩のピークを乗り越し、急な斜面を下って樹林の中にはいっていかねばならない。見通しが効いて、標識の位置もはっきりしていたので、問題なく下降に移ることが出来たが、ガスで視界がなかったり、積雪が多く、踏み跡も消されていたりすると、岩尾根を乗り越してから尾根をたどる方向を間違えやすい。いったん尾根に乗ってしまえば迷うこともなくひたすら下るだけである。下って来る途中で、何度か休憩を入れたが、樹林帯の中は、あの風の吹きつけ続ける稜線とは別天地である。暖かいな、陽だまりで気温を聞くと、マイナス10℃だという。風の有無、体感温度の違い、陽光のあるなし、そんなことが微妙に変化し、われわれの行動にも影響を与える。
長い長い下降を続けて、舟山十字路に戻って来た。昨日、舟山十字路から車二台を美濃戸口まで回送したときには、翌日、ここへ戻ってくるとは思っても見なかったのだったが、Bパーティーの車が一台残っていたのはケガの功名というべきか、美濃戸から車を回収し、その日のうちに帰って来たのだったが。
一晩経った30日、両手の指全部が、何かに触れるとビリビリと痺れて痛んだ。足先の指も、感覚がない。鼻の頭も一皮むけそうな気配である。
午前中、メンバー二人から電話があった。昨日、帰りに指先の症状を見、一人は指に水泡、もうひとりは指先がうっすらと紫色になっていたので、念のため、必ず医師の診断を受けるように、と言っておいたのだが、指示通り病院で診断を受け、その結果を報告してくれたのだった。比較的軽くて、血管拡張剤を服用して塗り薬で治療すれば済むようで安心したのだけれど、他のメンバーはなんともなかったのだろうか。
阿弥陀の南陵は登ったけれど、ここで出された課題は多い。これから、どうしますか?
【記録】
2013年12月28日(土)晴後曇り
08:30 舟山十字路着。車両二台美濃戸口へ回送
09:20 出発
10:25 旭小屋。休憩
10:40 発
10:55 アイゼン装着
11:05 発
11:45 樹林の中で休憩
11:55 発
13:27 立場山山頂
13:45 発
14:30 青ナギ上部の樹林帯でテント設営
20:00 就寝
12月29日(日)快晴
05:30 起床
06:50 発
07:30 稜線へ出る
08:20 休憩
08:35 発
09:05 P3取り付き
10:30 P3全員通過
11:05 阿弥陀岳山頂
11:20 下山開始
12:00 休憩
12:10 発
13:23 御小屋山ピーク
14:40 休憩
14:40 休憩
14:50 発
15:20 舟山十字路着
17:00 美濃戸口から車回収後発