中央アルプス 宝剣岳周(2,931m)春合宿トレーニング

山行期間:平成26年4月5日(土)曇り雪

山行目的:雪上行動トレーニング

メンバー:L=洞井孝雄 他 3名


 

2014.4.5 春合宿トレーニング 浄土乗越で

                          洞井孝雄

 名二環から中央道へ抜ける道の両側に植えられた桜は満開。明け染めようとする空の下を駒ヶ根方面へ走る。恵那山トンネルを抜けると、朝の光がまぶしい。前方には青空が広がり風もないおだやかな景色が拡がっているが、中央アルプスの山並みだけ上三分の一が雲の中だ。千畳敷ロープウエイが動くか、積雪状況はどうかが気になる。このままドライブで終わってしまうことだってある。

 幸い、昨日舞ったという雪は解けてしまい、ロープウエイが止まるほどの風もないらしい。  

菅の台では朝日が射していたのに、バスがしらび平に近づくにつれて雲が広がり、ロープウエイからの眺望も閉ざされてしまった。

千畳敷の気温はマイナス9℃、積雪3m90cm。外に出てアイゼンをつける。風はないが視界が悪く、ときおり稜線と空の境がうっすらと判別できる程度だ。一瞬、浄土乗越の少し下部の斜面を登る二人パーティーの姿が見えた。

「とにかく、動いてみよう」

 千畳敷きカールに下りて、雪面とガスの区別のつかない真っ白な中を歩きだす。前日の積雪はそれほどでもないが、視界がほとんどないので、足元のうっすらとした踏み跡をたどっていくしかない。少しは足が沈むが、雪は締まっている。新しい雪とその下の雪面とのなじみもいい感じだ。雪崩る感じではないが、ゆっくりでも、できるだけ止まらずに登高を続ける。八丁坂の登りをしばらく喘ぐと、気温が上がったのか、アイゼンがダンゴになりはじめる。左右の雪壁をやり過ごして、足を止める。後ろから登ってきた単独の登山者に道を空ける。バス亭で一緒だった頭から足先まで象印の新品の登山ウェアの彼だ。

しばらく登って息を整える。後ろについた男女二人のパーティーに先を譲って、その後を登っていく。左右に岩の尾根が迫ってくると、落ちる雪の脅威はなくなってほっとするが、反対に凍った雪面が傾斜を増し、雪面に食い込むピッケルとツァッケだけが頼りになる。上を見上げると、道を譲った一人、さらにその後の二人パーティーともに、斜面にへばりつくようにしてしゃがみこみ、四つん這いになって、なかなか前に進んでいかない。一人はやっとのことで通過、二人パーティーにはすぐに追いついてしまう。仕方がないので「立ちあがって、アイゼンの爪全体を雪面に置くようにして歩いて。じゃないと滑っても次の動作ができないよ」と、余計なことを言ってしまった。登り切ると傾斜が緩くなって稜線に出る。浄土乗越である。伊那前岳か、宝剣岳か、それとも駒ケ岳か、とも考えたが、視界がほとんど効かないので、そのまま下山することにした。先ほどの二人が登り切ったところに立っている。

「これから、どこへ行く予定ですか?」

「宝剣へ…」という返事。

聞いた途端、「やめた方がいい。ロープもないでしょう? あの登り方では…、もし下るんだったら、ここで確保するからよければロープ使ってください」

彼女へのメンツがあるかもしれないが、ここは命あってのモノだねである。そう思ったのだけれど、返事をしただけで、かたくなにロープを使おうとはしなかった。

 雪面から頭を出している目玉ボルトにロープをセットして、Oに先に下りてもらい、続けてW、Kにプルージックで下らせる。下から三人パーティーが登ってきて、先ほどの四ツん這い地点で立ち止まっている、何か様子がおかしい。ピッケルを持っていないのに気がついた。ストックすらない。しかもアイゼンは4本爪の滑り止めである。

「ピッケルないの?それじゃあ、これ以上登るのはやめた方がいい」こちらの方が慌てて声をかける。この調子では下りが心配である。

セットしたロープの末端にもう一本ロープをつないでダブルにし、「ロープ使いますか?」と声をかけたが、返ってきたのは、「ゆっくり行きますから大丈夫です」という言葉だった。ゆっくりだったら大丈夫、じゃないんだ、つるっとやったらそれで終わりなんだけどなあ、そう思いながら仲間のところに下った。

コンティニュアスでの確保を練習しながら千畳敷まで下った。真っ白で見通しの利かないカールから、千畳敷山荘までの間は、時折風が吹いて冷たかった。

山荘内に入ると、ちょうど11時台のゴンドラが出たあとだった。身体を温めながら時間待ち。パッキングを済ませ、氷の貼りついたゴンドラに乗る頃には雪が舞い始め、しらび平に着いた頃には本格的な降りになっていた。

雪の感覚を取り戻すトレーニングとなった。

 

知らないのは恐ろしい       孝K

雪上行動トレーニングで宝剣岳に。曇りで視界が悪く、稜線まではでられたが、ここで撤退。印象に残ったのは稜線までの急登を軽アイゼン、ピッケル、ストックなしで登っているパーティーがいたこと。千畳敷の駅で見かけたが散策だと思っていたがまさか宝剣岳を目指していたとは。知らないとは恐ろしいと思った。目的の雪上訓練ではザイルを手伝ったがいまいち。次の動きが予想できずやることなすことが後手にまわる。いつになったら信頼されるパートナーになれることやら。もっとしっかりリーダーの動きを見て先手で動けるパートナーを目指したい。

 

予報が外れてOK         三O

前日の天気予報で、かなり冬型の気圧配置 標高3000mで気温-6度風速20m/sと言う予報

 正直、前日は木曽駒バス停まで行ってもロープウェイは動かないのでは???最悪は翌日の登山学校を控えて4人して降りられないなんてことになったら・・・それはそれで面白いですが(^^)

 いざ行ってみると、さほど風も無く順調にバス+ロープウェイで千畳敷へ

 ガスで視界は悪かったですが雪質は良好! いざ乗越浄土へ 夏の九十九折も冬は直登で登る、約1時間で乗超浄土を上り切った処で一息いれて下山開始

 ロープで確保して初めの1ピッチ、そこからはコンテで下山安全な地点まで降りた処でコンテの応用をトレーニングしました。先頭が滑落したと想定して突然、走り出すそれを手に持ったザイルとピッケルで確保“走っては転び又走っては転ぶ“の繰り返しで、傍から見ると変な連中でしたが、なかなか出来ないトレーニングに満足しました。

 帰りの明治亭のソースカツ丼、美味しかったです。

 

真っ白な浄土乗越(宝剣岳)   征季

 春合宿のトレーニングに参加させて頂きました。たぶん、今シーズン雪山に登ることが最後になると思い、気合を入れて行ってきました。

 天気予報によると、山はかなり風が強いけど、晴の予想でした。阿久比を出発する時はとっても良いお天気で、途中もいいお天気で桜を見ながら行くことができました。菅の台バスターミナルも少し風が強い感じでしたが晴れていました。

ところが、バスに乗りロープウエイを乗り継いで千畳敷駅に降りついた時は曇りっていうか真っ白で前が少ししか見えませんでした。準備をして出発ですが、準備に手間取ってパーティを待たせてしまって失敗でした。もっと手際よくできないとこの遅れがとんでもないことになっていくのだと教えて頂きました。

 出発して一歩ずつ一歩ずつ、アイゼンを効かせながら登って行きました。とってもアイゼンが効いて登り易かったです。上の方はガリガリになっていて、とても滑りやすい状態でした。先に前を登っている人を見ると、手を付きながら登っていました。そんな大変な所に来てしまったのだ思いました。でも、実際にアイスバーンになっている斜面に来ましたが、アイゼンを効かせてピッケルを刺して行けば手を付くこともなく登ことができました。いろんなことをいろんな人に教えて頂いたからだと思い感謝しています。

 浄土乗越に上がって、周りは真っ白で記録写真を撮って、すぐに下山しました。

 下山する時はザイルを張って頂き、プルージックで降りて来ました。安全な所まで下山してから雪山ならでしかできないトレーニングをしました。雪山で走っては転んでまた、走って転んでと制動のトレーニングをしてきました。初めての経験でしたので、とっても勉強になりました。ザイルの扱い方も教えて頂きとっても良い勉強になって、濃い山行でした。

 

<記録>


4:40 知多信用金庫 出発

7:05 菅の台バス乗り場 肌寒い

8:15 始発バス

9:05 ロープウエイしらび平駅

9:12 ロープウエイ千畳敷駅

9:30 出発

10:35浄土乗越 風が強くホワイトアウト状態

10:40 下山開始 プルージック

11:20〜40 コンティニュアスで確保を練習

11:50 千畳敷駅 下山 (記録:征W)