冬合宿トレーニング@
鈴鹿山系 御在所岳(1212M)
日時 11月16日(日) 天候 曇り時々晴れ
目的:2014年冬合宿トレーニング@ アイゼン歩行 ロープワーク
メンバー
L:洞井 孝雄 SL:孝俊K 会計:良子I 記録:洋介S 車:裕幸T
医療:三郎O
スケジュール
6:20 裏道登山口 外が明るくなった所で車から出る。準備し登山口へ向かう。
6:53 藤内小屋 休憩 小屋付の犬が尻尾を振り歓迎。
7:29 P7取付き 準備 一番のり、静かな準備。
7:40 クライミング開始 洞井Lより岩登りが目的ではない、安全で迅速で確実な行動をすることが目的、気配り・目配り・手配りを心がけると訓示を受ける。
OさんPが先に登る。続いて洞井さんP。岩が冷えて指が冷たい。
9:30 P7、3ルンゼ向かう
肩痛者あり、P6で引き返す。懸垂下降にて下り、P7まで戻る。3ルンゼ入口から少し登り平地でアイゼンをはく。ザイルを出し、コル手前まで3ピッチ、交代でビレイヤーを確保する練習を行う。コルをダブルにて通過する。
11:20 コル過ぎのザレ場を登り休憩
11:46 ノコギリ岩横 休憩 つららがあり、冷えたことを実感
12:06 アイゼン外す 朝陽台 休憩
12:16 本谷へ下る
13:06 休憩
14:00 御在所山の家
14:16 駐車場
(記録:洋介S)
いよいよトレ開始
三郎O
冬合宿のトレーニングが始まりました、今年の参加人数は8名+1名。
1名は私のことです。仕事の都合で合宿には参加出来ませんが、トレーニングだけでも一緒にやりたくて参加させて貰っています。今回のトレーニングは前尾根(P7・P6)→3ルンゼ→朝陽台→本谷にて下山と言う まるで御在所オードブルのようなルートで楽しませてもらいました。3ルンゼではロープワークの実習で「リード」「末端」「確保」色々な立場でやれた事で、全体として“今、誰が何をしている“って言う感覚が、深まったと思います プルージックで通過するだけでは無く危険箇所でザイルを通すスキルが身に付けば有難いです。
機会があれば何度も繰り返してトレーニングしたいと思います。
それから、なんと言っても今年初のアイゼンでしょうか! ガリガリと音を立てながら3ルンゼを登って来ましたが流石に朝陽台の寸前でアイゼンは外しました。 これは大正解 ロープウェイで登って来られた方が大勢いて、ヘルメット・ハーネスだけでもかなり浮いていましたから、アイゼンは外して良かったです。
冬山に向けて
裕幸T
アルプスは紅葉も終わり、冬化粧を始めています。賑やかな夏山もいいですが、静かな冬山もまたいいものです。山が衣替えするように我々も山に合わせて衣替えが必要です。まずは足元から、冬靴にアイゼンを引っ張り出して、慣れるためのトレーニングに御在所に行って来ました。夏のように軽快に動けませんが、思ったよりかは普通に歩け、まずは一安心です。雪山シーズンです。しっかり準備をして、寒いですが、みんなで冬山を楽しみましょう。
イテテ
良子I
私の体、ずいぶん弛んでいたようで、本谷を下る途中から、すでに筋肉痛を感じ始めていました。翌日には太ももだけでなく、腕も、背中も。これをトレーニングの1回目だから、ヨシとするのか、はたまた、こんなことでドースルとするのか。ここはひとつ、自分に甘く、「これからガンバロー!」ということにしよう。いきなり、冬靴にアイゼンにロープワーク。盛り沢山でしたが、一気に冬が来たと実感できました。次を考えての素早い行動を心掛けましたが、なんせ、下りでは相変わらず、歩みのノロさが人並みでなく、皆に付いていけません。私のせいで皆が寒さに震えるということのないようにしなくては。皆さんにいろいろな意味の痛みを与えてしまうことのないよう、痛みは私のごく微量の筋肉だけに留まるよう、頑張ります。皆様、よろしくお願いいたします。
しっかり学びたい
洋介S
冬合宿への参加に手をあげました。会に入り3度目となります。第一回目の打合せでは、冬合宿に参加する目的、今後の目標を話会いました。自分としては、これまで無事安全に山登りができていましたが、ただ運が良かっただけで、進退きわまる状況に陥った時にどう判断するのか、そもそもそうならないようにどうすべきなのか、リスクを減らすにはどうしておくべきなのかという思いがあり、厳しい冬合宿を経験し状況認識力・判断力を学びたいこと、リスクを減らす意味でザイルワークを学びたいことを述べました。
第一回目のトレーニングは前尾根・3ルンゼ・本谷となりました。アイゼン・冬靴を背負って前尾根とは最初から厳しい。クライミングも久しぶりで前日にロープワークを家で予習していきました。家と本番では状況が違い、確保器の装着にドタバタし、P6からの懸垂下降ではプルージックのかけ方を間違い、本質的なところでの思考と行動が不足しているなと実感しました。3ルンゼではアイゼンとロープワークのトレーニングです。初めてフォロワーの確保を行いましたが、いきなり言われてじたばたしました。ここでもそもそもの所が分からないと的確は行動ができないと反省をしました。
今後トレーニングは定例山行を含め6回予定されています。この機会に学べることは学びたいと思います。
皆様よろしくお願いします。
P7、P6、3ルンゼから本谷
洞 井 孝 雄
11月16日、冬合宿のトレーニングで御在所岳に登った。前尾根(状況によっては3ルンゼ)を上がって本谷を下るという計画で、メンバーは良子I、三郎O、洋介S、裕幸T、孝俊K、それに私の6人。
前日は新入会の仲間たちと竜ヶ岳に登って、稜線の風の強さと下山してからの寒さで、この日も、と覚悟をして出かけたのだが、何しろこの時期の午前5時の集合・出発というのはまだ真暗で、どんな朝が待っているのか、なかなか想像しにくい。
スカイライン沿いの裏道の入り口脇の駐車場に車を止める。「もう少し明るくなってから動こうよ」10分ほど、車の中で逡巡していた(これは私だけだったのかも知れない)のだが、ここでじっとしていては5時出発という計画を立てた意味がない。思い切って(これも!)外に出て出発準備。6時半出発。
裏道を歩き始めるころには、曇りになった。風もなく、ゆっくりと歩を進めるにつれて、じっとりと汗ばんでくる。
藤内小屋で一息入れ、藤内の出合からテスト岩の脇まで登って、準備をしながら、
「登攀パーティーは、予定通り、洞井−I−S、K−T−O、こちらはKくんが四十肩だそうだから、Oさん、Tさんでリードは決めてもらったいいかな。ただ、言っとくけど、今日は、岩登りに来たんじゃないからな。前尾根を登って本谷を下る、というルートの中に岩登りのスキルの必要な部分がある、ということだと考えろ。登り方がどうのとか、格好がどうのとか、というより、少しでも早く、安全、確実に抜けることだぞ。本谷も含めてひとつのルートをやる、ということだからな」
と仲間に伝える。
言わずもがなのことなのだけれど、岩登りだけに目が行ってしまうと、トレーニングの目的を見失う。天候がいまいちなので、P6までとりあえず登って、それから続行するか、3ルンゼを登るか、判断しよう、とも伝えた。
準備の済んだOのパーティーが動き出した。私のパーティーはもたついている。P7の下部に行くと、彼らはザイルをつけて今にも登り出そうとしている。Oが「行きます」とメンバーに声をかけている。これはこれで岩登りに来たのであれば問題はないのだけれど、ちょっと違うのだ、今日の場合は。多分、自分たちが「登る」ことだけでいっぱいいっぱい、他のことを考えている余裕がないのだろう。
「ちょっと待て。確認もしないで黙って勝手に登り始めるってのはダメだぜ。今日は6人のパーティーで来て、たまたま君らが登攀パーティーを組んだだけのことなんだから。全体がどう動くか見ないと…」
出鼻をくじかれたような表情で、みんなの顔がこちらを向く。
「いいですか? 登っても」と、遅まきながら声がかかる。先に出ても全然かまわないのだけれど、この一言の確認ができるのとできないのとでは、「パーティーとしての行動」ではなくなってしまう。
P7を登り、P6の取り付きに着くと、先行したOのパーティーはすでに登り始めていて、Kが今、登り出そうとしている。突然、眼の前で、声が聞こえて、Kが数十センチずり落ちた。腕を伸ばした途端に激痛だったとのこと。「大丈夫か?」と声をかけた時点でもう私の腹は決まっていた。登ることはできても、ズリズリやられたんでは心臓に悪い。
「もう、降りるぞ。Oくんにも言ってくれ」と伝え、少々、心配だったので、最初の確保支点までは、すぐ後ろについて登った。P6の終了点で確保するOに「ここで巻くぞ」と伝え、アプザイレンの準備をしてもらう。同じザイルを使わせてもらうことにして、後続のメンバーを確保する。
メンバーが終了点まで登り切ったところで、P6をアプザイレンで下降。先に下ったOたちは、すでにクライミング・シューズを冬靴に履き替えている。
全員がP6の下部まで懸垂で降り切って、一緒にP7の下部までくると、アイゼンをつけての登攀練習に来ていたパーティーが取りつきに溜まって順番待ちをしている。先ほどまではまったく人のいなかった前尾根だが、これから混雑することになるのだろう。巻き道から下って来た私たちに何かあったと思ったのだろうか、彼らの視線が一斉にこちらに向けられてくる。会釈をして通り過ぎ、テスト岩の脇から一壁ルンゼに入ってすぐの左岸につけられた3ルンゼに入る。
先ほどまで泣きそうだった天気が次第に回復して、時折、青空が広がり、暖かい陽光が射してくるようになった。まるで、私たちが前尾根から離れるのを待っていたかのような天気の変化である。
アイゼンをつけてスタート。洞井−I−K−T−Oのオーダーで歩き出す。
ロープを伸ばしてマイナス滝の手前まで3ピッチ。出さなくても問題なさそうだが、今日は、どこにどう張るか、どう確保するかの練習でもある。私が最初の2ピッチ、ロープを伸ばした。2ピッチ目のラストのOをSに確保してもらう。全員がそろったところで、今度は最後尾のOから順に滝の手前のコルまでロープを伸ばしてもらい、最後尾になった私をIに確保してもらう。このピッチでは一か所ランニングをとってあったが、谷側の枝ではちょっとまずい。O本人も気が付いたようだ。こういう経験が次に生きると思う。
コルから滝の下までは立ち木にロープを巻いてゴボウ(抜きのように掴んで)で下降。滝の下をトラバースして、今度は私が草付の長いルンゼを登って、後続のメンバーが上がって来たところで、最後尾をTに確保してもらう。
ヤグラのコルからのルートと出合う地点から沢筋に入る。一息入れて、ガリガリとアイゼンで岩の上を擦りながら登っていく。次第に足が重くなってくる頃、終了点のノコギリ岩の下部に着く。上の方に少しだけ氷が見える。もう少ししたら、ここも全部が氷で覆われることになるのだな、などと思いながら一休み。朝暘台へ向かう途中でアイゼンを外した。
秋の終わり、こんな天気のいい日には、みんな誘われて出てくるのだろうか、朝暘台周辺には、カップル、家族連れ、仲良しグループ、登山者よりはロープウエイで上がって来た観光客がいっぱいである。若い女性の姿も多い。ヘルメットにハーネス、大きなザックの私たちの方が場違いな感じがする。周辺の見晴らしもよくなり、風も微風となれば、最高の山頂の休日になったかもしれない。
本谷を下る。ロープウエイから手を振る子どもたちに手を振り返しながら急下降を続け、本谷の沢筋に入る。岩を飛び、樹林と岩の境目をササにつかまりながら下っていく。
何人か、登山者が登ってくる。時計を見ると、正午を少し回ったばかりのところである。そうか、まだ、こんな時間か。そう思いながら、長い下降を続ける。後続のメンバーも危なげなく下ってくる。結構緊張を強いられる下降だが、それほど速くはないが、遅い速度でもない。
ようやく、岩の累々と折り重なった急傾斜の谷も、少し幅が狭まって、左岸沿いに下り始めるようになる。落ち葉で埋まった細い踏み跡は滑りやすいし、見失いやすい。むしろ、岩を飛んで降りるよりも神経を使う。少し踏み跡を見失うと、踏み跡に戻るのがやっかいなところだ。長い下りに倦み、足にも負担を感じ出し始めた頃、御在所山の家に着いた。14時ちょうど。ここから、裏道の入り口までスカイラインを下っていかなければならない。道の両脇には、駐車場からあふれた車がずらりと並んで、いる。車に着いたのは14時20分。6時半から8時間弱の行動。やれやれ、である。
帰りの車のなかで、「まあ、P6で巻いたのは仕方がなかったな。今日は、5時に出たんで、誰もいない前尾根のP7,P6で遊んで、三ルンゼから本谷のトレーニングをやった、ということだな。早起きは2ピッチの得、だったな」などと、言い合って笑った。