第48期 愛知県連 無積雪期救助訓練 

鈴鹿 御在所岳兎の耳周辺(四の渡しより変更)

 

 

<山行日程>2016年6月26日(日)

<山行目的> 無積雪期救助訓練

<ルート> 藤内小屋⇔兎の耳の間

<メンバー>

コーチ:板津彰伸

登山学校受講生:雅仁I

登山学校受講生:圭音留H

登山学校受講生:那津子M

登山学校受講生:栄吉M

一般参加:葵S(会計)

一般参加:慶子M(記録)

<内容>

6月20日(月)県連事務所にて机上講習

(事故シミュレーションと山岳遭難の概況等)

6月26日(日)兎の耳付近にて実技講習

★午前

6つのセクションに分かれて救助に必要な技術を学ぶ(支点の作り方、下降、引き上げ、搬送、ザイル担架、チロリアンブリッジ等)

★午後

・パーティーごとに与えられたシミュレーションに応じて、救助者の発見、通報、救助方法の選択、搬送という一連の流れを訓練。終了後、意見交換と発表、講評。

・ザイル担架とチロリアンブリッジによる傷病者搬送実演

<記録>

  5:25 半田アイプラザ集合・出発

 6:35 裏道登山口P着

 6:55 裏道登山口着

 7:30 遭対部長挨拶、移動開始

 8:05 藤内小屋着

 8:17 藤内小屋発

 8:25 兎の耳着

<Dパーティ記録>

 8:35 訓練4開始 (背負い方各種、ザック担架)

 9:30 訓練5開始 (ザイル担架の作り方、担架梱包)

10:30 訓練6開始 (チロリアンブリッジ)

11:15 訓練1開始 (木や岩を利用した支点の作り方)

12:05 訓練2開始 (事故者まで下降する練習)

12:55 訓練3開始 (事故者の引き上げ、三分の一等)

13:35 午前の部終了

13:55 午後の部開始(シミュレーションとディスカッション)

15:10 午後の部終了、集合・チロリアンブリッジ実演

16:00 総括(パーティーごとに内容を報告、講評、遭対策部長挨拶)

16:40 下山開始

17:15 裏道登山口P着

17:25 裏道登山口P発

18:50 半田アイプラザ着

(記録 慶子M)

 

救助訓練は誰の為か・・・

彰伸I

先週は確保技術講習会、昨日は救急救命法講習会、今日が無雪期救助訓練と県連行事が続いたがこれでやっとひと段落出来そうだ。毎年参加するようにしているが今年の救急救命法講習会と救助訓練は、例年と少し内容が違い新鮮な講習会や訓練となった。

「春合宿トレーニング事故の関係者や夏合宿参加者の参加が少ないことが非常に残念で今の会の現実はこうだ!」と運営委員会や夏合宿の打合せの中で発言した。この考えは今でも間違いないと思っているがツアー登山の方がまだ安心だと言ったことは失言だった。ツアー登山では事故があった時に社会的責任を負わされるが山岳会ではそれが曖昧になると言いたかったのだが本当の意味で理解されたかはわからない。

他会では事故の反省でクライミンググループ全員が半強制的に救助訓練に参加している会もあった。会によっては会員をどのように育てていくかを真剣に考え対応している会の姿勢をみると羨ましく思う。会員個人の意識の問題だと片付けるのではなく会の執行部の問題意識に対する責任があるようにも思う。

実際に講習を受けて実技に参加してからの感想は少し違う。自分のスキルアップの為に非常に有意義な時間であった。山に行くよりも山を真剣に考える時間を与えてもらったと思っている。

【救急救命法講習会では】

午前中は東三河森、石井さんの講義から始まった。石井さんの講義では登山学校の研修山行で受講生の一人が突然に倒れた時の体験談から始まった。看護師でありながら何も出来なかった事で山岳救命処置に対する資格を取ろうと決意され、3年間勉強している事を知った。「私の学んでいる医療技術だけでは山での救助は難しくクライミング技術だけでも山での救助は難しい。両方を学んでいなければ駄目である。」と言われたことが特に印象に残った。(大いに感動!!)

3年間も勉強しているのでパワーポイントでの説明もわかりやすく講義を全員が真剣に聞き入っていた。(自会でも講義をして欲しいと思ったくらいだ!)

午後からは、グループ分けをして今期県連で起こった6件の事故(半田の事故も含まれていた)に対してどのような救命をするのかを討議しながら処置を行った。最後に参加者全員の前でその処置方法をやりながら説明。本当にあった事故についての処置対応だったので身近に感じながら勉強にもなった。

【無雪期救助訓練では】

救助に必要な初歩的な技術の説明と技術の体験。支点の作り方、ムンターヒッチ(半マスト)での下降、事故者の搬送方法などを6セクションで行う。

その後、各グループ別れ実技開始。怪我の状態や場所は各グループの責任者が勝手に想定してもOKだった。私のグループでは2名の登山者の内の一人が登山道の岩場ですべり膝から血を流している想定の演技から始まった。「仲間が大怪我をしているようで助けてください!」事故者は「痛いよ!痛いよ!」を連発している。後続から歩いてくるグループに呼びかけをしてグループ全員(9名)で救急救命処置をして50m下の山小屋まで搬送。

まずは、事故想定が事前に知らされていないのでグループ全員が戸惑うことになる。寄り集まりのメンバーなので特にリーダーが戸惑う。

まずは意識の確認。応急手当をする前に岩場横で倒れている事故者を安全な場所に移動させることは理解していたが実際の岩場では思ように出来ない。

負傷箇所の処置に対しても講義で習ったようにうまく出来ない。その後、ツエルト担架を作って搬送することになったが包み方、搬送の仕方もグループ対応としては全く出来なかった。

総括すると私達のグループ反省会では、うまく出来た事はほとんど無く反省ばかりの救助訓練であった。最後に全体でのチロリアンブリッジによる搬送実技と各グループで行った救助訓練の反省を発表して解散となった。

今年の救助訓練はマンネリ気味な救助訓練とは少し違った訓練となり新鮮な気持で満足した一日を体験できたことが収穫となった。

 

瞬時の判断は難しい

雅仁I

無雪期救助訓練の実技に参加して来ました。午前中は6つのセクションにてそれぞれ技術を学びました。

・アンカーの作り方(イワシ・わりを入れる)

・事故者まで下りていく方法(半マスト)

・事故者の引き揚げ方法(1/3システム)

・事故者の搬送方法(ザック担架・背負い)

・ザイル担架にての搬送方法

・川を渡らせる方法(チロリアンブリッジ)

初めてみる技術やシステムもありとても勉強になりました。いざと言う時に素早く出来るよう復習したいと思います。午後からは、各パーティーにて実際の事故を想定した救助のシミレーション。登山道から5mほど滑落し左膝を負傷した事故者の救助を行うのですが、その時々に必要な状況判断を瞬時にして行動を取る事が出来ず救助の難しさを痛感しました。また、ついL・SLの指示待ちになってしまい、率先して動いたり意見を出すことが出来なかったのも反省点です。実際の救助現場ではもっと難しい状況で判断を迫られたり、動く事が求められると思います。いざと言う時に動けるように、また自分が出来る事の巾を広げられるように、日頃から何が出来るのか、やれるのかを考えさせらる訓練でした。

 

ザックタンカは便利

圭音留H

連日の講習で、頭の中は一杯になっていて、ひと踏ん張りの気合を入れての参加です。前半の講習会は、今までのザイルワークの総合した技術を6工程に分かれて学習しました。

後半の講習は、本番さながらの救助です。私たちのパーティーは、リーダーが滑落し骨折して歩けなくなり、引き揚げるという設定です。学習した通り、事故者の様子を確認し搬送するのですが、搬送方法が決められず、手間どってしまいました。おんぶして安全な場所に移動したのですが、これは、あまり適してなかったので、話し合い、ザックタンカでもう一度やり直しました。これは、事故者も安定していてスムーズに搬送出来ました。

練習ですが、焦ってしまい自分の役目がわからず、ウロウロしてしまいました。何回もの練習が必要と思いました。

 

重たい・・・

那津子M

 無雪期救助訓練への初参加。パーティー毎に各セクションを順に回って行く。  先ずはザイル担架の編み方、運搬方法。次に川を渡らせる方法のチロリアン・ブリッジ。支点の作り方。半マストで事故者まで降りて行く方法。キャッチした事故者を、登山道まで引き上げる方法(背負い法、1/3システム)。ザック担架の作り方 ・ザックを使った背負い搬送。など、緊急時に救助するための一通りの対応を学んだ。実際に男女関係なく人を背負って歩く事の大変さを体験した。私が背負ったのは体重約60kgの男性であったが、周りからの支えがあっても足場の良い場所で10歩程歩くのが精一杯だった。一日を通して反省点だらけでは在ったが、とても多くの事を学ぶ事が出来た充実した一日を過ごす事が出来た。また今後もこう言った機会が在れば積極的に参加する必要性を感じた。

 

救助訓練実技

栄吉M

  6月26日(日)AM8時30分から、御在所岳裏道四の渡し周辺で行いました。各班ごとに午前中に事故者を登山道まで引き上げ搬送を作業を各セクションごとに行いました。

 1・支点(アンカー)の作り方

 2・事故者まで、降りていく方法

 3・キャッチした事故者の引き上げる方法

 4・登山道に引き上げた事故者をヘリや救急車の場所まで搬送する方法

 5・ザイル担架にて搬送する方法

 6・川を渡らせる方法

 

 午後から登山道から、5m下に滑落事故想定し救助者を引き上げ搬送を行いました。

  やってみて、ザイルとスリングとカラナビを使って結束方法を教えてもらいましたがいざ現場での作業は、なかなかスムーズにいきませんでした。特に午後からの事故想定での訓練では

 1・事故現場の状況の確認 

   状況の確認で引き上げるべきか、引き下げるべきか。訓練では、滑落現場に引き上げたが、今回の想定では事故現場のすぐ下にも登山道があり、引き下げたほうが良かった。

 2・パーティー内での声かけ

   緊急を要する場面なので重要である。

 3・負傷者へのいたわり

   精神的にダメージを受けているので、防寒着・水の提供・けがの状況ヒアリング等必要と感じました。

 思い出せばいろいろ事があり、今後この作業を繰り返して身に着けていきたい。

 

その答えは…

葵S

 救助にベストは…無い−その事を感じた最後の総括であった。その場に居合わせた人達が、各々の技量を最大限発揮して救助にあたる。変化する状況に臨機応変に対応しながらその都度ベターな選択をしていく−`救助´というものを、私はその様に捕えた。刻一刻と状況が変化する中、それに対応し、自身の技量を最大限発揮しながら救助にあたる為にも、自身の`ツール´は多い方が良い。なぜなら、その時の状況に合わせたベターな選択をその都度迫られると思うからだ。今後万が一、救助の現場に遭遇したら、何も出来ないのでは悔しい。今回の講習で、自身の`ツール´を多少なりとも増やせたと感じている。

 ただ、`ものにする´には、まだまだ程遠い。が、救助の現場に遭遇したら、救助のを既に始めている人の補助的な役割は出来るかもしれない。`0(全く知らない)´と
`1(多少なりとも知っている)´の違いはとても大きいと感じるからだ。

 今回、技術的な事を何種類も教えて頂いたが、ロープワークも多少理解してからの参加だった為、積雪期救助訓練の時よりはシステムに関してかなり理解出来たと感じている。後は本日の講習を忘れないよう、『習うより、慣れろ!』で、反復練習あるのみ!!

 講習を受け持って頂いたスタッフの皆様、事前準備、本当に有難う御座いました。

 

救助の総合力

慶子M

 前週に確保技術を、前日に救命救急法を学び、当日の救助訓練に臨みました。救助には救命救急法で学んだ状況の判断と傷病への対処、確保技術をフルに使った傷病者と救援者の安全確保、それと救助訓練で学んだ限られた資源を使ってのさまざまな搬送方法を総動員して行われるということがよくわかりました。これら一連の流れを2週間という短期間で集中して学べたことはとてもよかったです。つながりが理解できました。また私たちが行うセルフレスキューの目的が「状態をできるだけ悪化させずに、できるだけ速やかに医療従事者に引き渡すこと」であることが確認できたことも大変有益でした。ここがしっかり理解できていると、やり方を知っているからといってむやみに傷病者を動かしたりすることを自制できるだろうと思います。何よりも重要なのはパニックの最中においての冷静さと判断力なのだろうということも想像できます。

 何事も経験するまでは本当に理解することはできないのでしょう。でも事故は経験しないで済むものなら経験しないでおきたいし、事故を起こさないように万全の注意を払うことにエネルギーを注ぎたい、そう強く思った一日でした。待ち時間に遭対部長さんとお話していた時に何気なくおっしゃった「けがをしている人は重いからね。意識がなくなるともっと重いよ。そして死んだらもう一つ重くなるよ。」という言葉が耳に残っています。

 万が一の為に技術を確実なものにすると共に、冷静に判断ができるようになるために、これからもできる限り毎年訓練に参加したいと思います。これまでは事故が目の前で起こっても呆然と見つめているしかありませんでした。今後もおそらく体はすぐに動かないでしょうが、やれることはいろいろあるのだということを知って少し心強く思いました。訓練を計画し、準備し、ご指導くださったコーチとスタッフの皆様に感謝しています。