八ヶ岳   阿弥陀岳2805m (北稜)

 

 

 

 

山行日/2017年1月9日(月)

天候/曇時々晴れ、のち雪

目的/冬季バリエーションに挑戦

ルート/美濃戸→阿弥陀岳北稜→阿弥陀岳→中岳→文三郎尾根→行者小屋→美濃戸

メンバー/

  L  三郎O

 SL  孝俊K

 医療  良子I

 記録  晋平Y

     時生S

 

記録/

 03:00 アイプラザ半田 出発

 08:00 美濃戸口でチェーン付ける

 08:15 美濃戸P到着、準備

 08:30 美濃戸P出発

 09:45 小滝の分岐 休憩

 10:10 A山岳会とすれ違う

 11:05 行者小屋到着 登攀準備

 11:30 行者小屋出発(日差し出る)

 11:50 阿弥陀岳北稜 取り付き点

 12:20 JCTピーク 分岐(少し曇、風弱く吹く)

 12:40 第一岩峰基部 ザイル出す・休憩(ガスり出す)

 12:55 新海‐春日 登攀開始・尾崎‐岩田‐安江 待機

 13:20 タイムリミット迫り撤退判断

 13:40 懸垂下降1P目(50m)

 14:00 懸垂下降2P目(25m)

 14:25 全員懸垂下降終了

 15:15 行者小屋到着 登攀具片付け(曇り空、少しガスっている)

 15:30 行者小屋出発(雪舞う)

 17:10 美濃戸P到着

(記録:Y)

 

反省点 多々。

三郎O

夜も明ける前から出発し美濃戸からはハイペースで行者小屋へ向かう。それでも行者小屋を出たのが11時になっていた。3時までには行者小屋に戻りたいと思いタイムリミットを1時半に決め進む。ところが、行者小屋までの急ペースがたたり北稜の急登は全くペースが上がらなかった。

ようやく第1岩峰の下の急登まで着いた時に新海さんより「ザイルを使うか判断しろ」と指示があったが、見た目ここまでの急登と違いが無く見えたので、そのまま登る事にした。ところが、登ってみて初めて分かった、ここはザイルで安全確保が必要だった。(反省している) 雪の状態が良かったお陰で、なんとか無事に第1岩峰に到着できた。確保準備を行い、いざ登攀!となる筈が、この瞬間に左足が吊り上がって動けなくなってしまった。折角、ここまできたものの、この足では登攀は無理 時間も迫っていたので、下山を決めた。運動不足 準備不足がたたり、足がつって仕舞った次第。(反省している)

メンバーにも助けられ無事に下山出来たが、自分の足りなさを痛感した山行でした。

 

想定外続き

孝俊K

 今回の山行は想定外続きの山行。前日の雪予報を受けて、1泊2日を日帰りとしたり、中央道が雪で止まったり、そのせいでルート途中で撤退、比較的簡単といわれた北陵で大苦戦したり、Y氏のペースに付いていけなかったり。色々疲れた山行でしたが、自分の実力やイレギュラーな対応など得るものの多い山行でした。もっと色々練習、勉強しなきゃ。。

 

アクシデント続出?

良子I

出発前からいろいろとあり、お泊まり計画が日帰りとなり、さらに降雪のため高速道路は通行止め。そして阿弥陀岳北稜に向かうも、第一岩峰手前で撤退。いやはやいろんなことが起き過ぎて、ここにも何を書いていいのやら。私個人のアクシデントというか、勉強になったことは、第一岩峰から懸垂で下りてきましたが、私の確保器、私の未熟な技術では、冬のシングルロープは制動が利きすぎて、ニッチもサッチもいかないということが分かりました。最初のダブルロープ2本の時も、送り出す感じではあったけれど、シングルロープは、下側のロープを上に持ってきても、ウンともスンとも。上側のロープも手で緩めてようやく下りられる。でも緩めすぎるのは怖いので、チンタラチンタラ。時間が掛かるし、腕の疲れが半端ないです。どうすればよいか、考えます!アクシデントがあると思い出に残るものです。でも今度は登りきりたいなあ。。。

 

想定外、想定外、想定外・・

時生S

 イヤ〜、色々ありました。波乱万丈!!おかげで楽しい山行となりました。泊りで赤岳主稜、阿弥陀北稜というバリエーション入門の予定が天候悪く、北稜日帰りとなりましたがこれはよくある事で想定内。想定外の3時出発だったのは大当たりで、中央道はまさかの積雪通行止め。美濃戸まで5時間かかりました。おかげで余裕の日帰り予定が時間に追われるハメとなり、後の事件に影響したようです。

 今回の山行は僕の勝手な都合で後からメンバーに加えてもらったのですが、計画もリーダーももちろん元からのメンバー達です。もうそろそろ自分達で挑戦してほしいと思っていましたが、バリエーション山行は常に選択の連続になります。ルートは勿論、メンバーの安全確保から撤退時期など体以上に気持ちを休める暇はありません。今回もリーダーはギリギリの時間も含めて悩ましかったでしょう。

 ハイライトは頂上直下、核心の岩壁にかかった所です。ロープを出し登攀の準備をしていたところ、トップで登る予定だったリーダーの足がつりだし、とても痛そうです。急いだ登りの負担と、寒さのせいでしょうか。取りあえず僕がK君をフォローにして先に登りました。2ピッチまとめて登り、確保体制に入りましたがK君はなかなか登ってきません。40m以上登ってしまったので声もなかなか届きません。どうもK君が登り始めの核心部を登れずに苦戦しているらしいのですが上からではどうしようもありません。想定外の連続ですが、バリエーションです。想定外が起こるのは元々想定内です。そのうちにS君が取付き部から懸垂で降りていくのが目に入りました。「え、撤退?・・・え〜!」ビックリです。僕は岩の上に1人取り残され??? 何にしてもそこから降りなくてはいけません。他ルートからクライムダウンも出来るのですが、そうすると途中のプロテクションは残置になります。懸垂2ピッチで下ればよかったのですが、支点にカラビナか捨て縄(シュリンゲ)を残置するのをケチ臭く惜しみ(バカですねぇ)1ピッチ雪の岩稜をクライムダウン(怖かったぁ〜)。もう1ピッチは既存の支点を使って懸垂下降で取付きに降りると、もうすでに2人は下っており、簡単な説明を受けた後で、後に続きました。自分の足とK君の苦戦で時間を気にしての事と思われますが、よくぞとっとと決断したと感心しました。僕だったら上を気にしてとても出来なかったでしょう。その可否はともかく、すばやい判断と行動は上出来です。

 雪壁の確保判断や下りのルートミスなどもありましたがいい経験になったと思います。他のメンバー達もそういった判断をリーダーに任せず、いつも自分の事として考えていってください。皆がいいリーダーになれるよう願っています。

 

阿弥陀岳・北稜に挑むが...

晋平Y

以前から山行記録などで目にしていた山にようやくチャレンジ出来るチャンスが巡って来ました。各書物やインターネット情報、先輩の助言などを聞きましていつかは八ヶ岳の冬季バリエーションを計画したい、と考え始めていた時期に今回の山行となりました。しかし阿弥陀岳北稜、第一岩峰取り付きで撤退と言う結果となりました。

2016年12月中旬よりメンバー間での打ち合わせや事前の登攀時の予習などのやり取りを何度か繰り返し連絡を取り合い、週末を迎えました。当初行者小屋にて小屋泊計画での初日阿弥陀岳北稜、二日目赤岳主稜の予定でしたが天候が悪化するとの予報が出ていて行者小屋泊はキャンセル、日帰りで阿弥陀岳北稜1本との判断に切り替えるとメンバー間での協議の結果が出ました。

山行当日、早めの下山を考慮した時刻、早朝3時集合出発。中央道中津川IC〜須玉IC間が雪の影響で通行止めの情報が前夜から継続(前日、19時には通行止め)。奇跡を祈りつつ中津川ICまで向かうも通行止め。強制的に高速道路を降ろされ、国道19号線を利用し下道迂回、途中NAVIには無い道に入り、ホワイトアウト状態で突き進み、ようやく美濃戸口へ到着しました。(茅野市内もかなりの積雪量だった。)

美濃戸口からはメンバー力を合わせてチェーンを装着し、オフロードな積雪道を何人かの歩きのパーティ追い抜き、美濃戸の駐車場へ到着。気温は割りかし高めで早々に準備をし、行者小屋へ向かい出発。

自分が途中から先頭を歩きました。これが後々に響いてくるとは思っていませんでした。申し訳ございませんでした。早朝の通行止めの事案で時間的に押し気味であり、ペース少し上げ気味で歩いたのが原因だったのかと反省しています。道中の車内で噂になっていたA山岳会の方にも南沢の登山道上でお会いでき、意外にも!って感じでした。

当初宿泊予定だった行者小屋の前で登攀準備を済ませ、さあ出発だと言う時に5〜6人パーティが小屋に戻って来ていた。聞くと、朝から阿弥陀岳北稜をやってきた、今日の雪は安定しているとのこと。入れ替わって北稜へと向かう。

尾根に取り付き、ラッセルの跡を辿り、第一岩峰下部の急登へ。各自フリーで登ったが少しゾクリとする感じもあったがなんとか無事メンバー全員、岩峰基部へ上がった。岩峰基部のハーケンでセルフビレイをセットし、1本休憩となった。

天候は時折青空に赤岳や北八の山々が見ることが出来たがすぐにガスに覆われると言った天候。時刻も午後となり、いよいよ風も出てきた。(フリースを着ていなかったのでかなり堪えた。)

取付き点で各々のザイルを捌き、登攀準備を進め、Iさんと自分で、リードのOさんの確保体勢に入った。その時、なんとOさんの左足にピリリと違和感が発生。とりあえず痛みが和らぐまでの間、後続で待機中のSさん‐Kさんのペアに先に登ってもらうことになった。Sさんがリードで登っている間、自分がリードの準備に取りかかっていたがOさんの足が一向に回復仕切らず、刻々と時刻も迫っているのでここから懸垂で下山と言うLの判断となった。(オレはここからこの岩峰をリードで攀じ登るのか、二割のワクワク感と八割のゾクゾク感がありましたが、Lの指示に従い、下山の準備となりました。残念。)

岩峰基部に打ち込まれた古いハーケン2本に捨て縄を掛けて、懸垂下降のセットを行ない、まずはダブルザイルで50mの急登雪面を降下した。その後、立木を利用してシングルザイル25mで更に樹林帯の中へ降下。低温・ガス・風の3セットの状況化での撤退となった。

ヒューヒューと叫ぶ風の中、孤独で極寒で数分の、懸垂下降を完了するメンバーを待機する時間はとても不安な気持ちになりましたが、これもバリエーション、想定内、なんだか気分が上がりました。

一部ラッセルを強いられる場面も登場し、やることが多い一日、実の多い一日となりました。たとえ山頂にたどり着かずとしても今回の山行はとてもいい体験、勉強になりました。局面での状況判断、的確な指示、山行全体を見る目、が噛み合った時、会心の山行になるのかなと少し思ったりしながら長い一日の八ヶ岳を下山しました。