八ヶ岳 阿弥陀岳

 

 

 

<日程>

2016年 2月27日(土) 晴

<山行目的>

初級バリエーションを体験

<ルート>

美濃戸〜南沢〜行者小屋〜北稜〜阿弥陀岳〜中岳沢〜行者小屋〜北沢〜美濃戸 

<メンバー> 

  L:新海時生 SL:裕幸T 会計:聖子S 記録:優子S

<記録>

4:00 半田アイプラザP発

7:00 美濃戸P着

7:20 美濃戸P発、美濃戸山荘までアイゼンなし。最初の難所となる。

7:30 アイゼンを装着し、南沢へ。

8:20 大滝付近で5分休憩。雪道ではなく氷道を歩くことになる。

9:20 行者小屋着。ハーネス、ヘルメット等の装備を身につける(15分)

10:25 ジャンクションピークにて、いよいよザイルを使ってコンテの準備をして 第一峰へ。

10:55 岩壁着。クライミング準備。

11:10 クライミングスタート。続いて第2峰にも挑む

12:00 コンテに戻し、山頂へ。

12:25 阿弥陀岳山頂着。(10分休憩)TさんとSだけコンテの準備、中岳沢へ

13:00 行者小屋への分岐。コンテを解除し、シリセードを楽しむ。

13:30 行者小屋着。ハーネス等を外しおしるこを食べる。

13:55 行者小屋発、北沢へ。

14:20 赤岳鉱泉着。アイスクライミングのイベントを見学(10分休憩)

15:40 美濃戸P着

3度目の正直!!

 聖子S

 昨シーズンは、天候不良で取り付き手前で敗退。今シーズン(この山行の1週前)も天候不良で中止。そして、今回3回目。“3回目の正直”で、ようやく天気に恵まれ快晴。風もありますが、寒さをさほど感じさせない程度。岩には氷がついておらず、雪の状態もいい。最高のコンディションの中、行ってくる事が出来ました。

美濃戸まで車で入り、南沢から行者小屋へ。ハーネス等を身に付けて、いざ出発。北稜へは、中岳沢と樹林帯から、2つのルートがありますが、今回は、中岳沢方面にトレースがあった為、トレース通り中岳沢を進み、途中から左の尾根に取り付きます。急騰を登っていくと、視界が開けて、ジャンクションピークからは、八ヶ岳の山々を見渡すことが出来ます。ここから、コンテにして、第一岩峰へ。驚く事に、誰も取り付いていません。取り付きは斜面になっているので、バケツを掘って、スタカットに切り替えます。今回は、Tさんとつるべで登りました。1P目は、Tさんリードで、第一岩峰を越えて、第二岩峰取り付までで終了。2P目はリードをさせてもらい、第二岩峰から、リッジを越えて、先に登った新海さんのいる場所まで。支点になるものが無いので、新海さんのアイスバーと自分のピッケルで支点を作りました。そして、ここから阿弥陀岳の山頂までは、コンテにして、登りました。下りは、3つのルートを設定していましたが、雪の状態から雪崩の心配が少ない事から、中岳沢を下る事に。分岐まで、慎重に降りて、中岳沢を、滑り台代わりに、途中でシリセードをしながら、いっきに下りました。

 雪のバリエーション初級と言われる、“阿弥陀北稜”確かに、今回のような条件であれば、正直、登攀と言う意味では物足りなさを感じました。でも、天気が悪かったら?岩が凍っていたら?そういう状況下で、自分でちゃんと判断が出来るのか?と思うと、初級ルートと言え、まだまだ甘くみてはいけないと思いました。今シーズンは運がよく、雪のバリエーションに2度参加させてもらいましたが、経験するたびに、バリエーションの難しさを実感。まだまだ勉強と経験が必要です!!と言う事で、これからもご指導下さい。よろしくお願いします。

天候に恵まれ…

裕幸T

昨年強風のため撤退した阿弥陀北陵への再挑戦でした。今年は天候に恵まれ、昨年のリベンジを気分良く果たすことができた。今回はいろんな場面で状況判断する機会を頂き、自分が登ること以上に、メンバー全員で楽しく・無事に帰ることに意識して登った。天候そしてメンバーに恵まれ、難しい決断を迫られることは無かったが、Lから頂いたアドバイスを今後の行動に生かしていきたい。

待望の Sさん山行

                      新海時生

「Sさんと山に行きたい!」とあちこちで言っていたらKさんから「Sさんも一緒に山へ行きませんか?」とのお誘い。二つ返事でOKしましたが、家に帰るとその日はTちゃんと別の山行が約束してありました。申し訳ないけどTちゃんも巻き込み、『Sさん山行』に変更。行先はどうせですからガッツリ雪山という事で赤岳としました。Sコちゃんも加わる事となったので、2人にはリー・サブ養成という事で、K、S二人の安全を最大限タンポした山行をプロデュースしてくださいと頼んでおきました。そう言えば先週、赤岳で1人滑落死しています。

 ところが直前になりKさんが家の都合で不参加となり、加えて前週の阿弥陀が天候不良で中止。Sさん1人ならどうにでもなるだろうと予定を変更して阿弥陀岳北稜を目指し、計画書を出し直しました。初級のバリエーションルートとは言え、雪の岩稜、クライミングも一部入ります。Sさんクライミングは未経験。エイトもマストも出来ません。承知の上連れていく事にしました。僕の独断です。Sさんの安全に関しては自信がありましたが計画書が通るかどうかだけ不安でした。

 さて当日、Tちゃんに「ルートもペースもまかす」と前に出すと、早いペースでどんどん登っていきます。息も切らさず後をついていくSさん。後ろでSコちゃんと2人「Tちゃん前に出すとやっぱりこれだよ・・」とブツブツ言いながら一生懸命追いかける事となりました。体力のある人は好きです。体力のあるなしは本人の意識、意欲一つの問題(普段それなりのトレーニングをするかどうか)ですから、それらのバロメーターでもあります。積雪は相変わらず少なめですがよく氷の着いた雪道を危なげも無く登っていきます。さすがに良子さんの愛弟子、よく慣れているようです。行者小屋の前でハーネス他装備を整えました。天気は最高。見上げると青空の下、真っ白な阿弥陀の頂上直下には北稜の岩壁がそこだけ黒々として目を引きます。「え〜あんな所を登るんですか〜」というその顔は結構嬉しそうで、これなら大丈夫と確信しました。幸いラッセルは免れ、しっかりトレースの付いた尾根を息を切らせて登りつめる(残念ながら北稜名物の美しい樹氷はかけらもありませんでした)と、まずは北稜J・Pから雪壁をひと登りです。(仮の)リーダーTちゃんはロープを出しコンテを指示。「大丈夫だと思うけど念のため」と言っていましたが、ここでのロープ確保はマストです。Sさんがいなくてもロープは出します。スタカットかコンテかプルージックかという選択があるだけです。登り切っていよいよ核心の岩壁。取付きでセルフを取り、ロープのセットです。Sさんのハーネスに僕がロープを結びました。5年前スイスのマッターに登る時、当日の朝、小屋を出る前にガイドが自らロープを付けてくれたのを思い出しました。もちろん僕が自分で出来るのは承知の上ですが、「今日は特別」と身の引き締まる思いがしてうれしかったです。正味クライミングと呼べるのは最初の5〜6mだけ。それほどの難度もありません。それでも初クライミング(それもアイゼン・手袋付)となれば緊張するでしょうが、落ち着いていました。Kさんなら大騒ぎだったでしょうねぇ。後ろには2人が付いていますし、任せて登りました。続く雪付きの岩稜もそれなりに難しさはありますが、雪はしまって状態はいい。50mロープほぼいっぱい伸ばしてピッチを切りました。Sさんの登る様子は見えませんが、いいペースで登ってきます。すぐ後ろをTちゃんがついて、フォローしてくれています。ホッと一安心。もう1ピッチ岩から岩稜、雪のナイフリッジ、雪稜と登り、登攀は終了です。少しコンテのまま登れば阿弥陀岳の山頂。以前あっさりと登ってしまった時より達成感がありうれしかったです。おめでとうのガッチリ握手。八ヶ岳の主稜線が光輝いていました。少し風が出て冷たいですが見飽きません。

 下山は中岳のコルまではSさんだけタテちゃんにマンツーのコンテで下してもらい、あとは中岳沢をシリセードを交えながら快調に下り、当日赤岳鉱泉で行われていたアイスクライミングのイベントを見物しつつ、北沢からルンルンで帰ると楽しかった山行もあっという間に終わりです。Tちゃん、Sコちゃんもお疲れ様でした。口は出さないと言いながら少し出してしまいすみません。立派なリー・サブぶりでした。これからも一緒に高みを目指しましょう。Sさんありがとうございました。とても楽しかったです。これに懲りずまた誘ってください。

ドキドキ山行

優子S

今の私には分不相応では?と感じてしまう山域にチャレンジさせて頂きました。しかも御一緒してくださるのはバリエーションが大好きな先輩ばかり。行者小屋まででも「このペースでいつも歩いているのか・・・やっぱり違う!すごいっ!」と思いながら必死でついていきました。核心部の岩場では、いきなり手も足も出ませんでした。新海さんとロープで結ばれていても姿は見えないし、控えているお二人からもすぐにはアドバイスがもらえません。右往左往して泣きそうになっていました。初めて「私、頑張れるかな?」と不安になりました。結果、最初が一番の難関でその後はめげることなくクリアできました。次へのステップへつながる体験をさせて頂いたこと、とても感謝しています。