2015年8月8日〜10日 北鎌尾根から槍ヶ岳へ

 


<槍ヶ岳山頂で>

<メンバー>

 L=洞井孝雄 晋平Y

<記 録>

8月8日(土)快晴

3:00 知多半島発

5:55 沢渡着

6:05 タクシー乗車

6:25 上高地バスターミナル着

6:35 発

7:20 明神着

8:19 徳沢着

9:05 横尾着

10:00 一ノ俣

10:15 二ノ俣

10:40 槍沢ロッヂ

11:30 ババ平

12:10 大曲り

14:10 水俣乗越

14:55 天井沢

16:10 北鎌沢出合

16:30 設営完了

18:00 就寝

 

8月9日(日) AM快晴,PMガス少し湧く

3:00 起床、撤収

4:10 北鎌沢出合発

4:30 北鎌沢右俣に入る

6:45 北鎌のコル

8:25 独標手前のピーク

8:55 独標基部

10:20 標高2750m付近

13:10 北鎌平手前のピーク

14:15 北鎌平

14:55 穂先基部

15:35 チムニー前。ザイルを出す

15:45 槍ヶ岳山頂着

16:20 下山開始

16:50 肩の小屋

17:35 殺生ヒュッテ

18:00 設営完了

18:50 就寝

 

8月10日(月) 晴れ

4:00 起床、撤収

4:50 発

5:10 播隆窟

6:05 大曲り

6:30 ババ平

7:00 槍沢ロッヂ

7:25 二ノ俣

7:35 一ノ俣

8:10 横尾

9:05 徳沢

9:55 明神

10:40 河童橋

11:15 タクシー乗車

11:40 沢渡着

 

そもそも

 「こんなとこ、初めて来たひとはすごいですね。何よりも、こんなとこ通ろうと思ったことがすごい」

 ガラガラのピークを登り切って、「ちょっと座るぞ」とへたり込んだ私の横で、Yが、少しだけ息を切らしながら、これまで辿ってきた尾根を目で追いながら言う。

「そうだよなぁ。初めてここを通ったひとも通ろうとしたひともすごいよなぁ」

答えながら、目の前の北鎌平、その向こうに迫る槍の本峰を見ながら、「まだしばらくあるなぁ。来るたびに遠くなるじゃん…」とうんざりしたことを覚えている。

暦では立秋の8月8日、10日までの予定で槍ヶ岳に向かった。

初日は早朝に知多半島を出て上高地から横尾、槍沢を登って大曲りから水俣乗越を越え天上沢を北鎌沢の出合まで下った。二日目は、北鎌のコルから独標を越えて槍の穂先に立ち、殺生ヒュッテで幕営。最終日はそのまま上高地に下ってきた。天候は最高、私の体調は最低というありさまだったので、若いYは体力を持て余したかもしれない。

そもそもは、春合宿で槍沢を登り、槍の肩から引き返してきた日、横尾のテントの中で初めての槍ヶ岳に登り損ねた彼に、「次は頂上に立たせるからな」とリベンジを約束したことが始まりだった。                    (洞井孝雄)


独標を越えて

槍ヶ岳登頂

「北鎌尾根から槍ヶ岳に登る。」

今年、春の時点では、体力・技術・情報など不足な事ばかりで、それら補う為にやるべきこと、課題が多々あると感じていました。

「ひとつひとつ確実にやれ」

 会事務所に夏合宿打ち合わせ等で行くときは早めに行き、「もみのき」バックナンバーを読み漁り、過去に北鎌尾根をやった情報を入手しようともした。

 洞井さんとの山行計画の打ち合わせで、計画書の原案を提出するが、軽量化が加味されていないと指摘、ダメ出し、更に詰めていく作業は、山行全体の動き、目的、装備など大変勉強になった。

 8月8日(土) 沢渡から上高地へ入る。夏山シーズン最盛期、天候も安定している(太平洋に熱帯低気圧があるが)為か、上高地は多くの登山者の姿で賑わっている。徳沢、横尾を経て槍沢ロッヂで休憩。残雪期とは景色が違う。植物が生い茂り生命力を感じる。

大曲りから水俣乗越へ登り天上沢に下る。ここからバリエーションルートの始まり、天上沢は浮石が多く、慎重に足を置く。「おいっ!!石を落とすな!」自分は腰が引けて後傾気味になっているせいだろうか、浮石は即落石のトリガーになり得る、徹底して慎重に足を運ぶ。冷や汗をかいて北鎌沢出合に到着する。

既に複数のパーティーが幕営していた。自分たちもすぐにテントを張り、素早く食事の準備。就寝。

 

8月9日(日) ヘッドランプをヘルメットに装着して北鎌沢右俣を詰める。傾斜はキツい、グングン高度を上げる、正味2時間半で北鎌のコルに出る。ここにも1張りぐらいはテントが張れる。尾根上にはテントが張れるポイントが点在する。要所々々で洞井さんから登り方やホールドの位置などアドバイス、指摘などを受けながら進む。自分で自分の置いたホールドに自信がもてない。もっと岩を見極めたい。

北鎌の独標が正面に聳える。大きい。千丈沢側をトラバースするが、かなりの高度感があり肝を冷やした。これまで切れ落ちた箇所を何度も通過して、少しは高所に慣れただろう、と思っていたのに…。独標を巻くと、今まで潜んでいた迫力満点の槍ヶ岳を望むようになる。もの凄いパワーに圧倒される。そしてカッコいい。

北鎌平の手前のピークで順番待ち。先行する3人パーティーのトップの方の登り方がスゴく綺麗で、見入ってしまった。

次のピークでは、先行するパーティーのメンバーがルートを見誤ったらしい。

「ラク、ラーークッ!!」

パラパラと小石、次いでテニスボール大の石が飛んでくる。岩陰に身を寄せる。洞井さんのザックに落石が直撃、流れ弾が自分のヘルメットをかすめて行った。怖ぇー。バリエーションルート。山では何が起こるか分からないと改めて実感した。

穂先基部にあったプレートには「穂先まであと少し、気を抜かずに頑張れ」とあった。疲労感が増す中で、このプレートを見たら何があっても気は抜けないなと改めて思った。このルートに気の抜ける場所はひとつも無かった。

穂先直下のチムニーでザイルを出す。洞井さんがロープを伸ばし、自分はプルージックで後に続く。山頂の祠の裏に飛び出す。槍ヶ岳、無事登頂することができた。

祠の前で洞井さんと握手を交わし、山頂から北鎌尾根を振り返る。険しい道だと十分承知の上でここに来たのだった。

肩の小屋のコーラは売り切れ。殺生ヒュッテで、コーラで乾杯をした。

設営、就寝。

 

8月10日(月)は下り一辺倒。朝焼けに染まる槍の穂先を背にして槍沢を下った。

過去に北鎌尾根に挑んだ人に敬意を持ち、指導指摘を受けつつ、このルートから槍ヶ岳に登頂できました。自分でルートファインディングして切り拓くまではまだまだ未熟で、更に修行が必要だと思った。改めて、計画の大切さ、自分の力量を自分で判断すること、軽量化など多岐にわたって多くのことを学んだ山行になった。  (S.Y)


北鎌平から本峰を望む