
【目 的】 バリエーションルートを登る
【ルート】 一ノ谷P~裏道~藤内沢出合~三ルンゼ~中道~一ノ谷P
【メンバー】 洞井孝雄、細江保夫
【記 録】2025年3月20日(木) 晴れ
05:20 知多半島発
06:20 一の谷P着
06:27 発
06:39 スカイライン裏道入り口
07:10 藤内小屋 休憩
07:20 発
07:53 藤内沢出合 装備つける
08:24 テスト岩
08:30 三ルンゼ入り口
10:53 三ルンゼ終了点(ノコギリ) 休憩
11:03 発
11:24 遊歩道に出る
11:30 朝陽台 休憩
11:45 発 下山開始
12:57 6合目キレット 休憩
13:13 発
14:01 中道登山口
14:05 一ノ谷P

この日は祝日で、混雑を心配したが一ノ谷Pに停められた車は数台だった。
駐車場からスカイラインを歩いて裏道に入る。数日前の寒波はこの辺りには雪を降らせなかったようで、雪が現れ始めたのは、藤内小屋を過ぎた辺りからだったが、兎の耳、5合目の標識まで進むと、徐々に積雪量が増えた。
藤内沢出合(6合目)でアイゼン、登攀具をつけて、沢筋を登り始める。
テスト岩の前から、半分雪に埋まった段差を乗っ越して一壁ルンゼへ入り、左岸のブッシュの中から登り始めて、藤内沢の右岸のトラバースルートに入る。数メートル進んで、突き当たりの灌木と岩のクラックの手前でロープを結び合う。クラックを登り、藤内沢を見下ろす右岸を巻くように進んで行く。この日は踏み跡も山側の斜面も雪に覆われて手がかりもない。
巻き道は本流と出合う。コーモリ滝手前の右岸の棚に上がる2mほどの岩壁の部分も、沢筋いっぱいに詰まった雪の段差になっていて容易に上がることができてしまった。棚の上から右岸の大岩のガリー状の部分を登って、数メートル雪の壁をトラバースして再び本流に降りる。本流に降り立った地点がヤグラ沢との合流点になっている。ここから先は、無雪期には階段状の岩の上の遡行になるが、この日は岩の凹凸や両岸はすべて堅雪に覆われ、急な氷と雪の登りになる。ただ、堅雪の下は水が流れていて、岩との境の部分の雪の下は空洞になっているので、踏み抜くことのないよう神経を使う。
やがて沢の上部は二股になって、左側を登る。ところどころ灌木や岩が顔を出しているが、一層雪面は傾斜を増す。コンティニュアスでの登りだが、確保するポイントがない。アイゼンの爪とピッケルのピックを突き刺しながら、一歩一歩登っていく。
やがて、雪面の傾斜が緩くなって、3ルンゼの登高も終わる。終了点のノコギリの基部についた。ノコギリ岩、その上部の山頂部を囲む擂鉢状の斜面も見事に凍っている。樹木の枝に付いた樹氷が陽光に反射している。
終了点からは、左手の岩場に登らず、雪で埋まった樹木の間を真っすぐ登って山頂部の遊歩道に出た。朝陽台広場で一息入れて、中道を下った。
下山を開始したのは正午前。下から登山者が登ってきて、山頂直下ですれ違うような時間帯で、足元の雪は、岩が隠れる程度には積もっているが、上がってきた気温で緩み始め、シャーベット状に近くなっていて、アイゼンがなければ少々危ない。すれ違った登山者たちは、数人がチェーンスパイクアイゼンを着けていた以外は誰もアイゼンをつけておらず、尋ねると、携行もしておらず、しかも全員が履いているのは、軽登山靴やローカットのハイキングシューズだった。
「下るときには苦労するかも知れないな」
雪の状況が予測できない、というよりも、上はこういう状況になっている、ということと、登下山の困難さや怖さを“知らない”で、この季節、下界の状況と同じように考えて登ってきているひとたちが増えてきているんじゃないか、などと話しながら下ってきたのだった。
(洞井孝雄)

