2014.7.12〜13 曇り時々晴れ〜雨時々曇り
登山学校実技/前尾根からツメカリ谷へ
日時 7月12日(土)、13日(日)
天気 12日晴、13日曇り雨
【メンバー】
コーチ 洞井孝雄 スタッフ 孝俊K
研修生 三郎O 受講生 孝枝T 厚子N 征季W
【記録】
12日5:30 アイプラザ 出発
7:00 裏道登山口
7:10 各パーティごとに出発
8:00 P7から登攀開始
15:00 藤内小屋集合
15:40 裏道登山口着
13日5:15 起床
7:20 テン場出発
9:05 愛知川出合
終日ツメカリ谷
15:30朝明駐車場着
岩から沢へ
厚子N
いつものことながら前日から緊張して眠れなく今回は登攀具、テン泊装備に食料、沢登
りの装備・・・いつものザック+手提げにいれた大荷物に相変わらずパッキングが上手くならず、なんとかなる・・で家を出た。熱い日差しが照りつける前尾根、今回、目の前に滑落してきた者から仲間が転がり私の方へ。セルフビレイをとる直前の出来事であと少しで崖に落ちそうなところで止めていただきケガなくホッとしたが脚は震えていた。
深呼吸してわたしには数多い難所を時間掛かりながら、また、支えていただきながらP7〜P3へ上がった感じ。相変わらず進歩していない・・。
朝明駐車場へ移動し鳩峰まで重いザックを背負って上がるのは今回初めてキツい・・ツライ・・と感じた。
楽しかった夕食から暑いテン泊。初めての沢登り。ヒンヤリとした水に入ったりぬめった岩を登ったり、崖っぷちを歩いたりヒヤヒヤの連続もあった。一番楽しかったのは滝の下を歩いたこと。しばらくここにいたいなぁと思った。
遡行図が読めず前に着いて行くという反省多い初沢登りでしたが、皆さんと無事に下りてこられて良かった。
ありがとうございました
足りてないな・・・
孝枝T
今回は、最初の頃に比べれば恐怖心が取り除かれてきて、岩に貼りついて全く動けなくなる時間は少なくなりました。
しかし、つくづく自分の体力の無さを実感したのと、もっと平日に練習できたことがいっぱいあったのにと後悔しました。
懸垂下降のセットも自分で覚えたと思っていただけで、しばらく時間があけば、抜けていた事ばかりでした。反復練習より、自分の予定ばかりに時間を使っていました。
私の勤務している会社に「鬼十訓」なる毎朝読み上げる十訓があったのですが、その、第7訓がふつふつと思い起こされました。
「弁解をするな、できない理由をいうのではなく、どうしたら解決できるかを追求し、計画を持って実行せよ。
そうすればおのずと道は開かれる。」
登山学校の実技もあと少しになりましたが、自分があと何ができるのかを「計画を持って実行」したいと思います。
翌日の沢は今まで体験したことの無い道をどんどん進んで行けて、とても新鮮で楽しい経験でした。沢も山道も、しっかり歩けるようになりたいです。
サポート
孝俊K
コーチ人数が足りないため前尾根はキャンセルし、ツメカリ谷から参加のため朝明渓谷で待つ。16:30くらいに続々受講生が集まってくる。受講生のSさんが顔に絆創膏。聞けばP7でリードが落ちてきて足が当たってケガをしたとのこと。大事なく一安心。今年のツメカリ谷は直前に通過した台風の影響か去年より水量がかなり多い。去年と違って滝を巻くことが多くどんどん登る。所々でコーチたちがお助け紐やザイルをフィックスしてサポート。沢は確保のしっかりした技術がないと足を踏み入れてはいけない。その分素晴らしい景色が広がっているのは間違い無いが。
油断大敵
三郎O
この日も前尾根はいつも通りの混雑振り。コーチの判断で「P7は巻いて行こう!」と決め20m程巻き道を登った時のこと、ドス〜ンと大きな音が・・・もしや登山学校の関係者かと、P7取り付き点まで引き返すと、アプローチシューズ姿の見た目は経験豊富そうな男性が「大丈夫 大丈夫」と仕切りに言ってました どうやら1ピン目をとる前に墜ちてグランドした様子。 クライミングシューズにも履き替えずにいた処からもかなり経験が有り、自信もあったのでしょうが、こうなってしまうと逆にカッコ悪いものです おまけに、墜ちた時に受講生の顔に接触したようで、また、受講生から負傷者が出てしまいました。 クライミングの時には「前を行く人が落ちるかも知れない」と危険予知することもお忘れなく
先ずは落ちない事が大切です。
一泊二日の登山学校
征季W
岩と沢との連続の登山学校です。準備をしながら、きっとハードなトレーニングになると思っていました。共同装備でジャンボテントを担ぎ上げなければいけないです。久しぶりに担ぐ大きなザックと重量。加えて、一日目の岩の疲れと暑さでハト峰に着く直前で私の脚はパンクしてしまいました。吊ってしまったのです。会に入ったばかりの頃はたびたび吊っていましたが、最近では吊らなくなっていましたが、ここで普段のトレーニング不足なのか?重たいザックを担ぎ慣れてなかったのか?登山学校も終わりだというのにみっともないところを曝け出してしまいました。反省しきりでした。
でも、沢ってとっても気持ちの良いことだと知ることができました。
また、行ってみたいと思います。
洞 井 孝 雄
県連登山学校7月最後の実技が実施された。土曜・日曜の二日間で、一日目は岩登り、二日目は沢登りをすることになっている。山域は恒例の前尾根とツメカリ谷、ただし、ここ二、三年と違うところは、県連の朝明ロッジが使えないので、一日目の岩登りが終了したところで、朝明からハト峰峠へ登って幕営をする計画が入ったことだ。先の愛知川遡行の際に板倉くんと打ち合わせた結果である。
7月12日。鈴鹿スカイラインのトンネルを越えたⓟにかろうじて車を止め、裏道の入り口に向かう。集合時間の30分前だというのに、受講生たちの多くが集まっている。このときは晴れ。暑い一日になりそうだな、と覚悟を決めた。日焼け止めを塗り、サングラスを出し…パーティー分けがなされて、三々五々、藤内沢出合を目指す。しばらく前から左足の膝が壊れている。おまけに前の週は全国の会議、その前は救助訓練、その前は確保技術、でまともに山歩きをしていない。今回の実技は厳しい二日間になりそうだ。
藤内小屋を過ぎ、テスト岩の前にはなんとか二番目に着いた。前尾根のP7の基部には、すでに1パーティーが取り付き、もう1パーティーが準備をしている。私の前の県連のパーティーはP7を巻いて上から登るらしい。いくらなんでもひと月ほど前のような込みようはないだろう、と順番を待つことにする。ようやく最初に取り付いていたパーティーが上に上がり、私の前のパーティーの番である。初老の少し太り気味の男性と、若い女性だが、私たちが準備をしていても、靴紐を絞め直したり、グズグズしている。トップの男性が登り始めた。セカンドの女性は確保の形だけはとっているが…と、突然、周囲から声が上がって、取り付いていた男性が降ってきた。どこで一回転したのだろうか、俯いた状態で、登山学校のパーティーが待っているとろに落ちた。本人は「大丈夫、大丈夫」と言っているが、彼の足がこちらのメンバーに当たって目の上を切り、突き指をしたらしいので大丈夫ではないのだが、一緒にいる女性はロクに声も出さないし、挨拶もない。
結局、後ろに下がらせて、今度は私が登ることになった。目の前でひとが落ちたのを見た後で、同じところを登るのは嫌なものだが、後ろで順番待ちをしている登山学校のパーティーの手前、何もなかったような顔で登っていくのが、あの墜落の動揺を取り除くのには一番だろう。そう思って登り始めると、その前の学生(らしい)のパーティーが立ち木から上の所でぜんぜん動いていないじゃないか、おい。立ち木の下でピッチを切って、学生のセカンドが登るのを待つ。これがまた登れないのだ。仕方がないので、どこに足を置け、手をかけろ、と指示して登らせるはめになる。
続けてロープを伸ばすと、今度はこの学生パーティーのトップが終了点のコルの道幅いっぱいにロープや装備を店開きし、支点となる立ち木なども近寄れない状態である。私が登っていっても、道を開けようともしない。仕方がないので、数歩下って、立ち木の根を使ってセルフビレイをとった。セカンドを確保していると、かの学生たちがやっとザイルを巻いて先に進もうとしている。それがなんと、自分のザックにこちらのロープを引っかけたまま進んでいこうとしているのだ。慌てて「ロープ、ひっかかってるぞ」と声をかけたのだが、詫びの一言もなく登っていこうとするので、
「君たちさ、道いっぱいに装備広げて、よけようともしなかったし、それはないんじゃないか」と一言。返事もしなかったので「返事は?」と思わず言ってしまった。
向こうも思わず「はい」と答えたのだが、沽券にかかわるとでも思ったのか、こちらを睨みつけている。そうか、きゃつらは登山学校の受講生じゃなかったんだ。
彼らが上がって行って、やっとこちらのFとIを確保することができるようになった。ただし、これから先、P6、P5、P4、P3まで、彼らの遅いペースに順番待ちを余儀なくされることになる。P7の終了点に彼らが確保で使用したカラビナとシュリンゲが忘れてあったので、回収して持っていってやったのだが、「急いでいたので…」という言葉が返って来ただけ。理由なんか聞いてない。礼も挨拶もできないこいつらはいったい…。
P6あたりから空に雲が広がり始め、陽が翳りはじめた。台風の影響をまだ少し孕んだような感じの風が時折吹き抜けてさわやかである。おー、涼しい。
P2まで登って、ザイルを巻き、前壁ルンゼを下るのはやめて、頂上部に抜けることにした。P2の先へ行くのは、Fは大昔に通った、Iは初めてだ、という。吹きわたる風の涼しさを味わいながら裏道に合流すると、また、暑さが襲ってきた。
藤内小屋でいったんパーティー全員が合流し、簡単なミーティングのあと下山。
再び、朝明ヒュッテ前のⓟで合流。共同装備の仕分け、パッキング。テント・パーティーに分かれ、それぞれにハト峰を目指す。時間は17時近く、まだ日は落ちていないが、先を急ごう。林道コースで県境稜線の登山道まで登る。どん、と荷物が増えたせいだろうか、メンバーのペースが落ちたが、明るいうちにハト峰峠着。幕営。夕食。
7月13日。明け方、雨がテントをたたく音で目が覚めた。起床時には雨の痕跡もあまり感じられなくなっていたが、愛知川本流やツメカリ谷の増水が少し心配である。それでも、朝食、テント撤収、沢登に必要な装備以外はフライシートでくるんでデポし、出発。
前日のうちにハト峰まで登って来たおかげで、白滝谷出合への分岐はすぐ近く。愛知川本流へ向かって下降を続けること1時間。白滝谷のナメを渡渉し、残骸となった伐採小屋を過ぎると、まもなく出合である。
愛知川本流の水量は、通常よりは少し多いが、この分ならツメカリも大丈夫だろう、と判断する。「昨日は人が降って来たし、今日は雨。こんな日は要注意だ、みんな、頼むぜ」とA.C.連中に声をかけて出発する。
ロープを張って本流を渡渉、左岸沿いの藪の中を通って途中から沢筋を下降、ツメカリ谷出合に出る。水嵩は増えているが、いつぞや登った台風の翌日ほどの水流はない。遡行開始。渓相は変わっていないけれど、普段流れていない部分や支沢から水が落ちているので、遡行図で現在地を特定しようとしてもななかなか分かりづらい。
核心部の釜と滝の部分は左岸の壁を巻いた。しばらく前から降り始めた雨がいっそう激しくなった。巻き道の登りで、受講生がランニングの掛け替えに手間取っている。この辺りは一分一秒でも早く抜けたいところだが、そういうこちらの思いは伝わらない。寒い! やっとのことで全員が滝の上に上がる。先へ進む。大きな釜やナメが続くが、この日はお楽しみは省略して先を急ぐ。雨脚は弱くなってやがて上がった。なんのことはない、核心部の通過時に雨脚の一番激しい時間とが重なったらしい。裏見の滝を過ぎて、源流部に近くなったところで、白滝谷沿いの道への分岐を右にとる。急な尾根を直登し、尾根上の踏み跡をたどること30分ほどで白滝谷の登山道と合流する。この間に陽光が当たり出した。天候は回復の兆し。
ハト峰へ戻り、デポした荷物を回収して、猫谷道を下降、朝明に戻ってきた。
諸事情から今回の実技のコーチの参加は、12日は私と岩田くん、13日は私だけになってしまった。あとはアシスタント・コーチの活躍に負うところの大きな実技であった。