後立山 白馬岳(2932m)


 

<日程>

2015年5月16日(土)〜17日(日)

<山行目的>

春山バリエーション

<ルート>

猿倉〜白馬尻〜主稜〜白馬岳〜大雪渓〜猿倉

<メンバー>

L:新海 時生 食担:裕幸T 記録・会計:良子I 他会員外1名

<記録>

5月16日(土)

8:10 津島発 今日は猿倉から白馬尻までの約1時間の行程ということで、ゆっくり出発。天気予報は、今日は午後には雨が止み、明日は晴れ。最高の天気予報だ。そして実際、その通りになった。安曇野、大町と車を進めても、車中から見える山は緑一色。白くない。夏山に来たのか、と錯覚するほどだった。ようやく、白馬に近づくと白い山が見えてきた。

12:25 猿倉P着 車は10台くらいか。雪があってホッとする。

12:50 登山口発 雨も止み、青空がのぞく。

13:35 林道途中で休憩。暑い。

13:40 発

14: 10 白馬尻着 テント設営。2〜3張りはあるかと思ったが他に誰もいない。

ここから主稜線が見えるが、雪が少ない。岩が見えている。雪稜歩きができるんだろうか。岩登り、木登りの連続だろうか?心配になってきた。(Tさんの食担、とても美味しかったです♪

5月17日(日)

3:30 起床 よく冷えた。昨日はグサグサになっていた雪が、朝はカチカチになっている。アイゼン・ハーネス・ヘルメット装着。

4:40 発 稜線まで回り込まず、急斜面を直登する。アイゼンがよく効く。

5:12 数分、立ち休憩。シュルンドがあちこちに。

5:35 主稜線に出て、休憩。

5:45 発 雪上を歩こうとするとシュルンドがあるし、雪の無いところは、石が浮いているし。そして6峰へは、木登りだし。

6:30 6峰休憩 ここで既に私は疲れてしまった。そして指摘されました。私は腕力を使うところに来ると、極端に遅くなり、ヘバると。う〜、その通りです。

6:40 発 噂の(?)スノーリッジ。最初は、両足を揃えて置けるくらいだったのが、どんどん細くなり、最後は、アイゼンの前爪の間に嵌るくらいに。雪が安定していたのと、風がなくて本当に良かった。

7:53 4峰 休憩

8:05 発 シュルンドだらけ。ルート選択が難しい。雪が、グサグサになってきた。そして私は皆についていくのに必死。

8:45 3峰 休憩。登ってきたルートを振り返る。長かったなあ。ここで私、豆大福で栄養チャージ。大復活!豆大福の威力に驚きました。

8:55 発

9:35 2峰 山頂が見えた!

9:45 発 ここはどうしても岩登りをするしかない。ザイルを出して確保しながら登る。そして最後の雪壁へ!!ここもザイルで確保する。本当に壁だった。今までも相当な急登だと思っていたが、その比ではなかった。

11:13 山頂着 やったー!!皆で握手。風がビュービュー吹き、雪は見当たらない。とても寒いので早々に小屋まで下る。ここまで来ると多くの人とすれ違う。

11:26 白馬山荘着 風が当たらない所で大休憩。北アルプスの山々がきれいに見える。

11:45 下山開始 大雪渓を下る。今日は、まったく雪崩の危険を感じない。ほとんどの人が、スキーか、ボードだ。歩いているのは私達くらい。

12:50 テント場着 登りに6時間半も掛かったのに、下りは1時間5分・・・。なんてこった。テント撤収。

13:20 発 黙々と歩く。そうしたら、歩き過ぎて、行き過ぎちゃいました。ちょっと戻って・・・

14:20 猿倉P着 お疲れさまでした。

 

今回は、雪稜歩きのはずが、雪が少ないおかげで、とても変化に富んだ山行となりました。いろいろな場面が出てきました。危険なところも多々あったと思うのですが、リーダーを筆頭に、的確な判断でルートを選び、安全を確保しつつ、導いてくださった皆様方に感謝いたします。本当に、本当にありがとうございました。次に行く機会があったなら、真っ白な雪稜を楽しみ、雪庇を潜り抜けて山頂に立つぞ!!いやいや、その前に、せめて交代で先頭を歩ける力をつけなくては、ね。

【記録:良子I】

 

総合力が試される!

裕幸T

 白馬主稜登攀当日は快晴で主稜側は無風というこれ以上ない天気に恵まれました。こんな好条件下なのに主稜に登るのは我々のパーティのみ、大雪渓には多くのスキーヤーがいたのですが、おかげでのんびり?主稜を登ることが出来ました。

 今年は雪解けが早く、稜線上の雪も所々消えていて、本来なら雪稜、雪壁の連続の稜線がそれに加えて、岩稜帯あり、ブッシュあり、岩稜と雪稜の間にシュルント(岩と雪との間の割れ目)ありと、とても変化に富んだ主稜になっていました。

 今回の主稜はこれらの各部位を登攀する技術、それを山頂まで(高度差1400m)続ける体力、そして状況変化に応じ的確なルートを選択する判断力など総合的な力が試されているようでした。今回は天候にもリーダーやメンバーにも恵まれ、登頂を果たすことができましたが、何か一つでも欠けていたら…、と思わせる難しいルートだと思います。

 雪稜はとても細く風が吹いていたら馬乗りで通るしかない?と思わせます。先行パーティがなく、足跡もないため、雪壁は足場作りからしていかないといけません。断続的にある急な雪壁を乗り越えていくのはとても体力がいります。

 今回の結果に満足することなく、これからもレベルアップに努めていかねばと考えさせられもしました。とはいえ、とても楽しく主稜を登り詰めていくことができ、リーダー及び一緒に登ったメンバーにはとても感謝しています。これからも宜しくお願いします。

 

バリエーション!!

新海 時生

 白馬の主稜は日本を代表するバリエーションルートです。3〜4年前に行った時(5月の連休)には真っ白な稜線が白馬の頂上までずっと続いていました。何度も雪壁をふくらはぎプルプルさせながら登り、狭いナイフリッジを冷や汗たらしながら渡り、ひたすらに白い尾根を登り詰めていくと最後に待っているのが主稜名物、ひさしのように張り出した頂上下の巨大な雪庇です。雪壁をロープ付きでよじ登り、雪庇につけられた穴を抜けるとまさにそこが白馬の頂上!という感動シーンが味わえるという筋書きです。

 今年、連休に北岳に行った時から心配はしていました。雪が少ない!! いかに豪雪地帯の白馬といえど5月も3週目。

はたして雪はあるのか?雪が解けたらあの稜線はどんな姿を現すんだろう・・・?

ま、どのみち行ってみなきゃ分かりません。初日、行動時間1時間の予定ですから朝 雨の中をゆっくりと出発。雨の上がった後立山の山並みも心なしか黒っぽい。

猿倉の駐車場からは少しずつ増えていく雪を踏みながらボチボチと林道を登っていきます。白馬尻の広い雪原に全く人気はありません。片隅にテントを設営。見上げる主稜は恐れていたほどではなく、取りあえず白い。が、所々切れて黒い岩や樹林も見えており、ルート取りに苦労するかな?という心配もしつつ、ゆっくりとテン泊です。本日はタテちゃんの初食担。楽しみに行きましたが、さすがでした。何させてもソツありません。満足満足!

 翌朝天気は上々。夜明けとともに主稜に取付きます。8峰(ここから1峰―白馬頂上―まで7つのピークを越えながら1400m強を登り詰めていきます)に向けてショッパナの急登を息も絶え〃に登っていくと、やはり雪はあちこちで切れ、岩やブッシュ、ガレなど色々出てきます。それらを避けたり、突っ込んだりとルートファインディングがとても微妙です。ブッシュは去年(五竜・東尾根)みたいなことは無く、踏み跡もあり割とすんなりと通れます。ガレは落石が怖い。岩はなるべく巻きながら進んでいきます。雪上はトレースなど無いのでなるべく楽そうなルートを探しながら一歩ずつひたすらに高度を上げていきます。ナイフリッジは雪質のせいか以前の様な恐怖感はありません。風も無く穏やかなのもありがたい。5峰、4峰、3峰と1つ超えるごとに体はどんどんきつくなっていきます。2峰から最後の一登りですが、眼前には岩場がどんとむき出しです。右から雪を巻くのも大変そうでとうとうロープを出してクライミングとなりました(2P 30m+20m)。最後の雪壁はもう雪庇こそありませんが、確保付きでIさんに登ってもらい、午前中にみごと登頂です。「真っ白な雪稜」こそありませんでしたが、さまざまなバリエーション登攀が楽しめ、これはこれでなかなかに楽しい登山となりました。下山はスキーヤーたちでにぎわう大雪渓をイッキに下り、すっかり疲れてヨレヨレしながらも無事猿倉に到着。  

天候、メンバーすべてに恵まれ、厳しいルートを無事終えられて最高です。