八ヶ岳   阿弥陀岳・北西稜

 

 

期日: 2016年1月10(日)薄曇り

目的: バリエーション登攀

ルート: 美濃戸〜南沢〜北西稜〜阿弥陀岳〜中岳沢〜行者小屋〜美濃戸

メンバー:PL:新海時生 SL:裕幸T 志貴子I

記録:

4:00 半田 発

7:00 美濃戸 着 薄曇り。 雪は全くなし

8:10 休憩  南沢(滝の上)

9:20 北西稜の分岐 雪はわずか(10cmくらい)

9:55 休憩  明瞭な尾根に出る 

ルンゼから適当に右の尾根に向かって登るが、雪少なくどこでもOK.

尾根に出ると結構風があたる

10:35 休憩  尾根の小ピーク 森林限界となる。風強い。

ザイル出して結ぶ(コンテ)

11:20 第2(上部)岩壁 取付き 小ピークよりコンテでリッジの右側を進むがそのまま下部の第1岩壁を2ピッチ分コンテのまま登ってしまい

(ちょっと厳しい部分もあったのだが、気付かずに登ってしまった。結果オーライ)、上部岩壁に突き当たる。

本来はここより3ピッチ目だがやっとスタカットに切替える。

12:20 1P終了(30〜35m)

       左トラバースからの踏み跡もあったが右から回ると微妙な草付き岩壁。

プロテクション取れず、結構緊張する。ザイルも重くて引けずに時間もかか    りフォローに寒い思いをさせてしまった。

13:20 2P終了(25〜30m)

       最大の核心部。広いチムニー状で角度もあり厳しい。ハーケン3〜4本と

残置(?)カムなど細かくありなんとか突破。しびれるクライミングになる

終了点は風をもろに受け、確保時は寒く辛かったが登り終え大満足。

ザイル1本しまい、コンテに変える。

13:40 阿弥陀岳P着 少し下がると風も当たらず、陽も差して穏やか。ザイル外    す。

14:20 中岳沢コル 雪も少なくブッシュも出ているので中岳沢を迷わず下山。

14:50 行者小屋 着

青空、風も無くポカポカ。上で凍えていたのが嘘のよう。ぜんざい食べる。

15:45 休憩 (アイゼン外す)

16:35 美濃戸P 着 今回もガッツリ山行 見事に大成功

20時頃  半田着

          (記録:新海時生)

 

風が冷たく…

裕幸T

 昨年は北稜を目指し、強風のため途中撤退した阿弥陀。今年は北西稜を目指しました。北西稜は例年だとラッセルが核心との情報もありますが、今年は雪が極端に少なくその点では問題なかった。気温も例年に比べれば暖かく、心配は上空の風が強いとの予報。樹林帯は順調に高度を上げて行けましたが、稜線に出ると予想通り風が強い。朝のうち出ていたガスが風で飛んでいきます。ガスの切れ間から見える阿弥陀北西稜はきれいな稜線でとてもかっこいい。

 実際の登攀は3P目と4P目、3P目のビレイ時は一番風が強く、手が冷たく、これで登れるのか?と思いました。冬のバリエーションの辛さを体感。核心は4P目。冷たくかじかんだ手に手袋して登るのは、身体も動きが悪く、厳しい登攀です。リードで登る新海さんに尊敬と感謝です。

頂上に出ると何故か風は穏やかで、ガスも晴れ、快適そのもの。下山するのがもったいないくらいでした。ラッセルはありませんでしたが、冬の北西稜での厳しい登攀を体験できました。ありがとうございました。

阿弥陀岳の北西稜へ

志貴子I

 昨年苦労したところがまたまた難儀でした。まず朝早く美濃戸口を出て南沢から阿弥陀岳北西陵である登山口を通りすぎないように注意しながら1時間半ほど歩くとトレースが見え右へ折れて北西稜を目指して進む

雪は少ないが枝、倒木で引っかけるので歩きづらい。風も強い。森林限界から初めはコンテで登り、スタカットに変わると風が強く、確保していても手、足が冷えてくる。特に風当たりが良く赤岳、中岳に吹き上げる噴煙が舞っているのを見ていると登るのを躊躇したくなるほどだった。最後のピッチを登り出すと風のことなど忘れ一生懸命に足の置き場を探すのに必死でした。昨年苦労した少しハング気味のところでは手のホールドを見つけてもオーバー手袋をはめているのでなかなか滑ってつかめず、本当に苦労しました。オーバー手袋をしているときの岩のつかみ方誰か教えてくださいよ・・・。後は何とか登りましたが阿弥陀岳の山頂への雪稜を歩くときは本当にきつかったですが山頂で皆さんと握手したときは疲れも忘れ、行者小屋まで元気にたどり着きました。小屋でゆっくり休憩して美濃戸口へ。充実した1日を味わい帰路に着きました。皆さん、本当に有り難うございました。           

しびれました

            新海時生

 年末の裏同心、小同心に続いて同メンバーでもう1本。今度は阿弥陀の北西稜です。八が岳のバリエーションもメジャーな所は大方済み、2度3度と言うところもありますが新しいルートに挑戦となると段々レベル的には大変になっていきます。北西稜も以前から意識はしていましたがクライミングレベルは高くなりますし、何より入る人が少ないので取付きまでのアプローチが大変です。ラッセル覚悟でなければ計画できません。この3連休なら天気がよければ入山パーティもいるだろうとセコイ予測の元に合宿中ですが思い切りました。ラッセル泥棒、上等!ということです。

 ところが今年の暖冬は相当にひどく、年末もそうでしたが雪がありません。僕が入会してこの10年では見たことのない八が岳です。ひどければ腰までのラッセル、という樹林帯もせいぜい10cm。どこでも登れてしまいます。岩場についている雪も少ないですからたぶんレベル的には普段よりは楽なのでしょう。下部岩壁は本来2ピッチ、スタカットで登るところですが、コンテのまま登ってしまいました。上部岩壁はさすがにしぶく、ドキドキのクライミングでしたが気持ちよく登り終えられました。ラッキーと言っていいのでしょうか?ラッセルはせずに済み、本来のピッチグレードが多少低くなっていたとしても北西稜を登り終えた満足感は100%です。そしてこんなシビレルようなクライミングはアトを引きます。次はどこにしようか・・・キリがありません。

 先日、本屋で改定版が再出版された『日本登山体系』の八が岳(奥秩父、中央アルプス)版を買ってきました。槍・穂版も欲しかったのですが、なにせ2500円ほどもするので1冊にしました。クライミングルートからバリエーションルート、沢までありとあらゆるルートが載っています。まさに無数! いくら沢山あっても僕に行ける所は限られていますが、あと何十年続けても行先に困ることは無いようです。ボチボチと楽しみながら気長に1つずつ挑戦していこうと思っています。いつまでやれるかなぁ・・・?