八ヶ岳   横岳石尊稜・小滝アイスクライミング

 

 

 

<日程>

 2016年2月20日(土)〜21日(日)

<山行目的>

バリエーション三昧

<ルート>

1日目:美濃戸P〜南沢〜小滝〜行者小屋(泊り)

2日目:行者小屋〜石尊稜〜地蔵尾根〜行者小屋〜南沢〜美濃戸P

<メンバー>

 L:新海時生 SL:三郎O 記録・食担:聖子S 

<記録> 

2月20日(土)曇り時々雪時々雨

6:00 あいぷらざ半田発

       本来は、4時発で阿弥陀の北陵をやる予定でしたが、天候が良くないので、南沢の小滝・大滝に変更。その為、出発時間を遅らせました。

9:00 美濃戸P着 天気が悪いためか、車が少ない。

9:15 出発 雪は相変わらず少なく、道は凍っている。 南沢へ入ってすぐに、

アイゼンを装着。

10:30 大滝・小滝への分岐着

10:35 小滝着〜

       既に3パーティいて、5本張られている。とりあえず、様子見を兼ねて、準備をしながら、休憩。少しだけ空いている左側にTRを張りに行こうと思ったら、右2本を使っているパーティーが大滝に移動するという事で、そこに張らせてもらう。3本/人で登りつつ、OとSはスクリューの練習。曇り空だったが、途中から風が強くなり、突風も。雪も降ってきたので、3本で切り上げる。

13:35 行者小屋に向けて出発。

相変わらず天気が悪く、いつもなら見える、八ヶ岳の山々の姿が全くない。

14:55 行者小屋着

       行者小屋は電波がないので、小屋の人に明日の天気の状況を確認。明日は今日同様天気が悪いので、バリエーションは控えた方が・・・と。

16:00 夕食(自炊)

       今日は、自炊の人が多いという事で、早めの夕食。 明日は、天気が思わしくないので、5時起き、6時出発で、行けるところまで・・・と決める。20時過ぎに外に出たら、なんと雨が・・・・

20:30 就寝

2月21日(日)曇りのち晴れ

6:15 起床

       5時の予定が、3人して大寝坊。急いで準備をして朝食をとり

7:00 石尊稜に向けて出発。

       天気は曇り、相変わらず、真っ白で八ヶ岳の山々は見えない。

7:20 分岐到着。 トレースが無い。

石尊に向けて進んでいると、後ろから2パーティやってきたので、

順番にラッセル。

7:40 分岐で3パーティ共、右のルンゼへ進む。ここからは、一番若い男子パーティに取り付きまでラッセルをしてもらう。

8:30 取り付き手前のブッシュでザイルを出す。ブッシュを登りきった所で、コンテにして取り付きへ。

8:45 取り付き着。準備をする。

       1パーティが真ん中のルートを。2パーティ目が右のルートを行くので、

左から行こうと試みるが、難しく、一旦、どちらかのルートが空くのを待つ事に。その間に、もう1パーティ上がってくる。

9:30過ぎくらいから、上空の風は強いままだが、時より視界が開けて、八ヶ岳の山々が望めるようになる。

9:50 右のルートが空いたので、新海さんリードで登攀開始。スタカットは、新海さんリード、S、Oの順番で登った。一番の難所とされる1P目の下部岸壁は、雪がついていて、ホールドが良く分からないうえ、岩に氷がついていてかかりにくい。今日の石尊稜は終始そんな感じの岩の状態で、とても登りにくかったです。

11:00 2P目登攀開始。

11:45 2P目終了後、コンテに変えて、進む。 新海-O-Sの順番

12:10〜20 前のパーティが進めずにいたので、上部と下部の中間にある大岩の下でしばし休憩。そこから先行の2パーティを抜きつつ、ナイフリッジをラッセルしながら、進み

13:10 上部岸壁着。スタカットに切り替えて、登攀開始。

13:45 1P目終了。

13:50 2P目登攀開始。

14:20〜30 2P目終了点にて、スタカットに切り替えて、稜線を目指す。

14:40〜50 登山道へ出る。休憩。

今日は、富士山が綺麗に見える。

ここから地蔵へ向かう登山道も、前日に積もった新雪でいやらしく、気の抜 けない道が続きました。

15:35 地蔵の頭通過

15:55〜16:00 樹林帯に入ったところで、ザイルを外して回収。途中、電波の入るところで留守宅に一度連絡。

16:15〜20 行者小屋着 休憩。

朝は見ることが出来なかった八ヶ岳の山々を堪能する。

17:00〜10 2200mのいつもの?休憩ポイントで休憩。もしもの為に、ヘッテンを準備して歩き始める。

18:00 南沢登山口通過。

18:05 美濃戸P着

       2日間、お疲れ様でした。と言いたいところでしたが、最後の最後で、美濃戸口の登りでスタックしている車が。路面が凍っていて、チェーンが無いと登れないとの事で、滝の前の駐車スペースでチェーン装着。無事美濃戸口に着きました。

 

 

 

全て大変でした

三郎O

冬の八ヶ岳バリエーションで山行経験値を上げたくクラッシックルート。石尊稜に4人で行く計画を立てた。残念なことに直前でRさんが風邪で不参加になったものの3人で決行した。

前日の予報では、大変な不安定な気象予報が出ていたので、「行ける処まで行って途中下山もある」と決めた。

赤い橋を目印に登山道から反れ石尊稜の取付点を目指す、ここからラッセル開始。

取付点のまでのルートはルンゼの分岐を右に右に進むこと約1時間、石尊稜の岩稜が現れる。そこを登りブッシュの中をトラバース、更に登ると下部岩稜帯が現れた 先行パーティが2組あり我々は3番目となった。この一時間待ちで体が冷え切る、風の止んだ一瞬の合間に一枚上着を追加してなんとか凌いだ。

いよいよ登攀開始 岩に氷が貼り付き、その上を新雪が薄く覆う状態で非常に登り難い(ベルグラだったか?)バイルを打っても岩に弾かれアイゼンの爪も打ち所が見えない。苦労したものの下部岩稜帯を2ピッチで通過、この時点で天候は一気に回復し八ヶ岳連峰が見渡せる快晴となった。上部岩稜帯までの間はコンテで進むが全く気は抜けない。

途中、美しいリッジを進む正面には上部岩稜帯。右手には中山尾根・赤岳左には大同心、小同心を臨む、絶景としか言いようが無い。登攀中、唯一、写真を撮らせて貰った 美しいリッジではあるものの足を踏み外せば・・・緊張は緩まない。

上部岩稜帯も氷ついていた。下部とは岩の形状が違いアックスよりも手で掴んだ方が良さそうなのでピッケルは背中に仕舞った。

手で掴めるとは言え凍っているので慎重に慎重に登る。上部も2ピッチで終了点に到着。

ここからはコンテで頂上を目指す。結構な急登で息が上がるものの一歩一歩山頂に近づくのが嬉しい。石尊山頂からは見た赤岳・阿弥陀岳は堂々としているようにも見えた。少し長めの休憩のあと下山開始。地蔵尾根から下山だが地蔵までのルートも大変だった。新雪の斜面をトラバースする時は登攀と変わらない緊張が走る。

リーダーからも「気を抜かないように」と指示があった。地蔵を降りて樹林帯に入ってようやく緊張が解けた感じでした。10時間近く緊張が続くなんて事は思ってもいなかったが本当に良い経験が出来て良かったです。雪のコンディションでこんなにも難易度が変化する事 登攀時だけでなくコンテでの雪面の進み方など、たくさん学ばして頂きました。

無事に下山できリーダー、メンバー、そして天気に感謝 有難うございました。

美しく厳しい 石尊稜

              新海時生

 石尊稜は八ヶ岳の西壁を代表する人気のバリエーションルートです。上下の厳しい岩壁と、その間にある美しい雪稜が魅力の何度行っても楽しめる所です。僕が石尊に行くのは3度目ですが、今回は前日からの積雪もあり、一番厳しいルートコンデションとなりました。雪のバリエーションはその時々で状況も難度も変わります。初めての登攀になる2人にとっては大変だったと思いますが、さすがに2人とも弱音を吐くことも無く、見事に最後までしっかりと登ってくれました。

 前日予定の阿弥陀岳北稜は荒天により中止。翌日もあまりいい予報ではなく、取りあえず取付きまで行って、出来たら1ピッチでも登って戻ろうというくらいで朝出かけたのですが、取付きあたりからだんだんと青空も見え出し、予想外の好天(風は冷たかったですが)に恵まれて戻るに戻れません。雪と氷に覆われた雪壁の登攀は厳しいものの、新雪で真っ白な雪稜はラッセルのつらさも気持ちだけは軽くしてくれます。最後に上部岩壁を登り切って、ヨレヨレと岩稜をたどると石尊峰登頂です。赤岳へ続く真っ白な稜線と、間近に浮かぶ富士山を眺めれば、苦労した登攀が報われます。最高に気持ちのいい瞬間です。ガッチリ握手をし、取りあえず腹の虫を抑えるとまた一瞬にして夢から覚めます。新雪に覆われた横岳の稜線から無事に帰還しなくてはなりません。また緊張の連続です。楽しかった山行は陽の暮れる6時過ぎまで延々と続く事になりました。お疲れ様です。

 半田もいいクライマー達が育ってきています。これからもこの流れを止めることなく広げていけるといいなと願っています。ぼくも若い人たちに負けないように頑張って、もう少し夢を見ていこうと思っています。

難しい!!

             聖子S

 バリエーション三昧の予定が、今シーズンも天気に阻まれ、“阿弥陀北稜”は中止。翌日の石尊に向けて、まずは、足慣らし・・・・と思っていたのですが・・・・天気には叶いません。1日目は小滝でアイスを楽しみました。2日目は、悪天の予報だったので、途中までで帰るつもりでしたが・・・・ラッセルで取り付まで行き、先行Pを待っていると青空が。風は冷たいので、待ちの1時間の間にどんどん体温が下がっていきます。手も足もかじかみ、感覚が無くなっていく。Oさんと二人で、おしくら饅頭をしたり、お互いの手を叩きあったりして、しのぎました。新海さんが“冬のバリエーションは寒さとの戦いだ”と言われた意味を、登攀前から身を持って知ることとなりました。石尊の核心は、1P目の下部岩稜帯です。先行Pが梃子摺っているのを見て、Oさんからバイルを1本貸してもらい、ハーネスと接続しました。いよいよ登攀開始。新海さんは、難なく登って行きます。次に私が挑戦しますが・・・核心部でかけたと思ったバイルが外れ、テンション・・・ブラーンとぶら下がりました。このルートは厳しいと判断して、左を行くOさんの後をついて行きます。それでも、雪がつきホールドが見えない状態で、しかも、岩には氷がついている。バリエーション初心者の私には、今回の登攀はとても厳しいものとなりました。後で、バイルがすっこ抜けた話を新海さんにしたところ、“バイルに頼るのではなく、岩を手で持って上がるんだ”と。でも、氷がついた岩は滑ります。秘密兵器のテムレスをもってしても、駄目でした。

冬のバリエーションは、その時の状況により、全てが変わります。それに、ちゃんと対応できないと、太刀打ちできない。冬のバリエーションの難しさと、奥深さと、そして自分の経験の無さと、何より、新海さんの凄さを実感させられました。

コンテ、スタカットと新海さんの指示で替えながら、先行する2Pを抜いて、結果、最初に登攀を終えることが出来ました。稜線に出てからの八ヶ岳の山々の美しさと、富士山の雄大さは頑張ったご褒美だったと思います。しかし、ここから、地蔵の頭までも全く気が抜けませんでした。ある意味、核心部です。コンテのまま進みましたが、前日降り積もったパウダースノーがいやらしさを演出する結果となりました。

 まだまだおんぶに抱っこの冬のバリエーション。“連れてってもらう”から“一緒に行く”に昇格するには、まだまだ時間が必要です。

 今回は、メンバーと天気に恵まれ、なんとかやりきる事が出来ました。有難うございました。